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カンボジアPoker放浪記 Day1

カンボジアのポーカー事情についての記事を出しましたが、その反響が中々よかったので振り返りの意味も込めてより詳細につらつらと書き綴っていきます。よろしくお願いいたします。


序章

「カンボジアに遊びにこない?」
こう声をかけてくれたのはバイト先の先輩だった。

僕は日本のアミューズメントカジノでポーカーディーラーのバイトをしていた。その先輩は元々カンボジアのカジノで働いており、カンボジアに帰るという。

行きます!!
即答した。
海外カジノへの興味、8年ぶりの海外。行くしかないだろうと。

そうと決まれば事前準備。大学の寮で共同生活しているカンボジア人の友達にくわしく聞いてみることにした。
「カンボジアで気を付けた方がいい事ある?」
「そうだな、、麻薬勧められることあっても手を出さないこと。そして携帯を路上で操作したりイヤホンをつけて歩いたりしないことだな。そのままひったくられるぞ」

ここで悟りを得た。あ、これうだうだ考えても意味ないかも。

現地にもう先に行って生活している先輩から、入れておいた方がいいアプリを教えてもらい、赤のバックパック一つで家を出発するのだった。

Day1

成田空港に到着。早速搭乗手続きを進めていくが早速トラブルが発生する。

「帰国の便は予約されていますか?」
「いや、してないです」

僕は予定を決めるのが嫌で、とりあえず行くだけ行って飽きるか金が無くなれば帰ろうと考えていた。ただこれが問題視され、苦言を呈された。

「まあ、お通ししますがカンボジア到着時に止められる可能性高いですので帰国便の予約をお勧めします」

到着時のトラブルが怖かったため、致し方なく出発前に帰国便を予約した。
気ままに縛られることなく旅しようと思っていたにも関わらず、あっさりとその信条を捨て去り帰国便を予約してしまった。
「自由人」だぞ、俺は!!と意気込んで成田に行ったものの少し不安を煽られただけで出鼻をくじかれ、自分の意思の弱さをつくづく実感した。

ちなみにカンボジアの空港で帰国便の予定を聞かれることはなかった。

ベトナム航空に乗りまずハノイへ出発。ハノイの空港で乗り換えだったが、乗り換え先がわからずあたふたし、係員に教えてもらうなんてこともあったがなんとか待合席に到着。

VN837 Siem Reap行にのる

1時間ほど待っていたが、このシュムリアップ行きに乗る面々が、皆顔に生気のないことに気づいた。この人たちはなんなんだろうか。海外旅行に行くワクワク感などはないのだろうか、それとも仕事なのだろうか、、。

彼らの顔からはとてもシュムリアップが楽しいところだとは思えなかった。少し展望が怪しくなってきたなと思っていると何やらクリームを塗っている人が目にとまった。どうも蚊除けクリームらしい。そこではじめて自分が何も対策していないことに気づいた。あわてて空港内を歩き回り「モスキートのクリームはないか」と店員に聞いて回ったが、ポカンとしている人ばかり。諦めて到着後に買うことにした。

さて、シュムリアップ行きの飛行機に乗車。席は三人掛けの窓側で隣の二つにはインド人二人組みが乗っていた。乗車直後に、カンボジア入国時に記入必須の入国書類が配られ記入を促された。僕はちゃちゃっと書いてぼんやりしていると隣のインド人が話しかけてきた。英語なのかもしれないが、全く聞き取れない。どうも書類の書き方がわからず教えてくれとのことらしい。とりあえず僕の書類を見せて写してもらうことにした。彼ら二人だけかと思っていたら急に別の島のインド人にも僕の書類を回しだした。え、と思ったが彼も仲間だった模様。この行動一つとっても異国に来た事を実感する。

その後機内食で出てきた何とも言えないサンドウィッチを、もさもさ食べていた。ホットドッグ等に使われるパン(パサパサver)に千切りにした野菜がたくさん入っており、東南アジア風味のマヨネーズで味付けされている。ゆっくりペースで食べていたためか、さっきのインド人たちがやけに心配してくれる。おまえ体調が悪いのか、飲み物いるか、云々、、

情けは人の為ならずとはこのことか、とものの五分で実感する。
別に体調が悪かったわけではなく、成田発の飛行機で食べた機内食がまだ残っていただけだったのだが。彼らのフレンドリーさ、距離の縮め方に少しカルチャーショックをうけながら、どこか心地よさを感じていた。

