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フランスでの1カ月が教えてくれたこと

8月末、連日の猛暑。
日本の夏は、厄介だ。湿度が高くてジメジメしている。
エアコンがないと生きていけないほど暑い。

フランスの夏は、爽快だった。気温こそ高いが、さっぱりしている。
数年前の今頃、1カ月間の留学のため、わたしはフランスにいた。
毎日が非日常で、刺激の多い日々だった。

平日は語学学校に通い、フランス語をみっちり学習した。
欧米、中東、アジアと様々な国籍の外国人に囲まれながら授業を受けるのは、最初で最後の体験だろう。

週末はパリをはじめ、観光に出かけた。
石畳の美しい町並みは、ただ散歩をするだけでも心が弾んだのを覚えている。

留学中はホームステイ、地元の優しい夫婦にお世話になった。
毎晩のように家族そろって夜ご飯を楽しんだ。
コース料理のように前菜から食べる形式には毎日驚いた。


1カ月間の海外生活はわたしの人生に大きな影響を与えた。
たった1カ月で?と思う人もいるかもしれない。
正直、わたしも1週間ほどのインド旅行で人生観が変わった人の話は、内心疑っている。

ただ、留学前後を比べるといくつか考え方が変わったことに気づいた。

人に頼ることへの心理的ハードルが下がったことが、最大の変化だろう。

留学前は、何でも自分でこなそうともがいていた。
この生き方で、ある程度うまく進められていたのかもしれない。

しかし、異国での生活は一人では到底生きていけない。
何もかもが違う暮らし。分からないことだらけで脳がパンクしそうだった。
しかし、最初は素直に周りを頼ることもできなかった。
フランスの町で呆然と立ち尽くした。
あのとき感じた、まるで全世界から隔絶されたような孤独感は、一生忘れないだろう。

その日以来、分からないことは誰かに聞くという当たり前の行動が、少しずつ実行できるようになった。

「この電車にはどう乗ったらいいの?」
「ここらへんで美味しいレストランはどこ?」
自分が外国人だったからか、ほとんどの人が優しく助けてくれた。


帰国後も、変わらず周りを頼りながら生きている。
この生き方で、ある程度うまく進められているのかもしれない、今のところは。

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