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謎の人気YouTuber“派遣男まさお”動画鑑賞会

小野「YouTuber“派遣男まさお”さんをご存じだろうか」

芋子「知りません。どうせチャンネル登録者数2桁とかでしょ?」

小野「16.6万人いるけど。あと公式グッズまで出している」

芋子「えっ? 銀の盾を貰っているのですか? ちなみに何歳?」

小野「48歳」

芋子「イケメンですか?」

小野「人柄は良さそうだよ」

芋子「質問に答えて下さい。まあお察ししますけど。人柄が良いとしても、それと人気は全く別の問題です。なぜ若くもイケメンでも無い男性が16.6万人もファンを獲得できたのですか?」

小野「そこで今回は、彼の動画を観ながら人気の謎を解明していこう」

芋子「突然こんなことをして、今日は何が言いたいのですか?」

小野「うん。確かに“言いたいことがある”からこんなことをしている。まあ最後まで読めば分かるよ。ちなみに当初予定していた記事がボツになったという事情もある


1.キャバ嬢に貢いで借金1200万に

小野「まずは2年前の2022年5月6日、最初に投稿された動画を観てみよう」

【時間の無い方へ……動画で話した内容の要約】
◎現在は派遣社員 給料17万(手取り15万)
◎20代で1200万の借金をした。アフレコでその経緯を語る
◎26歳で初めてキャバクラに入店。エリカという20歳、後藤真希似のキャバ嬢にハマり、以後足繁く通う
◎開店から閉店まで6時間居続け、毎回5万円ほど支払う
◎エリカと同伴し寿司屋で奢る事も
◎貯金していた100万円はすぐに無くなる

芋子「初手から衝撃なんですけど……」

小野「どんどん見ていこう。20日後の5月26日に投稿された第2回の動画」

【動画で話した内容の要約】
◎貯金を使い果たした後はクレジットカードで限度額まで払い続ける
◎限度額まで来たら次のカードを作る。それを繰り返し、審査の通るカードは全部作ったとの事
◎あまつさえ複数の消費者金融にまで駆け込み、借金を増やしてでもエリカに会い続ける
◎エリカはエリカで「待ってる」「指名無いと店長にセクハラされるから早く来て」等のメールをまさお氏に送り続け、彼の来店を促していた模様
◎1年も経たないうちに借金総額は800万(利子含む)に到達

芋子「キャバクラって恐ろしいところなんですね……」

小野「では2本目と同日に投稿された第3回の動画」

【動画で話した内容の要約】
◎とうとう借金を返せなくなり、督促状が届く
◎会社の上司や親戚からも借金するようになる
◎九州の島に住んでいる両親に借金の事がバレる
◎借金の理由を「生活苦の“彼女”に援助していた」と、両親に嘘を付く
◎しかし両親は「明日会いに行くから彼女にも会わせろ」と
◎エリカに借金の事を正直に話し、彼女のフリをして協力してもらう事に

芋子「ギブアップ! もう観るのが辛くなってきました」

小野「……まあ仕方ないか。第4回以降はダイジェストで書いていくよ」

【第4回】
◎まさお氏、彼の両親、エリカがファミレスで初対面。無実のエリカが両親に責められる無慈悲な展開
◎800万円の借金は父親が肩代わりしてくれる
◎父親に少しずつでも返済していこうと決意

【第5回】
◎当時勤めていた会社を退職し、派遣工となり、家賃3万のアパートに移住
◎なんと半年後にキャバクラ通いを再開。しかも同じ店、同じエリカを指名。ただし給料から払える範囲内で月1回程度、2年ほど通い続ける
◎エリカの彼氏の浮気疑惑が浮上し、2人で浮気現場の張り込みをする

【第6回】
◎エリカの彼氏の浮気の証拠を押さえるも、2人は大喧嘩。彼氏は浮気をやめることもなく、エリカは闇落ち、リスカにまで発展
◎まさお氏はエリカを心配し、森高千里の『雨』を思い出す(?)
◎エリカへの想いが強くなっていき、店通いを止められず、再び借金してしまう

♪雨/森高千里(1995)

芋子「泣いてもいいですか?」

小野「ちょっと休憩するか。読者の皆様も温かいお茶でも飲んで、気持ちを落ち着かせてから次に進んで下さい」

【第7回】
◎歴史は繰り返す。またしても借金は増えていき、返済できなくなる度に父親に上手い理由を付けて振り込んでもらう
そのお金でエリカに会いに行く
◎気付いたらまさお氏30歳、エリカ24歳に
◎自営業の両親が廃業。まさお氏曰く「自分のせい」

