糖尿病と足の関係:糖尿病性神経障害について①
糖尿病は全身に様々な影響を及ぼしますが、特に足への影響は深刻です。世界では20秒に1つの割合で、糖尿病が原因で足が失われているという衝撃的な現実があります。(IWGDF)この記事では、糖尿病と足の関係、特に糖尿病神経障害に焦点を当てて解説します。
糖尿病合併症
糖尿病が長期間続くと、様々な合併症が現れます。これらは大きく2つに分類されます古くから言われているものです。最近では骨や認知症 癌などこの中に入りきりません。
細小血管合併症
大血管合併症
神経障害は細小血管合併症の一つとして位置づけられています。いろんな説がありますが、簡単に理解するには主に神経を栄養する小さな血管が障害されることで発症します。
糖尿病神経障害の進行
糖尿病神経障害は通常、以下の順序で進行していきます:
感覚神経障害
自律神経障害
運動神経障害
ただし、これらの障害は明確に分かれるわけではなく、徐々に重なり合って進行していきます。
また、上記のように分けてますが、詳細には遠位性対称性の多発神経障害と局所性の単神経障害・神経根症に分けられ、主に遠位性対称性の多発神経障害の中に上記の1・2・3が含まれる形です。
感覚神経障害は最も早期に現れる症状の一つです。主な症状には以下のようなものがあります:
しびれ感
痛覚の低下
温度感覚の鈍化
振動覚の低下
よく言われるのは、グローブ&ストッキング型に出ると言われます。手袋と靴下を履いている様なところですね。そしてこれらは足から始まります。これらの症状により、足に傷ができても気づきにくくなります。また、熱いお湯でやけどをしたり、靴擦れに気づかなかったりすることもあります。
自律神経障害
自律神経障害は、体の不随意な機能に影響を与えます。足に関連する症状としては:
発汗異常(足の乾燥)
血流調節障害
足の皮膚が乾燥すると、亀裂ができやすくなり、感染のリスクが高まります。消化器症状としては便秘や下痢を繰り返したり、心臓にも出てきます。
運動神経障害
運動神経障害は比較的遅れて現れますが、以下のような症状が見られます:
足の筋力低下
足の変形(凹足、ハンマートウなど)
神経障害が起こると、足にある内部の筋肉(内在筋)の萎縮が起こります。また、これらの足変形により、足に過度な圧力がかかる部分ができ、潰瘍形成のリスクが高まります。
神経障害の予防と管理
糖尿病神経障害を予防・管理するためには、以下の点が重要です:
血糖コントロールの最適化
定期的な足の観察とケア
適切な靴の選択
禁煙(喫煙は末梢循環を悪化させる)
適度な運動
まとめ
糖尿病神経障害は足の健康に重大な影響を与えます。早期発見と適切な管理が、重篤な合併症を予防する鍵となります。日々の足のケアと定期的な医療機関での検査を心がけ、少しでも異常を感じたら速やかに専門医に相談することが大切です。
糖尿病患者さんにとって、足のケアは生活の質を維持するための重要な要素です。神経障害の理解を深め、適切なケアを続けることで、健康的な足を維持し、活動的な生活を送ることができます。
参考文献
American Diabetes Association. (2024). Microvascular Complications and Foot Care: Standards of Medical Care in Diabetes—2024. Diabetes Care, 47(Supplement 1).
糖尿病診療ガイドライン2024
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?