After3 DOWN TOWN
与田「ついたね〜」
ぐいーっと伸びをしつつ、だっちょさんが言う。
井上「神戸、初めてです」
キョロキョロと周囲を見渡す和。
〇〇「全ツでも来ないからね〜」
本日は乃木坂あそぶだけの企画、餃子を食べるだけ。で我が地元神戸にやって来ている。
現在は神戸空港からポートライナーに乗り三宮駅に到着したところ。
〇〇「とはいえこのへんは人多いんで、ひとまず移動しましょう」
駅前の混雑では落ち着いて話もままならないし、導入を撮るにしてもここでは難しいだろう。
与田「まずはどこ行くの?」
〇〇「まだ予定のお店は開いてないので、お茶でもしますか。そのあたりは人通りも少ないんで、導入もそっちで撮っちゃいましょう」
井上「モーニングルーティンだ」
和のつぶやきについ笑いが出てしまう。
与田「うん〜?」
だっちょさんが訝しげに俺達を見る。
〇〇「まぁ、詳しくは追々」
駅前を離れ、南へ。
井上「よく行くお店なんですか?」
〇〇「地元帰ってきたらだいたい行ってるかも」
与田「地元、そんな帰ってたんだ?」
〇〇「地元にはちょくちょく…実家には帰ってないっすけど」
与田「帰ってやりなよ、ここまで来たら」
〇〇「今夜が憂鬱…」
井上「楽しみですね」
与田「ね〜」
全くなんでこんな事になっちゃったんだか。
〇〇「さて、気を取り直してエレベーターに乗りますよ」
白い横長のビルに到着。
その端っこから入ってエレベーターへ。
与田「こんなとこよく知ってるね」
〇〇「反対側に本店の入口があって、俺はそっちから知りましたね」
井上「同じ建物にあるんですね」
〇〇「そうそう、離れみたいな感じ」
目的地の9階に到着。
エレベーターを降りると、すぐにお店の扉。
△△「おはようございます」
〇〇「おはようございます。3人です」
△△「こちらのテーブル席どうぞ」
店内の片隅にある2名がけのテーブルが2つくっついた席に案内される。
✕✕「おはようございます〜。お水失礼しますね」 〇〇「ありがとうございます」
✕✕「珍しいですね、お連れ様が2人も」
〇〇「ええ、両手に花です」
✕✕「あら笑 ご注文お決まりの頃にお伺いしますね」
店員さんを見送っていると、対面の2人はひそひそと耳打ちで会話している。
与田「やっぱいつもこの感じ?」
井上「そうですね、でも直接言ってくれる事はほとんどないです」
与田「やっぱそうなんだ」
〇〇「なんです?目の前でひそひそと」
与田・井上「なんでもないです」
〇〇「はいはい…。注文決めてくださいな」
2冊のメニューブックを2人に渡す。
井上「う…、チーズケーキ美味しそう」
与田「めっちゃ種類ある…」
〇〇「ここはそれが名物的なトコありますからね」
井上「でもこのあと餃子…」
与田「…ちょっとくらいなら大丈夫じゃない?」
井上「…ですかね?」
女子の悩みは尽きないよなぁと思いつつ、スタッフさんに目で合図。
✕✕「はい、お伺いします」
〇〇「抹茶黒蜜カプチーノとチョコバナナを」
井上「…桜もちミルクと桜のベイクドチーズケーキでお願いします」
与田「桜ラテとあまおうのレアチーズケーキで」
✕✕「はい、少々お待ちくださいね」
にこやかにスタッフさんがテーブルを離れると、和が店内を見渡す。
井上「〇〇さんが好きそうな雰囲気」
〇〇「流石。俺の好みをよくご存知で」
井上「ふふふ…」
与田「ホント仲良くなったねぇ」
だっちょさんがちょっとからかうように言う。
〇〇「元から仲いいよなぁ?」
井上「元から…はどうですかねぇ笑」
和は笑いながら。
井上「まぁ、最近は仲いいって言っても、いいんじゃないかなって思います…」
照れくさそうに視線を逸らす姿を見て、俺はだっちょさんに耳打ちする。
〇〇「最近なんかこういう反応返ってくること増えまして、かわいいと思いません?」
与田「はいはい笑」
井上「ちょっと〜、何2人でひそひそ話してるんですか」
照れくささ継続中なのか、やや睨むようにこちらをみる和。俺とだっちょさんは顔を見合わせ、
〇〇・与田「なんでもないです笑」
