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ブルージルコンの指輪



「この指輪素敵だね!」
「ちょっと高いよ…」

「この指輪に使われている石は、ブルージルコンなんですが、昔からお守りにされたり、新しい一歩を踏み出す手助けをしてくれる。なんて言われたり…」

「素敵!!!!いいなぁ…」
「…そうだね。…」

「あ、次の店行こっか!」

若い2人のカップルはそう言いながら店を出た。


少し寒くなってきた夜景の綺麗な公園のベンチで、
私は彼からプロポーズをされた。

青くて透き通った綺麗な石の入ったシルバーの指輪

「ありがとう…!!よろしくお願いします。」

それから2人の生活が始まった。

彼も私もバリバリ働く会社勤め
決してお金持ちでは無いけれども、
2人でささやかに暮らした。

子供はできなかった。

けれど幸せだった。
ずっとずっと2人で生きていくんだとそう思っていた。


ある日彼が診断書を持って帰ってきた。
いつもの顔色とは全く違う、青ざめた顔をしていた。

彼は重い病気を患ってしまっていた。

そして病気が発覚してすぐに彼は亡くなった。

ずっと泣くのを我慢してきた私は
絶望して泣き続けた。

これからどうしたら良いの…






『お客様…?そちらの指輪どうなさいます?』

先ほど若い2人のカップルに話しかけていた店員が私に話しかけてきた。

シルバー地にブルージルコンが埋まった指輪
私の手先で怪しく光っている。



「すみません…少し考えます。」


そう言って店を出た。

彼に連絡しようとアプリを開いたが、
彼は見当たらなかった。

ようやく気づいた

私、彼氏いなかったわ。

彼女が先ほど出た
宝石店の指輪の説明欄にはこう記載されていた

ブルージルコン 
石言葉 安らぎ 祈願 夢想 成功 『幻覚』

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