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2022.1月 石巻ニューキネマパラダイス 第五回「The Days Of NEKOMACHI」

随分と今さらですが、明けましておめでとうございます。本年も石巻ニューキネマパラダイスとシアター・キネマティカをよろしくお願いいたします。


 さて、「石巻の中央一丁目で、もう一度劇場文化の灯をともしたい」という思いで始まったシアター・キネマティカプロジェクトをご紹介する「石巻ニューキネマパラダイス」。まだまだ寒いこの季節。身体を震わせながらも解体作業は進めていけなければならない。

 しかし、津波注意報の影響もあり、最後に実施する予定だった解体ワークショップが延期になってしまい、若干スケジュールが狂ってしまった。協力してくれる人がたくさんいるということは、その分調整も難儀となる。「やれやれ」とため息をつきたくもなるが、それでもやることは変わらない。映画と演劇を楽しむ「複合エンタメ施設」作りはまだまだ始まったばかりなのだ。モチベーションは一つも下がってはいないのである。


 そういえば、年末年始の間、シアター・キネマティカも施設としての初めての大晦日と正月を迎えたわけだが、ちょっと面白いことがあった。ご存じの通り、今年の年末年始は雪がたくさん降り、気温もかなり下がったため寒い思いをした人も多いと思われる。それはどうやら人間だけではないようだ。年末にしっかりと戸締りをしておいたシアターであるが、仕事始めのタイミングで1週間ぶりにカギを開けて入ったところ、なんと屋内の2階の階段から猫が降りてきたのだ。

 まるで「やばい!誰か来た!」と言わんばかりに、そそくさと走り抜けていった姿を見て、私も矢口も肩の力が抜ける気持ちになった。壁などの解体の影響で、人間は無理でも猫ならするすると入ってしまえる隙間も多い。猫が避難するにはちょうど良い場所だ。

「まぁ、猫も寒かっただろうからね」とは矢口の談。確かにその通りだ。オープン前の我らが施設に猫がいつくのも悪くないと思っていたら、しっかり糞は残してあり、二人で苦笑するしかなかった。小学生から高齢者まで多様な人々に楽しんでもらう施設を目指しているが、猫という需要も大切にしろというアメノウズメ様からのお言葉なのかもしれない。

 実際、以前高校生の社会研修の受け入れ先をしたときに、「猫カフェ」にやってほしいという話もあった。案外街の人々にウケる可能性もある。
実際、中央1丁目付近には猫が多い。飼い猫もいれば野良猫もいる。なかなかに賑やかなものである。夏場、施設の窓を開けていると日陰に入るかのように屋内に入り、そのまま通り過ぎていったり、裏の芸能神社を走り抜けて猫の社交場へと向かう姿をよく見かける。また、お隣の家の屋根の上から、どっしりと座って我々を見守ってくれていることある。

 私たちはそんな彼らのことを、尊敬の念をこめ「猫先輩」と呼んでいる。猫先輩に認められるよう立派な施設となるよう、今年も粉骨砕身の気持ちで勇往邁進していきたいと思う。ですので、どうか施設内での糞だけは勘弁してくださいね。  阿部拓郎

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