こんな夢をみた。in夏至night


 まぶしい、強い陽光。


 遠くから年輩の男性の、落ち着いたあたたかい、ゆっくりとした声が聞こえてくる。

「すべてのことに感謝します。
 今日、ここに 生きていることに感謝します。
 今日、ここで あなたに会えたことに感謝します。

 今日、この星の………」

 白髪の短髪をオールバックにした、背筋を伸ばした中年男性が、何かを朗読しながら、大きな透明な乗り物の中央に立っている。
 箱はゆっくりと移動している。
 そこからスピーカーのように聞こえてくる声だった。
 とてもあたたかい、落ち着いた太い声で、ゆっくりと朗読は続く。

 (宗教?セールス?)

 大地に草木はなく、道や地面と言えるものもなく、まるでセラミックか、白く光る金属のような空間だった。
 周囲には、透明な、人が通れるくらいの長いチューブのようなものや、四角いビルのような箱。
 この生きてるおじさんの肌以外…生身のこの人以外に自然な色彩がない。
 ただ、空は青く高く、澄んでいた。

 よく見れば、透明な箱の中や近くで、人々が何か楽しそうに作業している。
 このチューブは人が通るものなんだろうか…。

 そこへ、青年の声が明るく響いた。
「先生!先生!…」

 とてもにこやかにその初老の人に駆け寄ってきて、報告しているらしい。

 白髪のおじさんは箱からふわっと青年のそばにおりてきて、
 「そうですか…ええ、そうですね。」
 と微笑んでいた。

 両肩からふわっとなびいたマントのような、白い大きな布が印象的だった。
 そして恐らく、その下は銀色の甲冑だった。
 甲冑としか表現できないが、固く、全身を隙間なく包んでいるスーツみたいだった。


 更に、おかしなことに、私はそのおじさんのことを、自分だと知っていた。


 ここはどこ???


 と詮索しようとしたら、急に場面転換した。夢ではよくあること、夢らしいなと、思った。

 臙脂のベレー帽をかぶったおじさんが、散らかした机に伏して、居眠りしている目線に切り替わった。
 これはわかりやすく、あの有名漫画家の先生だろう。
 なんてわかりやすい夢なんだ。そうそう、そういう映画あったよ。

 なんて、「夢ですね!わかってます」アピールしていたが、
 やっぱり夢なので、スーッと私の意識が吸い込まれ、その腕の上に頭を置いて眠る感覚が、私の現実の腕のように感じてくる。1人称視点だ。

 右頬を腕に預けていたが、ゆっくりと目を開けた。

 その目線の先、机の上に、小さい『ドラ○もん』が立っている。


 「早く僕を描いてよ。」

 「あぁ……そっか、わかってるよ。」

 「早く、たくさんの人を助けなきゃ!」

 「あぁ、そうだね。…でも漫画で?」

 「はぁ……。それがちっぽけだったとしてだよ、

 君にできる限りをしようとは思わないの?


 その瞬間にぐるぐると、まるで、地球全体の走馬灯のように、あらゆる映像が走り抜けた。

 机の中から、あらゆる世界のフィルムが飛び出して、地球の至る所の戦争も一時の平和も、繁栄も衰退も、飢餓も飽食も、血も涙も、喜びも悲しみも、老いも若いも、誕生も別れも各地の神話も…

 もう、これでもかという人々の感情が溢れ出して、広がった。
 ずっと続いている。わかっている。
 でも、"わかって"ないだろう。

 何人であろうがなかろうが、幾つであっても、それが悪人でも善人でも、

 いつの時代でも繰り返し、感じるものは等しかった。

 いつの時代だって、何人だって、
 痛いものは痛い。
 悲しいものは悲しい。
 
 みんな救われたい。

 あの人だって、人の腹から生まれたんだ。

 どんなに憎かろうと、優れていようと、
 みんな人の子なんだ。

 それをしたのも人間。

 あれをしたのも人間。


 永遠の栄華はない。

 月は満ちれば欠ける。

 この地球上では。



 ドラ○もんを描いたのは漫画家だから、漫画家がつくったと思う?

 ドラ○もんが未来から、本当に「描いてよ」って来たと思う?

 どっちが先かなんて関係ないよ。


 とある漫画家が、その時代のそこに生まれて、
 その時代の中で、その時代の教育を受けて、いろんな経験をして、
 彼が人間として生きている間のその瞬間に、
 彼はその机に座って、ドラ○もんに「出会って」、筆を走らせた。

 それに感銘を受けた人が、また更に人に伝えて、
 みんなに愛されて、みんなの努力の末に広がって、

 今でも子供の目に飛び込んでいるんだよ。

 その子供が未来に「ドラ○もん」をつくって、それが過去に行ったとしても?

 さぁ、どっちがつくった人かな?



 そしたら、あなたはまだわからないようだから。
 感じるより他はない。

 今眠っているあなたの腕。

 あなたの顔を預けているその2本の腕。

 そうだな、掌じゃ足りないね。

 まだ楽をしようとしてるね。

 「祈る」でもなく、「合掌」でもなく、


 その腕(カイナ)にできることがあるでしょう。



 包み込みなさい。


 すべてを。


 抱きとめなさい。




 許しなさい。




 それがちっぽけなことに思えますか。


 それが、あなたの腕でできることです。






 そこで目覚めました。
 それまで今日1日中ものすごく眠たくて…。
 着替えか?化粧か?私のやる気スイッチどこ行った??

 と、1日過ごして、

 もうええわ。一旦諦めよ。寝よ。


 …て、ベッド倒れてから、目が覚めるときがこれって、どういうことなんですか。

 夢ぐらいリラックスさせてくれぇ。

 私の欲を満たさせる夢であれよ〜〜。

 あるやん、いろいろ。
 これでもかってくらい美味しいもの食べられる夢とか、

 ウヒョヒョってくらいお金が降ってくる夢とか……

 あるやん、いろいろ……。



でもなぁ、わかります。
今の私には最適解です。


 この夢がなかったら、私寝ても覚めてもずっとどうしたらいいかわからんかったし。
 寝るだけでもお腹は空くし、お金がないと食べられないし、働かないとお金がないし……。

 それやったら全部やめたーい!!

と思ってもやめられませんやん。

 もうね、そうするしかないんですね、わかりました。
 納得しました。諦めます。

 『一生寝太郎』になりたかったけど諦めます。
 よう考えたら、勿体ない話でした。

 いや、でも、すべては「空」と思ってから、やるせなかったんですもん。
 

 やるせないはやるしかないですね。

 生まれたもんは生きるしかないです。

 例え、生老病死の四苦八苦の愛別離苦の、煩悩まみれであろうとも!

 五臓六腑に沁み渡る、味噌汁の味を知ったからには、
 大いに堪能せねばならんでしょう!!
 疲れたー!って家帰って、美味しいものいっぱい食べて、ガハハハ笑いながらお風呂入って寝る。

 これを目標に、半年、いや、まず明日だけでもやってみよ。
 命の出し惜しみすんのやめてみよ。

 ケチだった〜私、とってもケチだったわ〜


 皆さん、寝る前にスマホでエニアグラム診断とかするとこういう目にあうので気を付けてください。

 それが悪いんやなくて、真実とは……とか考えながら寝てもいいことないです。
 今日も1日、無事終わった。ありがとう。

にしといた方が、寝心地良いです。

うたた寝の現場からは以上です。


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