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首のないことを選んだニケ

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解離
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2018年5月の記事一覧

かしく

わたしは手紙が好きだ。
悪筆故にしたためるより待つよりがいい。

筆の根、その脳裏には紛うことなく、
寂寂たるや想いはからんとあるだろう。
 
 

わたしは、
その手紙を七夜ほど鞄に温めてから引出しにしまう。

かしくある。

存在忘却という名のもとにおいて

存在忘却という名のもとにおいて

それに唱えた。

これは薬だ。
それをハンバーガーだと宣う権限はたれない。

鼻カニュラは偉大である。
如何ともせん肺圧を許容する。
 
 
レタスを添えればよかったのだろうか。

臆病者

臆病者

わたしの臆病は治らない。
故に日々、消ゴムを手放せずにいる。

怒濤の声音に似せようと、忸怩を消しつづける。

この鮮やかな海には原発というジキルとハイドがいる。
わたしは、この海がすきだ。
 
 
 
この海は、あの海だ。

わたしの臆病は治らない。
怖いものを認識しつづける。

海は責めない。

わたしを責めていいのは、わたしを愛するひとたち。
どうしたら、どうしたら、

自分以外に嘘はつけな

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アラーム

アラーム

それは、

皮膚を掻くと、脳が神経伝達物質セロトニンを生成するに似ている。痒みに抗えず掻けば快楽となるも後に痛みが訪れ、そして更なる痒みを繰り返すばかりとなる。
 
 
それでもわたしたちは、ずっと共同体だった。痒みは、
家族でも他人でもなく常に自分だった。

これからもそうであるように、
こころを掻きむしるとしても、
孤独より幾らか退屈ではない。

ぬけがら

夜がみたい。
それは胸懐の声。

底は夜にあらず。夜がわからなくなったのはいつからか、わたしは泳いでいる。

月の底には小箱が散らばる。
開くことに飽いてしまったものたちが沈めた遺骸。

それは月の底から月は無いとおなじ。