『大人のアスペルガー症候群が楽になる本』備瀬哲弘の感想

刺さりすぎて辛くなる。
こちらは発達障害支援で、カサンドラ症候群になりかけて辛い方等には良い本だと思う。
当事者にも学びが多いと思うが、そもそも社会で生きていくために寄り添おうという気持ちが薄く支援するのが当然だ!というタイプの発達障害者は響かなそうだなと思った。
私はそれは違うだろと思うタイプだが、そう思う気持ちもわかるのだ。
こんなに生きてるだけで大変なんだから、普通に生きていけるお前等はせめて譲歩してくれよと。
それが、発達障害特有の『べき』思考が強くなると、支援すべき!当然!とすり替わっていくのだと思う。
そういう人ほど周りは困るのだけど。
周りと違和感があって擦り合わせて生きていきたいけどどうしようかという人には、自分や支援をする側の人間と、理想的な支援と当事者が求めたい支援の現実のギャップを知る良い本だと思う。
私はがっつり定型発達が馴染みやすい社会の規範に沿って生きるのは無理だが、譲歩できる部分も努力できる部分もあるので、適度な距離感でやっていきたいと思っているタイプなので割と良かった。
周りの迷惑など考えないで本人がいいなら、障害があるのだから支援をするのが当たり前だろと医者や周りの人間に求めるのもありだと思うが、周りの人たちも人間だ。
聖人でも機械でもない。
当事者が一方的にギブばかり求めていると何時の間にか一人になってしまうと思う。
返せるものが少なくても、返すのを忘れてはいけない。
一部の能力値に凹凸があることに、発達障害と名前がついても、それが全ての免罪符になって、衝動性とこだわりを発揮して周りに迷惑をかけまくって良いわけない。
私も散々周りの人間に助けてもらって生きている。
私の発達障害がこの年まで診断がついていなかったのは周りがそれとなくカバーしていたからだ。
大変だったと思う。
というか、何で助けてくれるんだろうと思っていた。
私は仕事でも私生活でも周りの人の足手まといにはなっている自覚はあったので。
同僚に聞いたことがある。
私は、何も出来てないけどなんで皆怒らないでいてくれるのかなって。
『A子は確かにあんまできてないけど。一生懸命やってるのはわかるからさ、だからじゃない?』
一生懸命にやる。
出来ないなりに、規範に沿おうとしている事を見ていてくれていて、まあこれくらいならと色んな人間が少しずつ手を貸してくれることによって生活が回っていた。
結局、それだけ周りに恵まれていても上手く適応することは難しかったし、色々辛いことを言う人もいた。
でも、向き合おうとしていることを見てくれている人もいたのだ。
当事者の人はみんな定型発達とは違っていて苦しいと思うけど、排除しようとする人ばかりじゃない事を忘れないでほしいなとは思う。
私も追い詰められて視野が狭くなると、一人の世界に閉じこもり全てを終わらせたくなってしまう。
当事者と支援者というのは結局、お互いに一人の人間なので、様々な距離感があると思うし、発達障害と一口に言っても程度やこだわりの強さ、コミュニケーションの難しさは人それぞれだ。
みんなが同じ方法で上手くいくわけでもない。
私も、せっかく私の周りで、私と共にいてくれようとする人達がいるので、その人達に何か返したいし、より良い関係がつくれるように努力していきたい。
ずっと私と仲良くしてほしいので。
何時の間にか自分語り強めになってきた。
何時もそうか。
おわり。


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