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最悪の青春期を救った後藤真希さん

ご飯がすすむTARO様、はじめまして。
僭越ながら企画に参加させていただきます。よろしくお願いいたします。


 モーニング娘。唯一の3期メンバーだった後藤真希さん。

 正統派アイドルグループに突然クールな金髪が入ってきた衝撃。異質と違和感で目立ったのが逆に功を奏したのか、加入直後にリリースした『LOVEマシーン』は自身の歴代最高となる164万枚を売り上げ、長らくカラオケの定番曲となった。

 彼女の魅力は何か。ルックス? 歌の上手さ? 一見クールだが実は明るく元気なところ? カリスマ性? 単純に笑顔?

 どの言葉もしっくり来ない。というか「もっとも憧れたアイドル」として挙げたにも関わらず、私は魅力を言語化できない。私にとって後藤真希さんは同い年で、学生時代という青春期真っ只中に好きになり、あまつさえ疑似恋愛にまで発展した事実上の“初恋の相手”で、それ以上の言葉は必要ないからである。


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 中学までは成績優秀だった。特に数学と英語は何度も100点を取った。学年順位は230人中、最高15位まで上り詰めた。県内で3番目くらいの高校を受験し成績トップで合格した。

 それが嘘のように高校の授業に付いていけなかった。数学も英語も30点台に落ちぶれ、専門科目は0点すらあった。友達が全く出来ず、専門科目の授業を全く理解できないことも追い打ちとなり、僅か9ヶ月で中退した。

 学生ですら無くなった16歳。夏に実施される大検(現在の高卒認定試験)に合格する必要があった。しかし、高校で辛い思いをした反動からか、テレビを観まくり2ちゃんねるに入り浸る日々が続いた。一応予備校にも通っていたが成績は伸びなかった。

 高校を辞めてから早半年。最悪の青春期を救ったのは後藤真希さんだった。夢の中に彼女が出てきて励ましてくれた。非現実とはいえ生まれて初めて同い年の異性と触れ合った。それまでモーニング娘。を箱推ししていた私だが、彼女を個人として好きになった。

 その日から猛勉強した。後藤さんが私を応援してくれている気がしたからだ。夢と現実を混同する少々危険な人になっていたが、彼女のことだけを考え、彼女の為に勉強した。

 結果、大検は見事に合格した。後藤さんのお陰としか思えなかった。

 その年の9月に娘。を卒業したのは衝撃だった。ライブに行く金は無かったが、卒業後も出演するテレビ番組は欠かさずチェックしたし、CDも買って応援した。毎日のように後藤さんを想い、彼女と付き合っている世界線を妄想した。

「アイドルにハマると本当に大切なものを失う」

 とある音楽評論家の言葉を聞いた時、我に返った。脳内デートを続けたところで現実世界で永遠に一緒になれないことはとっくに気付いていた。数年後には後藤さんどころか娘。への興味さえも失った。初恋は自然消滅に終わった。

 10年くらい経っただろうか。結婚のニュースで久々に後藤さんをテレビで見た。元カノと再会したような気分だったがビジュアルは最早別人で、あの頃の眩しい笑顔では無くなっていた。そして今は子どもを2人も授かり幸せに暮らしているようである。


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 振り返ると36年の人生で後藤さんのファンだったのは短い期間でしかなかったが、高校中退で絶望の渦中に居た私を救ってくれたのは紛れもない事実。私の青春は後藤さんと共にあった。思い出補正とはいえ、青春期の初恋の相手というだけで「もっとも憧れたアイドル」に選ばざるを得ない。あれから女性声優を30人以上も好きになり、芦田愛菜さんや本田望結さんなど未成年女優の魅力にも気付き、一応アイドル界にも乃木坂46の齋藤飛鳥さんという好みのタイプは存在するが、それでも後藤真希さん以上の存在は後にも先にも現れることは無いだろう。


#あなたのアイドル


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