井上「もぅ〜」
意趣返しってわけじゃないけど、そっくりそのままお返ししておいた。
✕✕「おまたせしました」
スタッフさんかニコニコと、注文の品をテーブルに並べてくれる。
✕✕「ごゆっくりどうぞ」
その声を聞いている間も、和はこちらに視線を送っていた。理由は、
井上「〇〇さん、このカップとお皿って…」
〇〇「そう。いつものトコで使ってるカップと同じ作家さんのだよ」
井上「やっぱり」
与田「なになに」
急に盛り上がりだした俺達に、だっちょさんが戸惑う。
〇〇「すいません、俺達が仕事前に行くお店と使ってるカップが同じメーカー、というか同じ作家さんのなんです」
与田「モーニングルーティンてのはそのことかぁ。ホントに仲良しじゃん。よく行ってんの?」
井上「…まぁ、ちょこちょこと」
相変わらず気恥ずかしそうな和は、照れ隠しなのか、顔を隠すようにカップを傾ける。
〇〇「今はそっちのお店、移転準備で休業中なんですけどね」
井上「…早く再開してほしいな」
〇〇「だなぁ」
だっちょさんはそんな俺達を見てどこか得心がいったようで、ケーキを美味しそうに頬張りながら、
与田「だからオフモードの〇〇みても、なぎちゃん驚かなかったのか」
〇〇「そんな驚くようなことですかね」
井上「初めて見た時は普通に驚きました」
与田「だよね」
〇〇「そういうもんですかねぇ」
一応有給、といっても実際はカメラマン的な立ち位置なんだけども。有給休暇は有給休暇なのと、
〇〇「せっかくTシャツ用意してもらったんで私服にしました」
今回は3人揃ってだっちょさんの自作T着用。
俺 有給消化
和 マイペース
だっちょさん 餃子 ビール
〇〇「だっちょさんの前で私服なの、かなり珍しいですね」
与田「だね」
井上「そうなんですか?」
〇〇「流石に先輩の前でだらしない格好出来ないからね笑」
与田「誰もそんなこと気にしないでしょ」
〇〇「俺がするんです 」
与田「そっちか笑」
だっちょさんは優しく笑う。
与田「…よかったね。今の距離感が、私はいいと思うよ」
〇〇「…ありがとうございます。皆のおかげです」
だっちょさんの隣に座る和が嬉しそうに見えるのも、たぶん、俺の気のせいではないと思う。
与田「梅ちゃんもチートデイの話、嬉しそうにしてたよ。いや、恥ずかしそうに?」
〇〇「梅さん、最後の方完全に出来上がっちゃって」
先日、梅さんと飛鳥ちゃんのチートデイに参加させてもらったのだが、日本酒を飲んだ梅さんがしっかり酔ってしまい、
〇〇「珍しく、結構ストレートに飛鳥ちゃんに甘えてましたね」
与田「おぉ、それはレアかも」
井上「梅澤さん、あんまりそういうの見せないですもんね」
〇〇「ね。だからなるだけ定期的に、そういう会があるといいんだけど」
そこまで言って、帰りのタクシーで飛鳥ちゃんに言われたことを思い出す。いつもこういう時思い出すのは飛鳥ちゃんの言葉だから、ホント俺も梅さんのこと言えないなぁ。
与田「遠い目をしてる」
〇〇「あぁ、いや、もしかしたら、俺も定期的に飛鳥ちゃんに甘えてんのかもなぁと」
与田「……珍しい」
〇〇「…何がです?」
与田「…ほら」
だっちょさんは隣に座る和を指差す。
視線をそちらに向けると、和は驚いたような、呆気にとられたような顔をしていて、
井上「…いや、私は別に」
見られていることに気づくと、気まずそうに目を逸らした。
〇〇「ん〜?」
与田「珍しいんだって。〇〇が甘えるなんて」
〇〇「…そうですか?むちゃくちゃおんぶにだっこですけど。特に先輩方には」
与田「いやいや、めちゃくちゃ肩肘張ってるって。だらしないカッコで会えないって時点で甘えもなにもないでしょ」
ちらりと和に目を向けると、こくりと頷く。
〇〇「あれ〜…?」
与田「これは重症だ」
そう言うとだっちょさんは、和にひそひそと耳打ちする。
与田「…攻めるならその辺かもよ」
井上「…っ!?」
だっちょさんが何か言った途端、和の顔が真っ赤になる。
〇〇「ちょっと〜、何吹き込んだんですか」
与田「なんでもなーい」