シュムリアップ空港に到着。あまりにも小さく、人の姿もなく、ほんとにここが国際線が停まる空港なのか?と目を疑う。

シュムリアップ国際空港

到着後、てっきり帰国便を聞かれると思っていたが、特に何も聞かれずそのままスタンプを押されて通された。
なんだったんだ。成田のあのやり取りは。

にしても本当に人がいない。正直地方の寂れた駅並に人がいない。少し歩いて外に出る。右手にSIM売り場があったのでSIMを購入しスマホが使えるようになったところで出口左手にあるトゥクトゥク配車口でトゥクトゥクを依頼する。出口付近には野生のトゥクトゥクドライバーがめちゃくちゃ声をかけてくるが無視。空港所属のドライバーなら安心だ。

荷物を載せて宿に出発。と思ったら空港を出たところで停車。
どうしたんだ?と思ったら運転手が話しかけてくる。
おまえ明日はどこ行くんだ。アンコールワットなのか。俺が明日ツアーをしてやるぞ。
なるほどな、と。こうやって契約を取って食い扶持を稼いでいるのだ。
「俺はここに友達がいるんだ。そいつが明日来てくれる予定なんだ。」
これでかわせるかと思ったがこんなものではひきさがらない。
その友達はいつくるんだ?アンコールワット行くのか?そいつは案内してくれるのか?
カンボジアに先輩がいることは事実だがシュムリアップに来てくれるわけではない。だがとりあえずこれを回避しないとそもそもトゥクトゥクが出発しない。
「そうだ。その友達が案内してくれるんだ。」
運転手は観念した様子でうつむき、「まあ必要になったら言ってくれ」と一言。
ちょっと悪いことしたかもな、明日アンコールワットにはいくつもりだし別に値段次第ではツアーしてもらってもよかったかもな、、
そう思いながらトゥクトゥクに揺られていく。現地民の物珍しげな目線を感じながら宿へと向かっていく。

宿に到着。運転手がもう一度聞いてくる。
「本当にアンコールワットツアー、やらなくていいのか」
「いくらだ?」
口をついてでてしまっていた。運転手は嬉しそうな顔をして言う。
「20ドルだ」
「15ドルだとだめか?」
「ミスター、勘弁してくれよ。15ドルだと俺が食う飯もないぜ。20ドルでもギリギリなんだ。わかるだろ?」

5ドル値引きすることに正直ほとんど執着がなかったので20ドルで結局請け負ってもらうことに。明日朝9時に迎えに来てくれるとのこと。

宿に入る。受付に中学生くらいの女の子がいる。
彼女一人で受付をしているみたいだ。流暢な英語で対応してくれる。
とりあえずベッドまで案内してもらう。2段ベッドが6個一部屋に詰め込まれている。他にもちらほら荷物が見えるが、皆どこかに出かけているようだ。二段ベッドの上に案内された。

二段ベッドの上

ただシーツは清潔だし寝心地も悪くない。シャワーはトイレと一体型で二つ同じ部屋に設置されている。
翌日の宿を取っていなかったので明日もこの宿に泊まることを決意。3ドルということもあり即決。翌日の予約も済ませてとりあえず周囲の探検にでかける。
基本的に寂れた町だ。犬がそこら中にいる。

夜、宿付近の道

ちらほらと飲食店は見えるが日本と比べて格段に安いわけではない。
そもそも徒歩で歩いている人もほとんどいない。
宿からワンブロック先のスーパーで蚊除けクリームのオススメを尋ねて購入。
疲労困憊だったこともあり、宿に併設されているレストランで壁にヤモリが大量に張っている中、感動しつつご飯を食べる。

鶏肉のスープとご飯

その後部屋に戻ると他のベッドにいる人たちが勢揃いしていた。
僕の二段ベッドの下にいたのは韓国人。隣の二段ベッドの下にいるのはインド人だ。彼らと話していると、韓国人は学生で東南アジア放浪の旅をしているらしい。明日にはタイに向かうようだ。反面インド人に聞いてみた。

「明日はどこに行くの?」
「明日、、、特に何も決めてないな」
「何が目的でカンボジアにきたの?」
「もくてき、、?うーん、、」

これが本当のバックパッカーというやつか。驚いた。本当に何の目的もなく、ただそこにいる。それだけ。夜食堂に併設されているビリヤード台で酒を飲みながらビリヤードをして、昼まで寝る。そんな生活をただ続けているようなのだ。

このような人もいるんだな、、。どこかうらやましく、それでいてこうなったら人間終わりかもしれないとも思った。

適当なところで話を切り上げ、シャワーを浴びて就寝。
翌日のアンコールワット観光に備えるのだった。


Day2に続く、、、



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