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BONE

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星空が広がる夜、風が木々の間を通り抜ける音が静寂を破る。
その中で、ひとりの少年が腰骨に手を当てていた。
彼の名前はトウマ。
生まれた時から体の一部が他の人と違っていた。
腰骨のあたりに、輝く石が埋め込まれているのだ。
ある夜、彼は夢を見た。腰骨のあたりから光が漏れ出し、その光が形を取り始めた。
やがて、その光は一本の骨となり、少年の前に立つ。
「私はお前の一部、BONE(骨)だ」と、その骨は語り始めた。
「お前が生まれた時から、私はお前と共にいる。
お前が歩む道を見守り、支え続けてきた。
だが、今こそお前に伝えねばならぬ。
お前の中には特別な力がある。
それは他者を癒し、導く力だ。」
トウマは驚きと共に、その言葉に耳を傾けた。
「どうすればその力を使えるの?」と問うと、BONEは優しく微笑んだ。
「心を開き、他者の痛みを感じ取ることだ。お前の腰骨が光るとき、その力は現れる。恐れずに、その力を信じ、自分を信じるのだ。」
その言葉を胸に、トウマは目を覚ました。
夜明けが近づく空は薄明るく、彼の心には新たな決意が芽生えていた。腰骨に手を当てると、微かな温かさが伝わってくる。
日が昇ると共に、トウマは村の人々の元へと向かった。
病気で苦しむ子供、心に傷を負った老人、希望を失った友人――彼ら一人一人に寄り添い、その手を握った。
すると、腰骨のあたりから温かい光が漏れ出し、彼らの痛みや悲しみが和らいでいくのがわかった。
村の人々はトウマの奇跡を称え、彼を「ヒーラー」と呼んだ。
しかし、トウマにとってそれは特別なことではなかった。
彼にとって、それはただの使命であり、自分自身を受け入れた結果だったのだ。
腰骨のあたりに宿るBORE(骨)の力。
彼の中に秘められた特別な力は、彼自身の優しさと強さの象徴であった。
そして、その力は彼を通じて、周りの人々に光をもたらし続けた。

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