2018年3月の記事一覧
赤のある風景
彼女は聊か草臥れているよう。
なにかに飽いたのかもしれない。
なにかに嘆息しているのかもしれない。
主観に好き不好き否めずとも、
赤のある風景を厭う心もなく。
招き入れた部屋、わたしは彼女を磨いた。
すこし歪な容貌に仄か水彩のよう匂いが、
閑寂枯淡ともののあわれ。
金魚すくい
罵りあう世の残像よりも、
嘆いている思念を掬いたい。
それも水にとければおなじ。
影には根も葉も有る。
伸びるか縮むかは日の知るところ。
あとは水温計頼り。
うおのふえ
月の傾くよう緩徐に遠くなるといい。
夢をみたことすら、いつかは忘れる。
金魚の記憶は数ヵ月だと聞いたことがある。
新しい記憶には浮力がある。
古い記憶には浄化がある。
月って鰾と似てる。
崩壊
ゲンジツとユメのボーダーラインが曖昧になりつつある。脳を外して、漂白剤に浸したい。いつも、どうして遣り過ごしたのかを思い出せないんだ。いつもが初めて
あの日、
声が掠れて、背中にありがとうって指で描いた。
懐かしい夢をみた。
いつのまに江ノ電から新幹線に乗り換えたのかな。
夢の加速度にtはない。
夢と夢のあいだには歩道橋があって、
陽が落ちる。
むかし、夕焼けに栞をはさんでおいたんだ。
もう思い出せないけど。
夕焼けにはさんだ栞|悠凜|note(ノート)https://note.mu/yuurin/n/n34f2292ad344
じっぱひとからげのために
生きてきた。
凸凹は叩かれたり、引っこ抜かれたりするからね。
勉強はしないに越したことはない。
頭悪いから勉強したんだよ。はみ出ちゃうからね。
反抗期は抗うもんだよ。
だって、それが反抗するってことだからさ。
じっぱひとからげのために生きてきた。
離人
雨の日は、池の底澱む。
言葉は鳴音と化する。
乾燥肌
ペルソナがひび割れたので接着剤で補修した。
昇華
わたしが、わたしを生む。
生むことはむつかしいことではない。ただ、
天衣無縫とはいかない。
継ぎ目があればまだいい。
わたしと、わたしの間には度し難く固陋在り。
わたしは、わたしを救えない。
命綱
わたしが滑落せずにいられるのは、
その綱で繋がってるおかげ。
Den lille Havfrue
人魚姫は声と引き換えに脚を得た。
金魚は声と引き換えに
海馬を得た。
オルタナティブ
既存のわたしがあるなら、
新たなわたしはどうして生まれよう。