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赤ちゃんのあざ - 苺状血管腫 -は消えますか?

皆様、こんにちは!日毎に暑さが増す今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。本日の担当は荻野です。

今回は”教えて!近大先生〜新生児編”です。
小児科外来などでよくいただくご質問にお答えするシリーズです。

今回のご質問です。

「1か月の女の子です。脚にこんな赤いのがあります。最初はうっすら赤かったのがだんだん盛り上がってきました。これは何ですか?自然に消えますか?」


早速ですが結論から言うと、、
「これは乳児血管腫(にゅうじけっかんしゅ)というあざです。自然に消えますが、完全に消えるわけではなく痕が残りやすいので、場所によっては治療をお勧めします」です。

このあざは、苺状血管腫(いちごじょうけっかんしゅ)とも呼ばれます。
確かにいちごみたいに見えますね。

女の子や早産児に見られやすいあざで、日本人では100人に1-2人くらいの割合でみられると言われています。1)
生後2週間頃から目立つようになるので、「生まれた時にはなかったのに」と1か月健診でお母さんに聞かれることが多いです。

生後1歳を過ぎると小さくなることが多いので、以前は様子をみるよう言われていました。
しかし!半分以上は痕が残ることがあるので2)、大きなもの、目立つ場所にある場合は治療されることを特におすすめします!!

ではどんな治療をするのでしょうか。

一般的なものとして、レーザー治療と飲み薬の2つがあります。ここでは飲み薬の治療についてご紹介します。

飲み薬は日本で2016年に承認されたお薬で、今後第一選択(もっとも推奨される治療方法)になりうるとされています。3)
ヘマンジオルシロップ®️という商品名のバニラいちご味のシロップなのですが、実は決して新しい薬というわけではなく、以前から子どもの心臓の病気に対して使われていた薬と同じ製剤です。この薬を乳児血管腫のある心臓病のお子さんに投与したところ、血管腫にも効果のあることが偶然わかったのです。
副作用に血圧や血糖が下がることがあるので、入院をして副作用がないか確認します。入院期間は5泊6日、あるいは1泊2日を3回していただきます。

大きくなってしまった後に治療を始めると、痕が残ってしまうことがあるので、生後1-2か月で治療を始められることをおすすめします。
うっすら赤みが残ることがあるので、後にレーザー治療をすることもあります。ちなみにこのあざの部分は皮膚が薄いため、ただれたり、出血したりしやすいので、優しく扱ってあげてください。
また大きさや部位やあざの型によっては治療の仕方が変わることがありますので、直接医師にご相談ください。

ではみなさん本日も良い1日をお過ごしください!

1) Hidano A et al.Statistical survey of skin changes in Japanese neonates.Pediatr Dermatol.1986;3:140-4
2) Bauland CG et al.Untreated hemangiomas:Growth pattern and residual lesions.Plast Reconstr Surg.2011;127:1643-1648:
3) 血管腫・血管奇形・リンパ菅奇形診療ガイドライン2017

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