〇〇「何でもないとは思えない状態だから言ってんでしょうが」
井上「…お、お手洗い行ってきます」
顔を伏せたまま、そそくさと席を立つ和。
与田「…なぎちゃんホント可愛いよね」
〇〇「可愛いからっていじめないでくださいよ、中学生男子じゃないんですから…」
与田「別にいじめてないよ笑」
〇〇「ならいいですけど…。いつも和に構ってくれてありがとうございます」
与田「…どういたしまして。少しは先輩達にもらった分、後輩達に返せてるかな?」
〇〇「そりゃあもう。だっちょさんの大らかさに皆頼りがいを感じてると思いますよ」
与田「だといいけどな〜」
〇〇「後輩への対応、色々考えてくださってるのは知ってます」
与田「インタビューとか読みすぎだって笑」
〇〇「もうライフワークですからねぇ。今更見ないようには出来ないです笑」
情報はあるに越したことはない。
そこから何処へ繋がってくかわからないし。
そもそも知ることって、楽しいし。
〇〇「俺の中で梅さんがお母ちゃんなら、だっちょさんはお父ちゃんなんすよね。ちょっと心配性な梅さんに、まぁやらせてみようよって言って、見守ってくれるみたいな」
与田「その結果大惨事になって怒られることよくあるけどね笑」
〇〇「それも経験ですよ笑 心配も期待も、等しく思いやりですから。思ってもらえるのは幸せなことです。俺もつい最近知ったことですけど」
与田「そっか。〇〇も色々考えてるじゃん」
〇〇「浅学非才の身ではございますが、あらん限りの力は込めてるつもりです」
与田「意味はよくわかんないけど、一生懸命やってるってことはわかった」
〇〇「笑」
〜〜〜〜〜〜
落ち着いたらしい和が席に戻ってきたので、お会計を済ませて店を後に。人通りの少ない道を歩きながら、オープニングと導入を撮り終え、俺達の餃子の旅が始まる。
与田「はい、最初のお店に到着でーす」
井上「わ〜」
パチパチと拍手する和。もちろん外ってのもあるけど、やっぱりそんな大きい音ではないと思う。
与田「こちらのお店はなんと、昭和32年創業なんだって」
井上「すごーい。愛されてるお店なんですね」
カメラマンを務めつつ、簡単にお店の情報をまとめたカンペを提示。なるだけプライベート感を出したい。普段のお店の雰囲気で撮りたい。という指示により、今回はスタッフの同行すらない最小構成。
与田「それじゃさっそく、行ってみよー」
井上「おー」
店内に入り、軽くレポを撮ってオーダーを通したら、一度カメラを止める。
井上「60年以上って凄いですね。親もまだ生まれてないです」
〇〇「一度閉店はしてるんだけどね」
与田「そうなんだ?」
〇〇「餃子を作ってる工場の責任者の方が体調崩したとか、設備の老朽化が理由で2020年に一度」
井上「でも、今も営業してるってことは、復活したってことですよね」
〇〇「うん。お客さんの声とか、飲食店のサポートをする会社からの事業継続のオファーとかが凄かったみたい」
井上「…愛されてるんですね」
〇〇「だね。当たり前だけど、続くって凄いことなんだなぁって思う」
どんな仕事でも、どんな形でも。
価値があるだけでは、やる気があるだけでは続いていかない。
〇〇「どんなに評価が好調でも、1人の天才がいても、それだけじゃ続いていかないんですよね。そういう場があって、支えてくれる人達がいて、後に続く人達がいて初めて、続いてくんだなぁって」
繋がり。
目に見えないそんな曖昧なもので、今までもこれからも、続いていく。
〇〇「オリメンの皆さんが卒業して、新体制になって、それでもまだ乃木坂が続いて、13年目に突入したのも、その地位を築いた先輩達の努力は勿論、今いるメンバー達がこれからも乃木坂支えて行くんだって気持ちでいてくれるからこそなんだと思うんですよね」
受け継いでいくこと。
変化を恐れないこと。
それでも曲げずに貫くこと。
この瞬間を当たり前だと思わないこと。
〇〇「色んな人達が、色んな形で支え合って、これからもずっと続いていったら素敵だなぁって」
井上「…続きますよ。ずっと」
まっすぐ。
迷いなく、そう言って和がこちらを見つめる。
