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ちょっと息子の話を。学校行くの?行かないの?母はモヤっています。

息子は小学一年生です。
我が家のかわいいポジ担当。
娘ちゃんの発症時から今も、息子がいるからお通夜のようにならずに済んでおります。その無邪気さや明るさに助けられていることが、たくさんあります。彼なりに姉(娘ちゃん)を思う気持ちが伝わる行動の数々には、時に肝を冷やし、時に感動します。娘ちゃんも年の離れた弟は無条件にかわいいようで、よく一緒に遊んでくれます。
セラピー的な効果もありそうです。

娘ちゃんが不調で泣いたり怒ったりすれば、今や息子は笑わせようとします。以前は驚き戸惑い、恐怖で泣いたり、私の陰に隠れていたりしましたが、いやはや大したものです。そのような対応は、手引書にも専門書にも書いてないことです。(そもそも息子はそのような本は一切読んでいませんので。)
娘ちゃんが笑えば、私達も笑います。息子も笑います。今うちは誰が欠けても立ち行かないバランスとなっています。

昨年春、小学校に入学したばかりの息子。
小学生になれば、毎朝学校へ行くものだと思っていました。
確かに、保育園時代もなかなか私と別れられずに、泣いたまま先生に預けることはよくありました。でもまあ、保育園なので。先生方も慣れたもので、泣き叫ぶ息子をしっかりと抱きとめ『お母さんいってらっしゃ~い』と
笑顔で送り出していただいておりました。
しかし…小学校は…え?行きたくないの?行かないの?そういう時って、どうしたらいいのでしょう。
お姉ちゃん(娘ちゃん)は小学校時代『学校に行かない』的なことは、一切言いませんでした。私は子供が『学校へ行かない』と言った場合の対応がぜんっぜん分かりませんでした。分からないことは、とりあえず検索します…。困っていることがあるのか、不安なことがあるのか、訊ねてみますが特にないと言います。ほう。ないのね。そりゃよかった。
朝、機嫌が良くなるように好きなご飯を用意したり、ニコニコ明るくさわやかに声掛けしたりします。そのくらいしか出来ません。
出発の時間が迫る中、いっこうに着替えようともしない、『行かない!』『行きたくない!』とそればかり。さすがに5分前になると、私は強引にパジャマを脱がせ服を着せ、全ての身支度を請け負います。泣き出す息子を玄関から引きずり出して、戻れないようカギを閉め、登校班の集合場所まで連れて行きます。そんな連行状態で大人しく学校へ行くわけもなく、登校班の皆さんと一緒に行ったのは最初の2回だけでした。
途中で泣き出したり、戻ってきたりと、仕方がないので、皆さんが出発した後、私と一緒に歩いて行くスタイルでなんとか行っておりました。
しかしですね、そうすると私は仕事に遅刻してしまうわけです。
息子を学校へ送り届けてから、帰りは田んぼ道(通学路)を全力疾走で戻ります。そのまま汗だくで仕事へ向かいますが、結局は遅刻です。
寛容で理解のある職場の方々は、いいよいいよ大丈夫、と言って下さいますが、朝の忙しい業務では1分でも早く、1人でも多く、人手が欲しいはずです。すでに娘のサポートの為、超時短の勤務に変えてもらっていますし、コンディションに合わせて休みもわがまま放題に取らせていただいております。これ以上ご迷惑は掛けられません。もはや戦力外通告やも知れません。私は謝り、すぐに業務に取り掛かりますが、汗が冷えてとても寒いです。心も晴れません。

息子は学校へ着けば、(入るまでに時間はかかるものの)それなりにやっているようなので、なんとかなんとか、学校へ着きさえすれば何とかなる!という気持ちで毎日送っておりました。
しかし、日毎に息子の拒否言動は増してゆき、もう何を言っても糠に釘、石に灸でした。小1とはいえ、全力で拒否されればもう力で従わせることは私には出来ません。朝が来る度、憂鬱で、相変わらず準備をしようともしない息子を横目に、登校の時間が迫り、判断を迫られると、もうニコリとも出来ません。疲れてしまいました。

「もう学校行く時間だけどどうするの?」
「行かないッ!」
「…そう。じゃあママは仕事だから。留守番よろしく。いってきます。」

私は息子をそのまま放って家を出ました。
2階ではお姉ちゃん(娘ちゃん)が寝ています。完全に1人と言うわけではないのですが、お姉ちゃんは昼まで起きないでしょうからまあ1人です。だいたい何か困ったことがあったからといって、お姉ちゃんに助けを求めることはしないでしょう。困ることがあるとしたら、お昼ごはんくらいでしょうか。急なお休みなのでお昼など用意していません。バナナを置いて来ました。
会社へ向かう道すがら、小1を1人で何時間も置いておくことはまずいのではないかと…、人の心を取り戻し、隣に住む義母に連絡を入れました。
『これこれこういうわけで、今日は休ませましたので息子は家におります。勝手を申し上げますが、たまにのぞいて様子をみてやって下さい。お願い致します。』
快く了承してくれた優しい義母ですが、至らぬ嫁で、母で、申し訳ない気持ちになります。義母は教育者でしたので、今の子供たち(孫たち)の様子を一体どんな気持ちで見守って下さっているのか。実際には、隣に義母が住んでいなかったら、私は仕事に行けなかったでしょう。ぎりぎり倫理と道徳の堤防を守って下さる有難い存在です。
親は不在なのに、子供は二人とも学校へ行かず家にいる。この状態はなんだ?
仕事中も吐き気がするほどになりました。

