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投資家目線で見る就活生向け業界分析 大手デベロッパー編①~三井不動産、三菱地所、住友不動産~

主に財務面、事業面からの各社分析になります。
対象企業は三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産HD、野村不動産HD、森ビルの6社です。
今回の①では三井不動産、三菱地所、住友不動産の三社をとりあげます。
業界分析の一助となれば幸いです。
ただあくまで一大学生の分析ですので話半分に見てみて下さい。


業界全体分析と展望

テナントやビルのオーナーとして賃貸収入を得ることが主要ビジネスであるこの業界の収入性の安定度は間違いなく良い。各社好物件、好立地の土地を確保しておりその収入源が短期的に断たれるとは考えにくい。
ただ中長期目線で見た時にどうだろうか。三井不動産もリスクとしてあげているがまず日本国内においての人口減少、少子高齢化問題があげられる。これにより国内需要が減少することは間違いない。よってインバウンド需要の掘り起こしや海外を拠点とした事業基盤の強さなどが重要になってくるのではないか。
また、コロナ禍で地方に拠点を移した企業があったようにこれからDX化が進むことでオフィス離れが進む危険性も考えられる。ここ最近の潮流ではやはりリアル出勤に回帰している模様だがその可能性はゼロではない。

よって各社評価の際重要視するべきは海外事業に対してどうとらえているかにあると考える。
個人の視点から良、並、不安の三段階で評価する。

各社比較

財務分析 

三井不動産 良

ホテルやリゾートが好調なことから最高益を記録。営業益も続伸。
自己資本比率は31.9%、ROEは6.7%、ROAは2.2%、EPSは207.8円(2023.3)。
株価も順調に上がっており、安定した成長がみこめる。
財務数値の2025年目標をROA5%としているがこれは現状のおよそ倍である。はたして可能なのだろうか。
時価総額業界1位

三菱地所 悪

主力事業の調子が良くない。賃貸事業がビル稼働棟数げ減ったことで減退。海外事業も縮小し、固定資産の売却を行い数値上利益の補填を目指すも届いていない。そのため営業利益が下がると予想される。ROAは2.4%、ROEは7.9%、EPSは125.5円(2023.3)。ROAは20年3月期予想である3.9%からかなり下がっており、収益性の低下を指摘できる。株価のボラティリティも高く、安定しない。財務面で2030年の目標はROA5%としている。ROEの目標は10%、EPS目標は200円。
時価総額業界2位

住友不動産 良

連続最高益。賃貸は羽田の複合施設が貢献したことにより増益。マンションの引き渡しでも増益。最高純益を更新した。ROEは9.4%、ROAは2.5%、EPSは162円(2023.3)。株価は比較的安定している。財務目標を最高益連続更新、3か年累計経常利益7500億円、当期利益5000億円としている。これは達成可能性が非常に高いと私はみている。
時価総額業界3位


事業展望分析

三井不動産 並

中期経営計画で「グローバルカンパニーへの進化」を掲げている。
海外事業の飛躍的な成長というものを指針としており、海外事業に力を入れる方針が伺える。
海外事業利益を30%程度にすると具体的な目標も立てている。
ただ具体的にどこの地域に力を入れるのかなどは分からない。
そのため"具体的な取り組み方針"があまり具体的でない。ぼんやりした印象を受ける。

三菱地所 良

成長戦略として海外アセット事業、ノンアセット事業の展開をあげている。
事業利益の成長性も海外アセット事業とノンアセット事業、それぞれ率でいえばかなりの成長を展望している。しかし事業セグメントの内訳は大きく変わらず、依然国内アセットに頼る方針が継続するだろう。
海外事業では特にアジアを中心に成長戦略を描いている。正直中計において、欧米に関しての記述がアジアに比べザックリしており、力の入れ具合から欧米よりアジア、の方針が透けて見える。
事業方針はよいが実際海外案件は縮小、賃貸事業も停滞しており立て直しを図ることになるだろう。
ビルの空室率がリーマンショック付近の水準になっていることも少し気になる。

住友不動産 不安

あくまで東京のオフィスビル賃貸を確固たる基盤と位置付けることは変えないとしている。海外事業に関する言及が中計のどこにも見られない。しかしインドのムンバイで795億円を投じ、大型用地を獲得している。この点から海外事業投資を行いはすることがわかるが、積極的な姿勢は中計から伺えない、、。

前半総評

業界地位、展望、直近業績から見るとこの三社では三井不動産が一番良いと考えます。
年収や平均勤続年数も申し分ないです。(これはデベロッパー業界全社に言えるかもしれませんが)
就活生に人気があることも納得です。面接ではWhy○○社?に的確に答えられるように、当記事を少しでも役立てて頂きたいです。
また、財務数値はすべて23年3月のものなので最新決算の参照もオススメします。

以上で①の分析は終了です。次は②の記事でお会いしましょう。
反響と気分次第で②の執筆時期は前後します。



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