与田「頼もしい〜」
井上「あ、いや、私だけの力じゃ勿論無理ですけど、メンバーみんな、乃木坂が好きだから」
急に恥ずかしそうにあたふたと言い訳をする和に、本当に頼もしさ、成長を感じる。
初めから仕上がっている。加入当時からそんな感想を抱くに十分なオーラを放っていたこの子も、壁にぶつかり、思い悩み、成長して来た。
運営側からの期待は高かったし、求められる基準も、課せられるハードルも高かったと思う。
涙した事も一度や二度じゃない。
そんな子が、こんなにまっすぐ、自分の立つ場所を守り、支えていく覚悟を決めていることが誇らしい。
店員「はい、お先に生2つと烏龍茶です」
与田「ありがとうございます。なにはともあれ乾杯しよっか!」
〇〇「ですね」
グラスとジョッキを手に、2人はこっちをじっと見つめる。なぜ俺?と思いつつ、あーだこうだ言うのも野暮か…と、ジョッキを掲げる。
〇〇「長旅ご苦労さまでした。お仕事中ではありますが、楽しんでいきましょう。乾杯!」
井上・与田「乾杯〜!」
〇〇「はい、番組用の乾杯シーンも撮るんで、そのままお待ち下さい」
与田「テンポわる!」
井上「笑」
〜〜〜〜〜〜
〇〇「はい、オッケーです」
番組用の乾杯、餃子着弾、食レポも無事撮り終わり、のんびり残りの餃子を楽しむ。
与田「お仕事で昼から餃子とビールなんて、何度やっても最高すぎる」
〇〇「今後も好評なら、場所変えて何度も出来ますしね」
井上「…お酒、美味しいですか?」
未成年らしい問いかけに、俺とだっちょさんは顔を見合わせる。
〇〇・与田「うまい」
井上「笑」
〇〇「いや、別に飲まなくてもいいんだけども、やっぱうまいかどうかと聞かれると…」
与田「うまい」
同意の頷き。
与田「なぎちゃんはあと1年だっけ」
井上「はい。早くなりたいような…、もう少し子供でいたいような…」
〇〇「自然と歳は重ねるのものだし、今は今を楽しめばいいと思うけどね」
与田「5期生ちゃんは今誰が飲めるの?」
〇〇「瑛紗、アルノ、桜、美空、姫奈ですね」
与田「もう誰かと飲んだ?」
〇〇「こないだ初めて瑛紗と、大阪行ったときに」与田「美術鑑賞か」
〇〇「はい、そうです」
有給休暇を利用して、大阪にある中之島美術館で開催されている“モネ 連作の情景”を観に行こうとおもっていたのだが、それをなんとなく瑛紗に話したらついて行きたいと頼み込まれてしまった。
〇〇「結局色々調整かけてなんとかスケジュール捻出しましたけど、立場上無下に断るわけにもいかんのです…」
井上「私も行きたかったなぁ…」
いじけたように唇を尖らせながら、小皿に入れた味噌ダレを混ぜる和。
〇〇「いやぁ…、流石に貴女と遥香のスケジュールはどうにもなりませんでしたよ?」
話を聞きつけた和と遥香も同行を希望。
2人も絵に対する関心が高いのはもちろん分かるけども、それぞれ期でトップレベルのスケジュール過密コンビなので結論、無理!と相成りまして。
与田「まぁ、そこ2人は黙ってられないよね」
〇〇「東京で開催中ならまだしもって感じですけどね…」
与田「…いや、そっちじゃなくて」
〇〇「…?」
与田「…まぁ、それも込みで今回の神戸旅行だしね」
井上「はい、決まった時は凄く嬉しかったです」
ニコニコと嬉しそうな和。
よくわかんないけど、楽しそうだからいいか。
与田「じゃあ、その日の詳細を聞こうか」
井上「聞きましょう」
ニコニコからスッと真顔になる和。
よくわからないけど、圧がすごいから言うか。
〇〇「そう言われても、普通に美術館鑑賞して、ご飯食べて、ちょっとお酒飲んで帰っただけですよ」
与田「何食べたの?」
〇〇「…グリルサンドです」
井上「よく行ってるお店ですか?」
〇〇「まぁそれなりに…」
井上「お酒を飲んだのはどんなお店ですか?」
〇〇「…浮世絵のギャラリーです」
それを聞いた2人はキョトンとする。
与田「…ん?」
井上「…浮世絵?」
〇〇「…はい」
井上「ギャラリーでお酒?」
〇〇「はい…」
与田「どゆこと…?」