翌日、なんとかまた息子は学校へ向かうことが出来ました。
私と一緒にトボトボと田んぼ道を歩きます。始めはいいのです。楽しくお話しながら、行くことが出来ます。田んぼ道を行き交う鳥の話、草花や虫の話、ドラクエの話。だんだんと学校が近づいてくると、息子の歩みが遅くなります。
私は時間が気になり始め、腕時計を見ます。仕事までの時間を逆算します。先を歩く私と、息子の距離が開き始めました。私は振り返りもせずに、どんどんと進みます。
息子との距離がもう随分と開いてしまっていることは分かっていましたが、止まることが出来ませんでした。
「ママーー!!待ってーー!!待ってよーー!!(泣)」
遠くから息子の叫ぶ声が聞こえます。
田んぼ道にこだまします。
私が振り返ってもくれない、待ってもくれないことが分かると、息子は走って追いかけて来ました。まだ体に大きい、慣れないランドセルを背負って、黄色い帽子をかぶった、小さい息子が必死に私を追いかけて来ます。
転びました。
息子の泣き声は、号泣に変わりました。
なんかいろいろスローモーションでした。
どうして私は待ってあげられないのか。学校へ行きたくないという息子にどうやって寄り添ったらいいのか。穴があったら入りたい。こんな母で申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
ふと娘に対してもそうしていたんじゃないかと思い、ぞっとしたのです。
私は早く早くとせかすばかりで、待ってあげられていなかったんじゃないかと。娘の『待ってよ』の声に気付かずに、追い立てて、病気にさせてしまったのではないだろうか。

もうその日の仕事はあきらめ、しばらく2人で学校の体育館裏の日陰で座っていました。職場と小学校にも連絡をし、遅れることを伝えました。私は涙が止まらずに、息子も泣きながら、ぴったりとくっついて。
「…学校行きたくない?行って欲しいけど、行きたくないなら帰ろうか?」
「…学校に行けない自分がくやしい…」
なんと息子からそのような言葉が出ました。
なるほどなぁ。
ようやく学校の玄関に入ると、担任の先生がいらっしゃいました。目の赤い私と息子。何かを察していただいたのでしょうか。息子は別の先生に取り押さえられ、半ば強引に学校の中へ連れて行かれました。抵抗の叫び声だけがしばらく聞こえていました。
あんなにも泣け叫び、学校に行くことを全身で拒否しているのに、無理にいかせることにどれほどの意味があるのだろう。息子にとって何が良いのか、どうしたら良いのか本当に分からず、立ち竦んでいました。
例えば、このまま学校へ行くことのない人生になったとしたら…。うーん…。まだ小1です。読み書きも出来ず、たし算も出来ないとなると、この子の人生はどうなるものか。あれこれとシュミレーションしてみます。
私の様子に担任の先生は優しく、そして毅然として声をかけてくれました。
「毎年いますよ。同じように泣くお子さん。でも行けるようになりますから。」と。
そして、私自身にもカウンセリングをすすめて下さいました。
娘のこと、息子のこと、私自身のこと。どれひとつ順調で心配のいらないことがなくて、毎日心が擦り減っていくのが分かります。
娘は、学校へ行きたいと言います。でも行けないのです。行けないことにやっと折り合いをつけ、行ける範囲でなんとか行っているのです。行きたいけど行けないのです。
息子は、学校へ行きたくないと言います。いや、あの言い方だと『行った方が良いことは分かっているけど…』という、また別の行きたいけど行けない辛さのようです。
本当は2人とも、みんなと同じようにしたいのです。

朝になれば『早く起きなさい!遅刻しちゃうわよ!』なんつってカーテン開けて、ご飯をかきこむ子供たちに、『ゆっくり食べなさい。忘れ物はない?』なんつって、『お姉ちゃん部活は何時まで?遅いなら迎えに行くよ?』『大丈夫、友達と帰るから!』『ママ行って来ま~す!』『はいはい、気を付けてね。いってらっしゃい!』なんつって、エプロンで腕組みをして、『まったくもう毎朝これなんだから!』なんつって。
ないですわ。そんなんうちにはないですわ。

その昔、人と違うことに憧れたこともありました。それは私がいわゆる平凡だからです。その他大勢で村人Cだからです。
でも本当に人と違ってしまったら?人と違う道を歩むには大変な勇気とエネルギーがいることでしょう。時には開き直りも必要かと。
ん?人と違うってなんだ?人はもともと違うんじゃないか?
モヤるわーーーー

こんなにも自分らしい

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