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Liella! 3rd埼玉Day.2『#最後のMC』で2期生は何を語ったのか

 その55分間は「いろいろ要素がありすぎて間違いなく後世に語り継がれる」と、誰かが言った。

 2023年3月5日、『ラブライブ!スーパースター!! Liella! 3rd LoveLive! Tour ~WE WILL!!~』埼玉公演Day.2を配信で視聴した。既に愛知Day.2を現地参戦済みで、その感想は以下の記事に書いていたが、今回は画面越しにも関わらず愛知を大幅に上回る衝撃を受けた。

 やはり言及したいのはトレンド入りもした『 #最後のMC 』である。アンコールで4曲披露した後のMCの、9人各々が感想を言う部分だけで史上最長の55分を記録したのである。特に2期生4人の心の内が明るみになったのは大きい。そこで、2期生限定ではあるがMCの文字起こしをしつつ、個人的な感想を述べる(感想だけは後半で1期生の分も書こうと思う)。

1.絵森彩(鬼塚夏美役)

(前略)
 今回の3rdライブツアーで目標にしていたことは、「胸を張ってLiella!の一員ですって言えるようになりたい」っていうのが今回の目標で……頑張れ涙腺、頑張って頑張って……お願いだから、もう『ユニゾン』で泣いた。

(一時中断、涙を拭く)

 2022年の4月28日に、夏美たち2期生が、今の1年生が、加入するってことが発表された時に、みなさんLiella!が大好きだからこその様々な反応があって、それはもちろん私も見ていたんですけど、私もLiella!っていうグループが大好きだったから、5人で走ってきた軌跡を見てきたから、自分が大好きなLiella!に入ってそのグループを壊してしまうんじゃないかって、大切なものを壊しちゃうんじゃないかって本当に思っていて、私で良かったのかなって、この2期生の鬼塚夏美が私で良かったのかなって自信が持てなくなってしまって……持てなくなってしまったんですけど。

 いざ活動が始まってみて、私で良いのかなっていう疑問を抱えたまま、スクールアイドルをやることって、皆さん、応援して下さる皆さんに対してもすごく失礼だなって思いますし、何より夏美に対してすごい失礼なことをしているっていうことを思い始めて、そんな情けない自分を変えたいって心の底から思ったんです。

 で、3rdライブツアーが始まって、皆さんからの応援のお声もだんだんと大きくなってきて、応援しているよっていう言葉だとか、お手紙ですとか、SNSでも色んなたくさんの言葉からたくさんたくさん勇気を貰って、その時に、だんだん自分で良かったのかもなって思い始めたところに、リーちゃんが大阪公演のMCで聞いて下さったんですよね。「9人のLiella!はどうですか?」って。

 その時の拍手が、その時の私には十分すぎるくらいの皆さんからの愛で、あ、私、Liella!に入れて良かったなって、Liella!として認めていただけているんだなって、その拍手で、やっと自分を認めてあげることが出来たんです。皆さんが……(拍手)……あ、ありがとうございます。ごめんなさい泣いちゃって。皆さんから頂けた、その本当に自分のことを私はLiella!ですって認めてあげられたのって皆さんからの温かい今のような拍手があったからこそで、本当に皆さんがいてくださったからこそ認めてあげることが出来たんだなって思います。本当に感謝してもしきれません、ありがとうございます。

 だから、3rdライブツアーでの目標の自分もLiella!の一員ですって認めてあげられるようになるっていうことが、やっと実現できて、そしてそんな大切なツアーが今日でファイナルで、終わってしまうんですけれども、本当にこれで最後にしたくないなって思うほど最高のツアーになったなと言う風に思いますし、この大好きなみんなと一緒にこのステージをずっとずっと続けていたいななんて、ないものねだりなんかもね、してしまうんですけれども……続けたい。このステージを本当続けたいなって! 思います。ありがとうございます。

 これからもずっとずっとLiella!のことを応援して下さるとうれしいです。長くなってしまいましたが最後にこの一言で終わりたいと思います。

 以上、Liella!の鬼塚夏美役、絵森彩でした! 本日はありがとうございました! 長くなってしまってごめんなさい。

6分05秒(有志計測)