〇〇「浮世絵の販売してるギャラリー内にBarがあるんです…」
お店の名前を教えると、2人はスマホで色々調べだして、なんかうやむやになったので、まぁいいかな。
〜〜〜〜〜〜
与田「美味しかったな〜」
井上「皮がパリッとしてましたね」
お店を出る頃にはすっかりご機嫌な2人を次の店へ誘導する。
〇〇「中華街に移動しますよ」
すたすた10分ほど歩くと賑やかな雰囲気と共に、白い門が見えてくる。
〇〇「ここから南京町ですね」
与田「おぉ〜」
〇〇「それじゃここでも少し回しますよ」
井上「はーい」
南京町到着から通りを歩き、賑やかさをレポートをしたら、路地にある目的のお店までを収録。運良く待つこと無くテーブル席に着席できたので、一気にオーダーまで撮り終えることができた。
与田「スムーズ」
〇〇「ラッキーでした」
井上「ここは注文のシステムが決まってるんですね」
壁の張り紙を見ながら言う和。
〇〇「餃子1人2人前から。追加注文は無し。このシステムのとこチラホラあるから、これが基準だと思っておくといいかも」
与田「へぇ〜。話変わるけど、隣お寿司屋さんだよね」
井上「あ、私も思いました。中華街にお寿司屋さんあるんだ〜って」
与田「しかも本格的な雰囲気」
〇〇「意外と色々あるんですよね中華街。昔ながらの雰囲気な純喫茶とか」
港町だからか、この街は様々な文化が入り交じる。そういう中生まれ育ったのが理由かは分からないが、自分自身、多様性に楽しさを見出すタイプだと自覚がある。
〇〇「それぞれの個性を持って集まって、一人一人が一生懸命頑張って、全体が盛り上がって。そういうの素敵だなぁと思うんですよ」
自分自身の色をなるだけ抑えて、チーム一丸一色に染まるプロフェッショナルな感じも、それはそれでいいんだけれど、それぞれに持ち寄った個性のピースが思いも寄らない形でハマる瞬間ってのは、えも言われぬ良さがある。
〇〇「俺が乃木坂いいなって思ったのも、そういう部分が大きいのかも」
なにも知らず、何者でもないままやって来たピース達は、自分の居場所や役割を考え、少しずつ形を変えながら、乃木坂という大きなパズルを構成するピースへと変化していって。
いつか大きなピースは外へ巣立っていき、空いたスペースを周りのピースが形を変え、埋めていく。大きな枠組みは変えず、しかし絶え間なくそれを構成するピースは変化して。
〇〇「変わっていくモノと変わらないモノ。どっちも合わさって乃木坂って感じで」
じっとこちらを見る2人に、急に恥ずかしくなってしまう。
〇〇「すいません、なんか語っちゃって」
与田「それはいつものことだから大丈夫」
〇〇「あれ〜…」
井上「笑」
店員「はい、生2つと烏龍茶です」
〇〇「ありがとうございます。はい、撮影再開しますよ」
与田・井上「は〜い笑」
〜〜〜〜〜〜
〇〇「はい、オッケーです」
与田「よーし、これでゆっくり食べれる」
井上「切り替えが早い笑」
〇〇「しかし3期中心に、乃木坂のメンバーは本当に餃子好きですよね」
井上「確かによく聞きますね。餃子パーティーとか」
〇〇「久保さんの餃子、まだ食べたことないんですよね」
与田「言ったら喜んでごちそうしてくれると思うけどね」
〇〇「う〜ん、ちょっとそういう企画考えようかな…」
与田「久しぶりに〇〇の料理も食べたいけどな」
〇〇「それこそ機会があれば喜んで笑」
井上「…そういうのって、どういう機会なんですか?」
ちょっとふてくされたような和。
〇〇「昔はMV撮影の時にメンバーがちょっと料理する機会があったりしたんだよ」
与田「撮影の合間に豚汁作ったり」
〇〇「そうそう。そういう時、俺大概ヒマしてたから」
井上「いいな〜…」
〇〇「まぁ流行病の事もあって、今は中々ね…」
与田「それこそ、ちゃんと企画組んで5期の子らとご飯作ったり食べたりしてもいいんじゃない?」
〇〇「…正直5期生はもうちょい料理出来た方がいいような気もしてます」
あ、いけない。
〇〇「和、茉央、いろはあたりは割と出来る方ではあるんですが…」
井上「…なんかひっかかるんですけど」
