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なぜ?剣道では許されないガッツポーズがフェンシングで許されるの?

【あらかじめご了承ください】
この記事の「フェンシング」という言葉はスポーツ競技のフェンシングの意味で使っています。また、スポーツ競技のフェンシングには世界各国で異なる呼び名がありますが、noteでは読者にわかりやすいように「フェンシング」としました。


はじめに

日本のフェンシングはオリンピックのときにだけ注目されるくらいマイナーなスポーツなので、こういった記事にしていつでも読めるようにするのは、大変意義があることと思い、書いてみることにしました。


フェンシングは西洋剣術なの?

フェンシングはスポーツ競技としての西洋剣術に当てはまると私は考えています。
これはフェンシングがスポーツになった経緯から考えた結論です。フェンシングは日本の剣道と同じように、もともとは実戦を想定した訓練や練習がそのまま競技になったものだからです。


フェンシングは歴史的な西洋剣術と言える?

結論から申しますと、フェンシングは部分的に歴史的な西洋剣術と言うことができます。

実戦剣術の練習法として考えられたのがフェンシングですから、歴史的な西洋剣術のテクニックが残っているのは当然と言われればその通りなのですが、残念ながら実戦剣術がスポーツ化して、ルールありきのテクニックに変わってしまったことで、多くの歴史的な実戦テクニックが失われてしまいました。

こういったことから、フェンシングは歴史的な西洋剣術と言えるか?という質問に対しては部分的に歴史的であると言うことができます。


ちなみに、現代のフェンシングのどのテクニックがどの時代のテクニックに紐付くかということも研究でわかっています。


フェンシングは騎士道なの?

「なにを言っているの?」と思う読者もいらっしゃると思います。

なぜこの疑問が出てきたのかと言うと、剣道とフェンシングを比較したときに必ずぶつかる疑問がきっかけになっています。

それは、ガッツポーズの疑問です。

みなさんは剣道でガッツポーズが禁止されているのを知っていますか?

剣道では相手を侮辱する行為や自分の有効打を過剰にアピールする行為がルールで禁止されています。

みなさんは、ガッツポーズを取るときってどういう状況だと思いますか?
1本が決まったときや勝利が確定したときですよね。

剣道は根底に武士道精神がありますから、自分が勝ったときにも「今回は私が勝たせていただきましたが次回はわかりません。また手合わせをお願いします。」という謙虚な心構えを持ち続けることを美徳としており、まさに武士の心を感じる武道なのです。

これに対して、フェンシングはどうでしょうか?

オリンピックの記録動画などを見てもわかるように、多くの選手がガッツポーズをしています。

もし、フェンシングが剣道のように騎士道と結びついているのであれば、ガッツポーズをしてはいけないはずなのに、これはなぜなのでしょうか?

騎士道には騎士の十戒として定められた掟があり、この中に「騎士は弱者への敬意と憐れみ、また彼らを擁護する確固たる気構えが求められる」というものがあり、弱者を侮辱することは許されていません。

一般的なベストアンサーは?

一般的なベストアンサーは

剣道は武道で、フェンシングはスポーツだから。

というもの。


私がずーっとわからなかったのは、騎士道では弱者を侮辱する行為を禁止する掟があるのに、スポーツだからという理由でその掟をねじ曲げることができてしまう理屈です。

スポーツという単語は、気晴らし、遊び、楽しみ、という意味の言葉を語源にもつことから、フェンシングは遊びだからガッツポーズが許されるとでも言うのでしょうか?

遊びになるとなぜ騎士道が関係なくなってしまうのでしょうか?

このようにこの答えでは考えれば考えるほど、どんどん疑問が出てくるのです。


フェンシングではなぜ、ガッツポーズが許されるのでしょうか?

フェンシングは騎士道なのでしょうか?

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