 トップバッターが“最初からクライマックス”状態。いきなり感動させられた。我々ファンも当然察していた2期生の悩みや不安、プレッシャーという概念を初めて本人の口から明確に言語化したことが衝撃だった。衝撃という表現すら稚拙に感じるほど、我々のネガティブな想像さえも絶するレベルで彼女は深い深い闇の中で悩み、もがき苦しみながら闘っていたのかもしれない。「目標の自分もLiella!の一員ですって認めてあげられるようになるっていうことが、やっと実現できて」と、目標を達成した旨の自己評価をしたことでやっと救われる思いになった。
 トリでも良いレベルの完璧なMCだったが、これは後に続く伝説の序章に過ぎなかった(これが全体的にお気持ち表明する流れを作ったとも言える)。

2.大熊和奏(若菜四季役)

(前半部分は省略)
 そして、宮城公演で私は、ツアーの目標にしていた、「四季に追いつけ、追い越せ」という目標を掲げていたんですけれども、なんかねー、背中も見えなかった、四季の。何でかって、私たちがどんどんどんどん進んでいるけれど、彼女たちもこうやってね、どんどんどんどんステップアップしているわけで。だからこのツアーは一旦は終わりになるけれど、Liella!はずっと終わらないんだなっていう、完成しないんだなっていうのが、今日の感想です(笑)……ハイ。

 今日と言う日は今日しか無いので、限りある時間の中で輝き続けるって本当に素敵な事だなって思いました。皆さんも心の中にある光をずっと忘れないで持っておいてこれからもLiella!と一緒に輝き続けていきましょうね。

 ということで、7都市14公演本当にありがとうございました。若菜四季役、大熊和奏でした。

3分57秒(有志計測)

 評価軸が微妙に異なるとはいえ、あくまで“自己評価”という観点から見ると、先程の絵森とは対照的に「(キャラの)背中も見えなかった」「完成しない」というネガティブな評価が目立つ。自分に厳しすぎるのではないかと個人的には思うが、既にレベルを高く感じる今回さえも通過点に過ぎないと言うのなら、むしろ「頼もしい」という感想が相応しいのだろう。

3.薮島朱音(米女メイ役)

(前略)
 私は最初ファンミーティングツアーの時に、1期生のパフォーマンスを凄く間近で見て、早く私も一緒にパフォーマンスしたいなって思ったのと同時に、1期生が凄くキラキラ輝いているパフォーマンスを、私たちから見たら、2期生から見たらもう完璧なんじゃないかってくらい眩し過ぎたパフォーマンスだったんですけど。

 それでもなんか、1期生はもっともっと改善したらより良くなる、より良いパフォーマンスを皆さんに届けられるってずっとずっと上を目指して、ずっとずっと考え続けて、努力していて、その姿を見てきたからこそ、私たち2期生もよりメンバーと強く向き合わなければいけないっていう風に思って。

 ファンミーティングツアーから、その姿を見てきたからこそ、3rdライブツアーでどうしたらメンバーにより近付けるのかなーとか、どうしたらメンバーの表情を自分に出来るのかなーとか、本当にたくさんのことを考えてきたんですけど、この14公演を通してそれを考えられたのは1期生の姿を追いかけてきたというか、追いつきたい気持ちでずっと背中を見てきたので、今の私たち2期生を含めたLiella!のパフォーマンスがあるのかなって凄く感じています。

 1期生がその時壁にぶつかっていたりとか悩んでいる姿を見て、力になれない自分がすごく不甲斐なくて、早く自分も同じ立場と言うか、相談に乗れるくらいね、成長したい、強くなりたいってずっとずっと3rdライブツアー中も思っていたんですけど、なかなか、なんかまだまだ助けたいのに、なんかまだ結局1期生に助けられているなって思うことがあって、こうやってすぐ泣くし、涙出てきちゃうし。

(一時中断、涙を拭く)