〇〇「なにごとも一緒くたはよくないかなって」
与田「どいつの料理が良いでショー、中々すごかったしね笑」
井上「〇〇さんは料理得意なんですか?」
〇〇「苦手ではないと思ってるよ。おひとり様天国何年も満喫中だし」
与田「そんなドヤ顔で言うことかな笑」
〇〇「うーん、そのうちキッチンスタジオでも借りてどいつの料理が良いでショー5期生限定版でも考えますかね〜」
井上「もし実現したら、優勝狙います」
〇〇「おぉ、負けず嫌いが出てる」
井上「5期生だけなら自信あります笑」
与田「何気にひどい笑」
〜〜〜〜〜〜
〇〇「さぁ3店舗目ですよ」
お店前の列に並びつつ、ご迷惑にならないようにカメラを回す。
与田「おー、平日なのに並んでる」
井上「場所も駅すぐ近くだから来やすいですね」
店内のテーブルに着席すると、本日3度目のオーダーを繰り返す。
与田「もうメニュー表を見るまでもない感じ笑」
井上「常連みたい笑」
店員「はい、生2つと烏龍茶。餃子6人前です」
井上「はやーい」
与田「列並んでる間にオーダー取ってもらったもんね。さっそく頂こう」
与田・井上「いただきまーす」
与田「皮がモチッとしてる気がする」
井上「確かに今日行ったお店で一番モチッと感ありますね。味噌ダレは結構サラッとしてます」
与田「味噌ダレは1店舗目が一番しっかりだったかも」
3店舗ともなると餃子のレポも慣れたもんである。
井上「どんどん列伸びてるみたいです」
与田「大人気だ〜」
店の外まで気を回せる余裕ぶりで、さっくり予定分を回し終えた。
〇〇「はーい、あとはご馳走様シーンと〆コメント撮ったら最低限の撮影は完了です」
与田「お〜」
井上「お疲れ様です〜、はまだ早いか」
〇〇「かな笑」
俺もありがたく餃子をつつき始める。
与田「えーっと、お迎え来てくれるんだっけ」
〇〇「…ええ。いらないって言ったんですけど、どうしても行くって」
井上「…そんなに嫌でした?」
ちょっと申し訳無さそうな和を見ると、罪悪感が湧いてくる。
〇〇「嫌っていうか、恥ずかしいんよ」
普通、担当アイドルが自分の親に会うことなんてないでしょう。逆ならまだしも。
井上「じゃあ良かったです」
〇〇「いいんかい…」
与田「おお、それっぽいツッコミ」
〇〇「まったく…。夕飯からって言ってるので19時頃ですかね…」
与田「じゃあまだ結構時間ある感じか」
〇〇「そうですね。周辺散策して、疲れたらお茶しますか」
井上「街並み見たいですもんね」
与田「よーし、じゃあとりあえず残りの餃子を美味しくいただこう」
井上・〇〇「はーい笑」
DOWN TOWN(シュガー・ベイブ) END…
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ライナーノーツ
今回は和&与田ちゃんのコンビと共に、〇〇の地元神戸へ。テーマソング的にシュガー・ベイブのDOWN TOWNを。繰り出しましょう。
ララLIFEでの与田ちゃん餃子台湾旅行からの派生として神戸餃子旅行と相成りました。
本来は前編後編の構成の予定だったのですが、このまま行くと前編・中編・後編の形になりそうな…。
結局カットになりましたが
・にんにく
1店舗目はぎょうざの店 ひょうたんなんですが、こちらはにんにくスライスの醤油漬けがテーブルに備え付けられてるんですが、コイツを食べるかどうかの小競り合いをカット。
・味噌ダレの比率
大体のお店はテーブルに味噌ダレと共に酢や醤油、ラー油などが置かれているので、各々ブレンドして使うのですが、味噌ダレのベスト配合の話なんかしてどうなるんやとカット。
・お酒の限界値
自分のお酒の限界値を知る。みたいな20歳そこそこの酒飲み達がやりがちなトーク。
次回は入社したての頃の〇〇と3期生の関係性の構築回想と神戸旅行の夜を書く中編を予定。
短くなるかな?どうかな?といった感じ。
よろしければお付き合いください。
次のお話
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