【第8回】
◎エリカがキャバクラを辞める(理由は長くなるので省略)

【第9回】
◎せっかく貢ぎを終わらせるチャンスだったのに、キャバ嬢でなくなったエリカにも尚、時々援助していたそう(エリカが出産し、彼氏に逃げられシングルマザーになったという事情もある)
◎そんな中、派遣を続けていたまさお氏はついに営業の仕事に就職することに
◎しかし、仕事に必須な携帯電話を(ブラックリスト入りで)持つことが出来ないため、すぐに退職。自暴自棄に
◎まさお氏はエリカと共に短期の倉庫アルバイトを始める
◎そこで奈緒美と出会う

芋子「もうええわ! 終了! このまま読み進めても嫌な予感しかしないですよ」

小野「もう終わるの? この話、第49回まであるんだけど」

芋子「時間は大切に使いましょう」

小野「ちなみにまさおさんは現在も派遣として働いており、給料の振込口座を親に預け、借金返済分などを除いた8万円だけを毎月生活費として振り込んでもらっている。改心したのか堅実な生活を心掛けており、最近の動画ではほぼ毎回自炊もしているよ」

【生活費 月8万円の内訳】
◎家賃 28,000円
◎電気代 7,000円
◎水道代 5,000円
◎ガス代 0円(水シャワーで耐える)
◎通信費 10,000円
◎交通費 6,000円
◎ネコ(飼っている) 10,000円
◎食費、雑費など 14,000円

芋子「なんやかんや楽しそうで良かったです」

2.動画のぶっちゃけ感想

小野「さあ、ここからが本題だ。彼は何故人気なのか?

芋子「うーん……何ででしょうね」

小野「ちょっと前半disっぽくなるけど、誤解しないで最後まで聞いてね。あと俺、動画編集を5年以上やっていて、何人もの人にクオリティーを褒められているし、編集の大変さも痛いほど分かるから、そのつもりで聞いて」

芋子「早く言って下さいよ」

小野「決して悪い意味では言っていないからね。あえてぶっちゃけると、動画の画質は良くないほう(大画面テレビで観れば一目瞭然)だし、動画のクオリティーもそれほど高くはない。アフレコも活舌が良いとは言えない。なぞりテロップがあるから聞き取れはするけど」

芋子「動画のクオリティー、完成度で言えば同じ派遣YouTuberの“絶望ライン工ch”のほうがしっかり作りこまれていて一枚も二枚も上手ですよね」

小野「うん。だから絶望さん(?)が人気なのは分かるよ。で、これが一番気になったんだけど、まさおさんがアフレコで話している内容。話は長いし無駄な部分も結構あるし、話が何度も前後して分かりづらかったり、上手くまとまっていない時もあるし、例えばアフレコをそのまま文字に起こしてnoteに投稿していたら、俺だったら途中で読むのをやめてしまうかもしれない。動画だからギリ成り立っている」

芋子「ちょっと言い過ぎですよ!」

小野「な・の・に、登録者数が16万人を超えるほどの人気なのは、人間として彼を応援したくなるから。もうそれくらいしか思いつかないんだよ」

芋子「おお……なるほど……」

小野「だから凄い時代になったと思うよ。動画が命のYouTubeで、その動画の画質やクオリティー、活舌、文章力は二の次で、人柄だけでたくさんのファンが付くようになったのだから」

芋子「歌やダンスはそんなに上手くないけど人柄で推されているアイドルみたいですね」

3.noteに例えると分かりやすい

小野「これはnoteに例えると分かりやすい。例えば俺がいつも読ませていただいているnoter様は、みんな『文章力が入口』だから。最初に読んだ文章が上手い、面白いと思ったからその後も毎回読ませていただいている。その人の内面を知るのはそれからになる。決して人柄が入口にはならないのよ」

芋子「でもYouTubeは人柄が入口になることもある、ということですね」

小野「だから、まさおさんみたいな成功例が出てしまうと、YouTubeって何? と思ってしまう。アニメや漫画、ドラマも映画も舞台もクオリティーが低いと誰も見てくれないどころかスポンサーさえも付かないのに、YouTubeだけは緩くてもビジネスとして成立する事例が山ほどある。そう考えると意味が分からないよね。緩さの最たる例“ちょんまげ小僧”が登録者数150万人超えたり、1000万人超える人も次々に現れたり、そもそもYouTubeの数字の価値が下が」

芋子「そろそろ批判が来そうなのでまた次回!」


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