 ずっと1期生の力になりたいのに、こうやって泣いてすぐティッシュくれたりとかね、笑わせてくれようとしてくれたりとか、すごくすごくまだまだ私は助けられてばかりなんですけど、いつか……いつかって言っていたら駄目ですね。私もLiella!の一員だから、1期生2期生関係なくみんなを助けられる存在になりたいし、皆さんの力にもっともっとなれるような大きな存在になっていきたいって、この14公演を通して強く強く思いました。

 だからどうかこれからも……応援していただけたらすごくすごく嬉しいです。私も皆さんの事をすごくすごく応援しているし、大好きな気持ちでいっぱいです。14公演本当にありがとうございました。米女メイ役、薮島朱音でした。

4分25秒(有志計測)

 絵森は「Liella!の一員として相応しいのか」、大熊は「演じるキャラに近付けているのか」という評価軸だったが、3人目・薮島はとうとう「1期生との実力差」というパンドラの箱を開けてしまった。当然、前2人や鈴原も痛感していることではあるだろうが言及こそしていないので、この話は聞いていて辛すぎた。先輩より1年以上も遅れてスタートするという大きなビハインドを取り返すのは決して簡単な事ではない。

4.鈴原希実(桜小路きな子役)

(前略)
『ラブライブ! スーパースター!!』一般公募オーディションのオーディション会場に向かった時のことを一番思い出しました。

 私は小さい頃から誰かの特別な存在になりたいと思っていて、みんなを笑顔に出来るようなアイドルになりたいなって思っていたんですね。だけどなんか私は……(涙)ごめんなさい。私は、あの、そんなキラキラした人間には端からなれないから。だから諦めようって何回もオーディションの書類に文章を書いている途中で泣いてしまって応募できなかったり、挑戦しようとしても一歩が踏み出せないっていうそんな自分がすごく好きじゃなかったです。

 それで、高校3年生の時に、一般公募オーディションがあるって、ちょうどラブライブフェスで、ライブビューイングで私、見ていたんですね。その時に、発表された時に、これだって思って挑戦してみようって思ったんですね。

 それで挑戦して、それで何故か最終審査まで行かせていただいたんですね。それでなんかちょっとは私特別な存在にもしかしたらなれるのかもしれないって、大好きなラブライブ!のキャストになれるのかもしれないと思って、すごく浮かれて電車の中で色んな大好きなラブライブ!シリーズの楽曲を聴きながら、こうルンルンでオーディション会場に向かったんですけど。

 やっぱりオーディション会場にはこういうみんなみたいな凄くキラキラした可愛くて歌もダンスも上手いとても素敵な女の子たちばっかりで、みんなのことを見た時に、ああなんか場違いだなって思ったんです。なんか、ここに居るべきじゃないなって思って。でも何とか最後までやってみようと思って、チャレンジして、でも結局あんまり上手く出来なくて。

 それで家に帰りながら、行きで聴いていた楽曲と全く同じ曲を全然違う気持ちで、なんて私は馬鹿な思い違いをしていたんだろうと思いながら聴いて帰ったんですね。

 でも合格の通知をいただいて、それで本当に大好きな事だから、私の人生を賭けて頑張ってみようと思って、やってきたんですけど、やっぱりこうまわりを見ているとみんなすごく輝いているし、私はやっぱりキラキラした私のなりたい特別な存在にはなれないのかもしれないって、やっぱりどこかで思ってしまうことが、この3rdライブツアーを始める前までは何回もあったんですけど。

 でも今回のツアーを通して、みんなが特別なんだなって気付いたんです。皆さんがすごく一人一人を愛してくださっていて、Liella!のメンバー一人一人大好きっていう気持ちが伝わってきて、それで何だろう私はすごく特別な存在になりたいと思って必死で頑張ってきていたけど、でも初めから特別な存在だと思っていただけていたのかなっていう風に、皆さんの応援で感じたんですね。なので……(拍手)……ありがとうございます。

 自分で何言っているかわかんなくなっちゃったんですけど、3rdライブツアーを通して自信がついたというか、自分を卑下することを今日でやめたいなという風に感じました。そのくらいすごく成長させていただいた、本当に私にとって大切な大切なツアーだったなっていう風に感じています。

