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クリスマスイブを1mmも感じられない12月24日の日記

 iPhoneのアラームで目を覚ます朝4時半。あまりの寒さに毛布の中から出て来られない身体。そのまま経過すること15分。今度は目覚まし時計のベルが鳴り響き、それに続くようにスヌーズ音のコンボでようやく起き上がる。ハロゲンヒーターのスイッチを入れてからシャワーを浴び、タオルで身体を拭きながら暖を取る。身支度を整え、フリースとジャケットの二枚重ねで防寒し、家を出る。

 2℃の風に立ち向かうようにGUのスニーカーを走らせる。本当は物凄く寒いのだろうが、今は会社に行きたく無い気持ちの方が余裕で上回っていた。

 5時5分、小田急線の6号車に乗り込む。嫌な気持ちを紛らわそうと音楽を聴こうとしたが、骨伝導ワイヤレスヘッドホンは自宅に充電したままであることに気付く。無機質なガタンゴトンの繰り返しを聞きながらnoteを閲覧し現実逃避。このまま都会を離れ、のどかな田園地帯にでも行ってしまいたい心とは裏腹に、急行列車は逆に都心へと向かうのだった。

 新宿駅で山手線に乗り換える。朝6時前だというのに座席は朝帰りの若者で埋められていた。1駅着くごとに職場という現実に近付いている。年末は仕事が忙しいので本当に行きたくない。それでも足は職場の最寄駅を降り、嫌々エスカレーターを登ったり階段を降りたり、職場に着くと今度はエレベーターで上に行ったり、また降りたり、セキュリティーの都合上ややこしいルートを辿る。

 朝の2時間だけで600字を超えてしまった。話を巻きで進める。朝9時に朝礼。社長のお話が始まる。

「数日前、他店で脳梗塞でスタッフが倒れました。職場で誰かが気付いたから良かったものの、もし自宅だったら一人暮らしなので誰も気づきませんでした」

 クリスマスイブらしからぬネガティブな話。そう言えば職場は最低でも2人欠席していた。一人は自部門の女子高生スタッフ。妹が発熱し、念のため自身も抗原検査を受けるのだという。まあ仕方ない。仕方ないが、この時期の欠員は正直痛い。もう一人は他部門だがD子である。彼女はつい先日コロナで休んだばかりなのに、今度は母親が感染、濃厚接触者認定され自宅待機を余儀なくされた。

 あれ? 今日クリスマスイブだよね? 脳梗塞だの発熱だのコロナだの、年に一度の楽しい日なのにお通夜状態の人がうちの会社だけで何人も。可哀想である。そもそも社長始め誰一人クリスマスの話をしない。クリスマスに浮かれている場合では無いのである。小売店なんてそんなものである。

 仕事はやはり辛かった。マジで年末早く終わって欲しい。1時間の残業の末、帰りも1時間半以上電車に揺られながらようやく家路に着く。

 俗に言う「性の6時間」が始まる頃、Abemaで『ぼっち・ざ・ろっく!』振り返り特番を観ながら一人ショコラを食べる。

 そりゃケーキくらい食べますよ。ホール食いがぼっちクリスマス唯一の楽しみなのだから。何故か2個あるけど一人で食べ切りますよ、数日かけて。

 本当は昨日のうちに書き上げたかった日記だが、気分が乗らず断念した。今頃カップルはあんなことやこんなことをしているのだろうなと思ったら、悲しくならなかったと言えば嘘になる。社会人になってからの14年間、聖夜は毎年スルーしてきたつもりだが、ここ数年は流石に鬱になりつつある。だが考えている場合ではない。今日も鬼忙しい仕事なのだ。と思うとまた鬱になる負のスパイラル。

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