私は物心ついた時から、なにかにハマると尋常ではない熱意で夢中になってしまう。 十歳くらいの頃、母の漬けるたくあんが急に好きになり、毎夜、夕食でもりもり食べはじめ、何日目かで丸ごと一本たくあんを食べきってしまった結果、翌日、体調をひどく崩し病院に行く羽目になった。高校時代には、唐突に卵かけご飯に目覚め、毎日朝夕、三ヶ月ほど絶えず卵かけご飯ばかりの生活となり、親をひどく困らせた。就職が決まり、卒業まで暇が出来てしまった一ヶ月では、とあるチョコレートが美味しすぎて、ひたすらおやつに
以前にも書いたかと思うが、私は就職し、上京してすぐ、寮に入った。採用が決まったあと、様々な書類のなかに、寮のお知らせがあり、新人で給与も低い私が都内の高い家賃で暮らすことは極めて難しいこと、両親も毎日細々と暮らしていて仕送りは無理なこと、都内に親戚がいないこと、諸々を考えると、残されているのは寮ぐらししかなかった。母からも、寮に入れないのであれば東京に就職させられないと、申し訳なさそうに何度も言われた。仕事は決まったのに、生活の基盤が決まらない、そんなところからのスタートだっ
推しが推してるから、推そう。 最初のきっかけは、そんな軽薄にも思える、しかし私にはとても大事な出来事からだった。声優さん大好きな私の、最推しである森川智之さん。その森川さんが、8/20、始球式をすると知って、お恥ずかしながら横浜DeNAベイスターズの長年のファンであることも知った。これは見逃せない、と私は当日、自転車を走らせ夕食もろもろを手早く買って、ニコニコに張りついた。勇姿を見届けるぞ、と意気込んだ。 番組では、速水さんもご一緒されていて、とても楽しそうだった。私もなん
子供の夢には、憧れがいっぱい詰まっている。 お花屋さん、ケーキ屋さん、看護婦さん、世界を守るヒーロー、学校の先生などなど。甥っ子が幼い時には、「大きくなったら、何になりたい」の質問に、「パンダ」と答えたことを、彼はきっと覚えていない。なれるか、なれないか、ではない。ただ、心に浮かんだ素敵なものが、子供の夢なのかもしれない。 私はいつ、漫画家を目指そうと思ったのか、正直、まったく覚えていない。気がついたら、ノートに落書きをしていた。小学生の頃だ。当時の流行りだった漫画にそっく
私には面白い幼なじみがいる。 友人K(以下K)とは、長らく連絡をとっていないが、年を経れば、それぞれ家庭やら社会やらが絡み、だんだん疎遠になるものだ。そもそも、べったりくっついた仲でもなかったので、なにかの折、また交流を持つことがあれば、その時はきっとあっさり元の鞘ではないかと思っている。 Kとの思い出は、覚えている限りでは小学一年生、中庭の草をむしっていたことだ。別に授業でも課題でもない、無意味に二人で草むしりしていて、会話もろくになかった。たしか、ほかには誰もいなかった
私は昔、自作パソコンを組み上げたことがある。 今はどうか分からないが、当時はお店にけっこうな広さのパーツ売り場があり、客も多く、「パソコンの作り方」というようなタイトルの本も何種類かあった。 その頃、女性がパーツ売場であれこれ物色しているのが珍しかったのか、「○○と□□は、互換性は問題ないけど相性が悪いよ」と教えてくれる男性がいたり、「グラボなら、このくらいのスペックは欲しいところですね」とわざわざ声をかけてくれる店員さんがいた。そこは、まるで宝箱のなかのように、欲しい部品で
フォロワーさんが『匂い』について書いていらっしゃった。 ならば私も、と書き始めたのだが、実はそれ程に香水などを知らない。というかほぼ昔から変わらず同じものを使い続けている。 実は最近、店員さんに勧められ買った、ローズ系のトワレがなくなり、近場のデパートで新しいものを調達しようとした。わざわざ香水のためだけに出かけるのも面倒だし、その店ではコロンなど売っているのを知っていたからだ。 立ち寄ると、あまり気にしていなかったが、思いのほか、色々なコロンが置いてあった。この中から、
タイトル通り、私はなにかを収納するのが苦手だ。下手くそだ。母はよく「お店が開いてるよ」と言ったが、まったくその通りで、なにかを始めるといつの間にか周りが散らかっている。 今は別居の両親宅に遊びに行けば、必ずものを1つ忘れて帰ってしまう。自分では、すべてカバンに詰めたはずが、たいして大事でもない、失ってもすぐに代わりが手に入るような、ひどくささいな品を置き去りにする。ホテルであっても同じだ。チェックインするやいなや、カバンからあらゆるものを出し、なにかを忘れる。 そして、私
