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労働党政権になるイギリス

 イギリスの総選挙で労働党が勝利し、14年ぶりに政権交代が行われるが、その労働党が何をするかがよく見えないままの勝利となった。保守党政権に国民が飽きたというのが実相のようだが、だからと言って何をするか明言しきれていない労働党に政権を託しても良いのだろうか?

 労働党は前党首があまりにヒドすぎたのだが、スターマーが党首になって党を再建したのは誰もが認めるところである。しかし政権を取るにあたっては、曖昧な発言に終始し何をするかは全く見えてこない。例えば、保守党のスナークは「減税する」と選挙では言い続けていた。一方のスターマーは「増税しません」である。正確に言うなら「労働者には増税しない」で一部富裕層には増税を示唆している。NHSについても「かなりすぐ」という変な表現で改革するとしている。ハッキリ明言しているのは公務員を増やす事ぐらいだ。それでもイギリス国民は政権交代を望んだ。

 外交や防衛、移民政策はほぼ保守党の政策を踏襲するようであり、また保守党政権が抱えていた難題も引き継ぐことになるので、手堅く政権運営する事の方が重要なのかも知れないし、トニー・ブレアの時のように、党首に絶大な個人人気があった割には、打ち出した目新しい政策はほぼ失敗という愚を繰り返してはいけないとも思うのだが、国民どころか世界の目を引くような政治はできずに、1期だけで政権交代という事になるのかも知れない。

 なお、保守党の党首選挙に挑む女性議員として注目を集めた、リズ・トラスとペニー・モーダントは落選。アンドレア・レッドサムは引退で、再選したのはスエラ・ブレーバーマンのみ。日本ではあまり注目されなかったので、ご参考までに。最後に、リズ・トラスの至高の名言を一つ。

We can’t tax our way to growth.
成長への道に課税する事はできません。

 

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