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あの日

なぜか、大人になって出会う〝同い年〟の人に、親近感があります。〝同い年〟と知って生まれる心理は、日本独特の文化的なものが影響しているのだとか。

短大の茶道サークルがきっかけで、着物が好きになりました。いつか、お気に入りの一枚を見つけて、買ってみたい。と、憧れました。

社会人三年目。休日に立ち寄ったショッピングセンターで、着物が目に留まります。呉服店は、重厚な店構えを想像していましたが、違いました。
入り口に扉はありません。商品は、手に取ることができる場所に。靴も履いたまま。出るのも簡単……。思い切って、お店に足を踏み入れました。

「こんにちは」と、声をかけられ、声の高い小柄な店員Sさんと、着物や仕事のこと等、世間話がとまりません。すると、同じ二十二歳とわかり、不思議と嬉しくなりました。誕生月も同じ十二月。距離がグッと縮まります。

以来、交流が始まります。好きな色柄を分かってくれるので、数年に一度、「これ!」という着物に出会えるようになりました。Sさんが引き寄せているのです。断ったり買ったり、また断ったり。そんなお付き合いが、三十年経った今でも続きます。着付けを習い、着物で過ごす日も増やすことも。

日本は年功序列の傾向があり、部活動でも一歳違うだけで先輩・後輩。同年齢という共通点から、着物好きの繋がりが、深まりました。学生時代の友人よりも親密、かもしれません。

次の週末にでも、久しぶりに訪ねてみようかな。

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