人はだれでも、理想とする自分の姿を模索しているのではないだろうか。 そんなものは気にしない、コンプレックスなどない、という方も、まれにいるかもしれないが、例えばもう少し身長が高かったら、とか、あとちょっと痩せていたら、とか、もっと容姿に恵まれていたら、とか、それぞれが悩みを抱えているのではないかと思う。はたからみれば些細なことでも、自分にしたら一大事。その憂いを払拭するため、努力している方も多いだろう。 私にとっての課題は、肌のトラブルだ。特に鼻の頭が、角栓でボコボコと盛り
私は最近、眼鏡を壊した。それも立て続けに、2本。 1本目は、遠視という名の老眼のせいで、手元が見づらくなり、裸眼でスマホを見ていた時、すぐ近くにあった眼鏡に肘が乗っかり、アームが折れた。それはもう、見事にばっきり吹っ飛んだ。 もう1本は、アームが歪んでるので、よせばいいのに自分で直そうとし、力が入りすぎてアームを折った。こちらも、とても直せそうもない有様だった。 自分のせいだ。迂闊さだ。言い訳のしようもない。 だが、この出来事で私は、途端に窮地に立たされた。実際、急性胃炎に
私は学生時代、いじめに近い経験をした。 子供の頃から少し変わっていたことは、薄々自覚していたが、隣のクラスの女子が、のちに友人となる女性に、「あの子と付き合うと、〇〇ちゃんまで変人だと思われるよ。やめときなよ」と言ったそうだ。 私と喋った直後だったので、言いたかった相手は私だとわかったそうだが、彼女は、『そういうことを言う、お前がろくでもない』と思ったそうで、以降、彼女とは仲良くなれた。とても嬉しかった。 また、部活でも無視にあっていた。誰からも話しかけられないのは序の口で、
ある日の、この一言から始まった。 はじまり 実はここ1年ほど、私は肌荒れに悩んでいた。 全体的に毛穴が目立つ。鼻の頭を中心に角栓が気になる。くすんで見える。シミが濃くなった気がする。等々。 情けない話だが、私は若い頃からずっと、スキンケアに注目していなかった。むしろ放置していた。面倒だし、寝たらだいたい大丈夫だし、と己の、手間のかからない肌に甘えきって、手入れを怠っていた。 まあ、そんな具合だから、急に状態が悪くなった肌質に、なにが適切なケアかなんて、まるで分からない
私には、少ないながらも、長くお付き合いのある友人がいる。 それぞれ、住んでいる場所も年齢も性別も性格もバラバラだが、私のような飽き性で、腐ったオタクと仲良くしてくれるのだから、本当にありがたい存在だ。心から尊敬している方々ばかりだ。 そんな長年の友のひとり、Aさんが最近、Xであつ森について呟いていた。私はすっかりご無沙汰になっていて、自分の島がずっと気になっていたが、なかなかゲームを立ち上げられなかった。億劫になっていた。プレイ総時間約600時間、自分がやりたいことを見失っ
2022年12月7日。 私は約2年…いや1年半ぶりくらいだろうか、かなり緊張しながら、スマホ画面の、久しく触っていなかった「メギド72」アイコンをクリックした。 ツイッターなど周年のお祝いで盛り上がるなか、せっかくだから、この勢いに私も乗ってみたくなったのだ。一緒に楽しみたかったからだ。ひどく単純で、安易な理由。けれどそれは私にとって、放置に等しかったメギド72に復帰する、十分な理由でもあった。 他者からみれば、たかがソシャゲ、それもしばらくログインしてなかっただけで、気が
私は長年の腐女子だ。 というより、「女子」というにはいささか気恥ずかしく、おこがましく感じる年齢のため、「貴腐人」の方がより正しい。10代なかばでオタク文化を知り、私の居場所はここだとハマりにハマって、やりたいことは一通りチャレンジした。 同人誌を作ってのサークル活動、レイヤー、中堅サークルさまの東京方面売り子、オフ会参加、個人サイトの制作と運営、プチオンリーの軽いお手伝い、等々。商業BL漫画や小説・ゲームを買い漁り、池袋に足繁く通い、あるいは少年漫画と乙女ゲームに夢中になり
このnoteを書き始めるきっかけにもなった、様々な試みで楽しませて頂いている、比呂ころくさんが、最近、素敵なアンソロジーを発行した。「令和4年度 読書感想文アンソロジー」である。とても魅力的な企画で、私も執筆者として参加したかったが、変な照れがあり、心残りはあれど、純粋な読者として拝読できたので、それはそれで良かったのかもしれないと思っている。本当に待ち遠しかった一冊だ。 読書感想文と聞くと、学生時代の課題のイメージだが、それを社会人を中心に作品を募る、という発想がまず素晴