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姿勢

着物の「帯」には役割があります。

帯の種類には、袋帯、名古屋帯や半幅帯など、着物に合わせて素材やデザインが使い分けられています。どの帯にも共通することは、着物の上から、帯を腰の上に巻いて結び、着物を身体に固定させる、ということ。着るために必要なものですが、その他に、「帯」に効果があることを体験しました。


令和四年春学期、早稲田オープンカレッジの講座「声優が教えるヴォイストレーニング」。全十回のカリキュラムは、腹式発声の基礎から、アテレコ体験まであり、コロナ禍の軽い運動の気分で受講することにしました。

講師は、声優の中村俊洋先生。毎回、講座の始めは、一人ずつ姿勢のチェックからはじまります。足を肩幅に開き、つま先立ちをしてからゆっくり踵を床につけ、視線は正面を見ます。

腹式発声には、まず姿勢を整える必要がありました。

「もう少し肩甲骨を付けるイメージで、顎を引いて」と言われるのですが、なかなか姿勢を保つのがきつい状況。痛さしかなく、身体の硬さを感じていました。

長年のデスクワークでは、集中すると背中が丸くなりがちで、姿勢を正したつもりでしたが、少し猫背になっていると言われました。

着物で外出するときには、姿勢よく歩いていたつもりでした。でも、このレッスンで不安になります。着ると背筋が伸びる気がしていましたが、実際、どのように見えているのか、自分ではわかりません。

中村先生にはどのように見えているか、聞いてみよう。この「ボイトレ」は、軽い運動のつもりでいたので、動きやすい洋服にしていましたが、八回目の授業は、着物で出席しました。

いつものように姿勢のチェックがはじまると、「今日はお着物なんですね。直すところがないですよ」と言っていただきました。はじめてです。背中の帯が肩甲骨に触れているので、姿勢を意識しやすいことに気付きました。

さらに、発声練習が始まると、いつもより声を張ることができていました。帯を締めることで、お腹に力が入りやすく、声が出しやすくなっていたのです。

思いがけず、「着る」だけではない、着物の楽しみを見つけました。大きな声を出したいときに、着物はいかがですか。

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