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夢の時間は突然に

V.O.Sというグループをご存知でしょうか?
韓国のヴォーカルグループです。

10数年ほど前でしょうか。
東方神起が5人で活動され、
チケットもとれない大人気という時期でした。
妹が日本ではまだデビューして間もない
超新星(現:SUPERNOVA)にハマり、
一緒にコンサートについて行ったことがあります。

当時はファンもそれほど多くなく、
他のグループとの合同のコンサートでした。
会場も規模のコンパクトな感じだったので、
これはすごく近くで見られるのではないかと
ワクワクし始めました。

会場に入るとなんと3列目!
好奇心旺盛(ミーハー)だったわたしは
これまでにもいろんなコンサートに行ったことがありましたが、これほど小さいキャパシティの会場なのも、こんなに前で見るのも初めてで
「双眼鏡いらんやん。ほんまに出てくるの?」
と疑うくらいでした。


そしてコンサートが始まりました。
MCの方が今日の出演者を紹介し、
ソロヴォーカルの方が登場されました。

するとどうでしょう。
周りがザワザワと動き始めたと思ったら、
みるみる着席され始めたのです。
「え?」
今からあの方歌われるんよ?
みんなどうして座っちゃうの?
振り返るとまばらに立っている方もいて、
座って聴く決まりというわけでもなさそうです。

妹は移動で少し酔っていて「超新星までちょっと体力温存させてもらうね。」と言って最初から座って小さくペンライトをふりふりしてましたが、ほかの皆さんは元気ですよねぇ〜?

「え、どうしよ。」とわたしは戸惑いながら、
立ったままいました。
目立ったかもしれませんし、すぐ後ろの方の邪魔になったかもしれないけれど、
隣国からわざわざ歌いに来てくれているのに、
登場と共に着席されてしまったその方を
少しでも応援したくなり、立ったまま
知らない曲にあわせてペンライトを振りました。
なんともいえない時間が過ぎた事だけ記憶に
あります。

次がV.O.Sの出番でした。
わたしと同じくらいの世代の
男性3人で構成されるヴォーカルグループです。
先ほどのまま着席している方が多い中、
彼らにはなにか余裕を感じました。
ベテランで経験を積まれているんだなぁ。
と思いながらも先ほどの方と同じく
残念な気持ちになってほしくなかったので、
立ったまま応援することにしました。


曲が始まると初めて聴いた曲でしたが、
ロマンチックなピアノがキャッチーで、
良さそう!と瞬間に入り込む感覚でした。
安定感のある優しい歌声から始まり、
とても知らない曲とは思えないほど、
じんわり染み渡るようでした。

3人グループの向って左で歌っていた方が
わたしの正面に立っているような位置関係の中、
わたしの前2列は誰も立っておらず、
向い合せで目もバッチリとしか言いようのない
ほどロックオンされていました。

そしてその方は真っ直ぐにわたしを見つめて
サビを歌ってくださいました。
手をさしだして『あなたに』といわんばかりに。
まるでミュージカルのワンシーンのように。

目がハートになってたと思います。
現実に戻るのに時間がかかりました。
うっかり立ってて良かったと心から思いました。
プロの本気ってヤバいです。吸いこまれました。


そしてトリに超新星が登場すると
先ほどまで休憩されていた皆さまも
キャー!と総スタンディングになったので、
わたしも無事大衆に埋もれ、
妹も無事回復をはたし、
知ってる曲にノリノリ歌って踊って
思っていたとおりのコンサートを楽しみました。



帰りの電車に揺られながら
わたしが思い出していたのは、
V.O.Sのあの曲なんて曲だったんだろう?
あの方なんていう名前なんだろ?
そればっかりでした。


後日、詳しいお友達のお宅にお邪魔し、
韓国の音楽番組を見せていただきました。
すると東方神起とV.O.Sがトークで共演する番組があり、東方神起に「ソンベニム(先輩)」と呼ばれ慕われているような様子が映っていたのです。日本ではあまり知られていなかっただけで、
やっぱりすごい歌手の方だったんだ!
と震えました。


あんな贅沢な瞬間をひとり占めしたわたしは
夢のひとときをいただいたんだな。と、
ときどきひとり思い出しニンマリするのでした。


【参考までに】
1番に出演された方はわたしの動揺のせいで
お顔も曲も思いだせません。ごめんなさい。

グループ名のV.O.Sとは
「Voice of Soul」の頭文字で、
「魂の歌声」という意味。
あの時の曲は『큰일이다(大変だ)』です。
向って歌ってくださったメンバーは
チェ・ヒョンジュンさんでした。
素敵な時間をありがとう。

気になった方はぜひ聴いてみてくださいね。


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