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2022.3月 石巻ニューキネマパラダイス第七回「そこにあるもの、通りがかる人」

「石巻の中央一丁目で、もう一度劇場文化の灯をともしたい」という思いで始まったシアター・キネマティカプロジェクト。その日々の出来事をご紹介する「石巻ニューキネマパラダイス」も第7回を迎えた。

僕の好きな数字である第6回を矢口さんに取られてしまったことを悔しく思ったが、よく考えたら1回目を僕が担当した以上、このままいけばずっと奇数のままだということに気が付いた。算数は難しい。

さて、2月~3月は再びイベント事が動きただした月でもあった。2月には気仙沼市で映画「もったいない」キッチンの上映会及びトークイベントを実施。会場は気仙沼でコワーキングスペース兼イベントスペースでも活用できる「co-ba KESENNUMA」さん。ゲストに現代美食家でもあり映画にも出演された「ソウダルア」さんにお越し頂き、フードロスについて考えるアフタートークを行った。あえて別の地域に出張する形での上映を今年行ってきたが、色々と学ぶことがあった。

例えば、地域によって求める映画が違い、その地域やその場所に合った作品を選ぶことが重要ということだ。ただ我々が上映したいものだけを選んでいては、誰にも喜んでもらえない。当たり前な事実を再確認できたと思う。次年度も、さらにエリアを拡大していき、キネマティックに動いていきたい。

もう一つ紹介したいことが、3月13日に行った「石巻芸能神社ワークショップ」だ。昨年、クラウドファンディングを始めるにあたりキックオフ的に行ったワークショップの続きとなる今回。昨年、皆さんに書いて頂いた絵馬を飾るための「絵馬かけ」の作成と、神社の土台となる井戸の色を鮮やかな「青」に塗るのが目的だ。今回も月日工作舎の山内さんを講師に迎え、合計9名にもなる参加者の方が手伝いに来てくれた。

おかげさまで、とても素敵な絵馬かけが完成した。いつも本当に感謝の思いばかりが膨らんでいく。是非実物を見に来て欲しいものだ。

思い返せば昨年の3月12日に石巻に「劇場を作ります」と発表してから、あっという間に1年が過ぎた。普段の仕事もあり、現在改修している施設であるシアターキネマティカにいられない日の方が多いが、施設内で色々と作業をしていると、様々な人たちが通りがかっていく。

興味深そうに覗く人もいれば、無関心にスタスタと歩いていく人もいる。または神社にお参りしてくれる人、賑やかな学生、思い出話を聞かせてくれる地元の方々、映える場所を探して写真を撮る人、そして猫。様々な人(と猫)たちが通りがかる。言葉に表すのは少し難しいが、その事実が何とも心地よい。中央1丁目のあの場所に、どっしりと座って街を眺めているかのようだ。

3月~4月でさらに屋内の壁の解体は進み、もうすぐ業者が入って整備が進んでいくことだろう。だが今、街のみんなで手作りしているこの状況をもう少し名残惜しく噛みしめていたいとも思う今日この頃なのである。 阿部

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