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マンガ一冊に千円出せるか?

 先日他界した漫画家の鳥山明と小説家のJ・K・ローリングの資産が話題にのぼり、そこでローリングは1千億円にも及ぶ資産があるのに対して、鳥山は84億円しかないのはおかしいという話になっていた。鳥山の場合は会社(事務所)名義の資産もあるだろうし、小説とマンガ、発行部数の違いもあるが、日本におけるクリエイターの地位と権利の問題について考えたい。
 それがタイトルの「マンガ一冊に千円出せるか?」である。例えば『ハリー・ポッター』のシリーズは一冊約二千円。外国文学は結構高く文庫でも平気で千円を超える。単行本など三千円越えが当たり前だ。外国文学としてはかなり良心的な価格である。一方で『DRAGONBALL』は一冊約五百円と途方もなくリーズナブルである。しかしそれを、安い日本の象徴とまで言わなくてもクリエイターの地位や権利と結びつける人もいるだろう。安くなければ売れないとネガティブに解釈する人もいろはずだ。それならばアナタはマンガ一冊に千円出せますか?と私は問いたいのである。
 私個人は、本は高いと思っているクチであるので安い方が有難いし、もっと安くしてほしいとすら思っている。もちろんクリエイターの地位や権利の問題も考えた上で言っている。欧米では本は日本より高いので、読書は少しゆとりのある半ば特権階層の趣味であるという。それを考えれば日本は、本が安くて読書が多くの人に開かれた趣味だとも言えるし、それは誇らしい事でもある。ただそこでクリエイターがある程度犠牲を強いられるために、地位や権利が問題になるのだろう。そこがもどかしいというかジレンマである。
 そこで日本でも、クリエイターの地位と権利のためにマンガ一冊千円にしようとなるだろうか?クリエイターが蔑ろにされていると嘆く人が多いのに、いざ値上げとなると反対の声を上げて、マンガを買わなくなるのがオチではないだろうか?クリエイターに心を寄せると言うのであれば、マンガ一冊千円という時代を受け入れる覚悟が必要ではないだろうか?

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