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有人無人

或とき、わたしは山にいた。

山に登るとき、そこには二割の事象とそれにまつわる探求と探究あり、そして残る八割にはなにも無い。無だ。
故にその山にわたしはいなかった、という論を生む。

足の下は幾重もの堆積岩に覆われている。それより遥か下では摂氏何千度というわたしたちの核が息衝く。しかし、そこに人は無い。そして有る。

栗子隧道|とんちん漢|note(ノート)https://note.mu/tontonkirinko/n/n05a95ab53518

彼は、そこにトンネルがあるから山を目指す。

Why did you want to climb Mount Everest?
Because it's there.(George Herbert Leigh Mallory)

そして彼は、そこにエベレストがあるから登った。
わたしから観る彼らはいつも山にいる。
けれど、彼らが観ているのは山ではない。

山は有人無人だ。