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側弯症 -scoliosis


病態 -condition-

脊柱を正面から見た場合に、左右に曲がっている状態

先天性なものや後天性なものがある
・先天性:胎児期に背骨が正常に発達しなかったことが原因
・後天性:姿勢の悪さや、筋肉の偏り、重い荷物の運びが原因

脊柱の弯曲が重症になると、座るのが困難となる
(骨盤の傾斜によるもの)


コブ角 -cobb angle-

脊柱の上下で最も曲がりの強い椎体から直線を伸ばし、その2本の直線の交差する角度のこと

コブ角が10°以上であるものが側弯症と定義される
40~50°は手術が必要となるが、痛みの症状を出すことは稀

コブ角が50°以上を成長終了期までに残してしまうと、呼吸機能障害、腰背部痛の発症が生じてしまう


前屈検査 -forward bending test-

側弯症のスクリーニングテスト
前屈検査⇨肩周辺、背中、腰部の順に左右の高さに差があるかを調べる

側弯計よりも感度が高いため、最良の非侵襲的臨床検査である


機能性側弯症 -functional scoliosis-

背骨自体には原因がなく、疼痛、姿勢、下肢長差などの原因による一時的な側弯状態
⇨背部以外の上記の原因を取り除くことで側弯は消失する

弯曲は軽度では捻れを伴わない

長時間この弯曲状態が続くと「特発性側弯症」に移行する


特発性側弯症 -ldiopathic scoliosis-

特発性側弯症は、最も一般的な脊椎変形
有病率は0.3~13.3%

手術以外の治療法としては、装具固定、運動、筋肉の電気刺激
※装具は、進行を止める効果がある唯一の非外科的手段

吸気筋トレーニングが、従来の運動プログラムと比較して、呼吸機能、呼吸能力、機能的能力の改善に有益

思春期特発性側弯症は、全側弯症の80~90%を占め、女性が男性の5~7倍発症
⇨原因は未だ不明で遺伝的な疾患と言われている


先天性側弯症 -congenital scoliosis-

脊椎の生まれつきの形の異常

安定した半脊椎から、胸壁の異常や進行性の脊椎変形まで、幅広い病態を示す

先天性半脊椎を早期に外科的に矯正すると、医原性脊椎管狭窄症や神経学的合併症を引き起こすことがなかった


神経筋原性側弯症 -neuromuscular scoliosis-

特発性側弯症とは異なり、より複雑な合併症の発生率が高くなる

上部および下部運動ニューロンに影響を与える症状やミオパシーなど、さまざまな神経筋障害と関連

非外科的対策では、筋緊張低下または拘縮に続発する脊椎変形を予防することを目的とする

手術により、水平な骨盤上でのバランスの取れた脊椎を実現し、良好な機能的結果を得る


進行 -progression-

50°以上の側弯症は、成長終了後も平均年間1°進行

80°以上になると呼吸器機能障害、腰背部痛が起こる


装具 -brace-

弯曲の大きさが25~40°である未熟な患者における思春期特発性側弯症に対する最も古い治療法

成人の変形患者では、装具が病気の自然経過に影響を与える役割はほとんど証明されてない
⇨骨格的に成熟しているため

乳児および先天性側弯症では、側弯の進行を防ぐために日常的に外科的矯正が必要

装具の最良の適応症は、コブ角が45°未満の特発性柔軟弯をもつ骨格的に未熟な思春期の患者の治療

装具の装着により、弯曲進行率と手術率が大幅に低下する
装着時間と使用効果に比例関係がある
※装着推奨時間は「full time」(入浴時以外)


理学的療法 -physical therapy-

脊椎変形を軽減し、生活の質を改善するためには運動が有効
⇨抗重力筋の強化、脊柱の柔軟性改善

ピラティスはコブ角と体幹回旋を減少、痛みの軽減、体幹ROM増加、QOL改善

シュロス運動は、コブ角30°以上よりも10~30°の方が有益な効果がある
⇨コブ角と体幹回旋を減少、胸部拡張、QOL改善
※コア安定種目よりも効果的であった


シュロス運動®︎の目的は、カーブの進行を抑え、脊柱の捻れを減らし、肺活量を増やし、見た目をよくし、バランスの取れた身体にする。


治療 -treatment-

側弯症の発生予防の証拠はなく、進行予防に関しても世界に認められた科学的証拠はない

接骨院やカイロプラクティック治療の有効性は証明されてない

脊柱側弯症を伴う肺機能不全を避けるために胸部脊柱の柔軟性を維持することが重要


参考文献 -references-



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