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〇第57回議論「アフリカ州を題材とした国際協力についての授業」(報告者「地理総合」研究チーム)


第57回は「地理総合」研究チームから「アフリカ州を題材とした国際協力についての授業」として、実習で実施した内容をご報告いただきました。


報告者は大学院生で、教科指導力向上実習で兵庫県下の高校で5週間実習されたそうです。


アフリカの政治や経済、課題などを学ぶことでステレオタイプ化されたアフリカのイメージ(貧困やエイズなど)からの転換を図り、日本とアフリカの国際協力のあり方を考える授業実践を紹介していただきました。

最初と最後の授業で同じアンケートを実施し、パフォーマンス課題「日本は今後アフリカとどのような国際協力をするべきか」に取り組みました。


授業を終えて生徒のアフリカに対するイメージがネガティブなものからポジティブなものへの変化がみられ、アフリカ観の転換には成功した実感があるということで、今後はアフリカ観の転換が継続しているのか、どのような言葉かけで生徒の考えが変化したのか調査していきたいとのことでした。


その後、アフリカ州以外に取り上げるべき地域はあるか、生徒自身が主体的にパフォーマンス課題に取り組むためにできた手立て、について議論しました。


【以下、議論】 
・この授業で何を一番教えたかったのか


・パフォーマンス課題の生徒の答えは?また何を狙って設定した課題か?
 →1時間目はアフリカは貧しい地域だから食料や金銭面での援助という案が多かった。4時間目になると人材育成や技術協力などが上がり、日本もアフリカもお互い成長できる協力関係という回答があった。
狙いは相互理解、相互協力の姿勢が見える回答。


・地理的な学び方についてどういう狙いがあったか、地理独特の学び方は?国際理解の難しさを生徒たちは考えていたのか
→経済面が強く出てしまった。
中国との関係を一つのモデルとして新しい関係性や協力のあり方を狙った。なぜ中国はアフリカ地域に進出?なぜこの地域に鉄道?などを提示することで地理的な考え方は育っているかな。
国際協力の難しさは感じていた。
ディスカッションの中で「難しいな」という声もあった。
一方が得をする関係を改めなければ、と思ったようで多くのことを一気に考えようとしてそのような声が出たようだ。



・生徒に考えさせる場面が多いのが地理総合の特徴。
どこに重きをおいてどんな問いを設定してやるのか、難しい。
高校生がアフリカにできることは何か、を考えさせるのがいいかもしれない。

・取り上げられる地域は色々考えられる。ラテンアメリカ。東南アジア。中東。
産油国と非産油国でイメージが違う。資源を持ってるかもってないかもに注目しても取り上げやすい。グローバルサウスからピックアップするのもいい。

・「国際協力」という時点で先入観の塊。
アフリカ自体が混沌としているので、アフリカ全体イメージで扱うことは無理がある。サハラ以南などもう少し限定した方がよかった。指標をしっかりもって授業を進めるのが大事。日本の立ち位置を理解した上で授業を進めるべき。


・どういう地域的課題を取り上げるかによって設定する地域は違う。


・ODAの額や歴史総合とのからみで東南アジアは取り上げやすい。


・西アジアも国家観に差があるので取り上げるとおもしろい。


・アフリカを一つで捉えると誤解がでる。

・鉱山資源の繋がりが自分たちともあるというのを切り口に扱いながら話をすすめる。


・パフォーマンス課題の評価については単元目標を十分にみとることができれば。客観性をある程度捨てて自分の中でこれとこれは差があるとして評価していく必要がある。

今回の課題に切実性があったかも大切。切実に徐々になっていく課題、単元構成なら距離のある地域も学ぶ価値があると思える。教えたいものをどう学びたいものに転換させるか。


・進学校なら最初と最後のパフォーマンス課題の比較は可能かもしれないが、いろんなパーツを集めて最後に気づかせる展開の方が面白い。役割をあたえて自分事化する。自分がアフリカに対して何らかの関わりを持てるという授業にするのもいい。


・パフォーマンス評価のためのパフォーマンス課題。授業でやったことを全力で活用しないとできない課題。授業で得た知識を現実で使えるかどうかを評価するためのもの。


・生徒にとってハードルが高い課題であれば切実性を担保していかなければ。誰の視点で考えていくかも重要。


・教えてないことも評価対象にしてしまうと指導改善に向かわないので教えたことを学んだことを評価対象に。


・あるべき国際協力の姿を生徒に投げたあとで、すべての人がそんなふうに行動できてないのはなぜだろう?と更に追求すると深まるのではないか。


参加者26名

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