 本日は本当にありがとうございました。これからまた3期生も入ってきて私も先輩になるので、もうなんだろう泣かないように、泣かないようにっていうか、もっとしっかりした格好良い先輩になれるように頑張りたいと思います。これからもLiella!の応援をよろしくお願いします。桜小路きな子役、鈴原希実でした。ありがとうございました! 長くなってすみません。

5分56秒(有志計測)

 これは重すぎる。「アイドルになりたい」夢と、「アイドルのように輝けない」現実との間で揺れる心。特別な存在になりたいのに何者にもなれないもどかしさ。前3人が『ラブライブ!』の枠内で話していたのに対し、鈴原だけは人生の根幹に関わる大きな悩みを打ち明けていた。
 実はこういうタイプが一番多いのだと思う。アイドルや声優になるだけでも狭き門なのに、なれたとしても輝けるか否かはまた別の問題で、それを叶えられず困惑する女の子が日本にどれだけ多く存在することか。顔は可愛いのだから普通の人生を歩めば仕事でもプライベートでもチヤホヤされて、あまつさえ良い男を捕まえて幸せになれるのに、夢が大きすぎる故の苦悩、自ら選んだ茨の道。
 鈴原はそんな星の数ほど居る女の子たちの一人に過ぎないのかもしれないが、だからこそリアルで切実すぎた。個人的には絵森と同じくらいグッと来た。

 ***

 以上が2期生4人の最後のMCである。各々が各々の悩みを抱え、もがき苦しみながらも答えを見つけた者、未だに迷い続けている者、様々ではあるが、2期生が4人ともお気持ち表明をしたのは極めて異例(もちろん最終日というのもあるのだろうが)。

 しかし、これだけで終わらないからこそ“伝説の55分”になり得たのである。その後の1期生5人もお気持ち表明のバーゲンセール状態に。文字起こしは割愛させていただくが、残り5人の感想だけ簡潔に述べる。

5.青山なぎさ(葉月恋役)※感想のみ

 4分03秒(有志計測)。「葉月恋はラブライブ!シリーズを応援して下さっている方全員に嫌われる人で居て欲しいっていうことを言われて……」。このぶっこみがネットをザワつかせた。それは流石に辛すぎるだろ。話としてはその後の2期7話で救われたという結びにはなっているものの、そこに至る1年以上も、ライブでのパフォーマンスで恋の可愛さを表現しようと必死だったと思うと……。あの青山が泣くって相当だぞ。

6.ペイトン尚未(平安名すみれ役)※感想のみ

 4分25秒(有志計測)。絵森のように「自信を持って演じられているだろうか」という悩みは、みんな抱えていた時期があった。自分もそうだった。でも今はそんな時期を笑えるようになった。この言葉が全てである。現在進行形で苦悩している2期生の未来の姿を体現しているようでとても感慨深かった。

7.岬なこ(嵐千砂都役)※感想のみ

 5分59秒(有志計測)。どうしても周囲と比べてしまいがちだけど「私は私らしくて良いんだって1個思うだけで自分なりの表現をみつけられる、新しい自分が見つかる」と表向きはファンの皆へ伝えたが、悩める2期生へのメッセージでもあったのだろう。加えて最後に「本当に強くて(大熊)、真面目で(鈴原)、真っ直ぐで(薮島)、負けず嫌い(絵森)。一人一人がすっごくキラキラしていてそんな2期生が私たち1期生の居るLiella!に来てくれて本当に良かったって幸せだって私は思います」と言い切ったのが格好良すぎる。

8.Liyuu(唐可可役)※感想のみ

 6分19秒(有志計測)。コロナ禍でスタートしたLiella!がついに念願の声出し解禁となった今回への想いを熱く語った。スバラシイコエノヒトは観客全員。その上で「声出し無いライブも絶対絶対忘れない」と言ったのも感慨深く、制限下で行われた過去の公演も大切な思い出だから無駄にしたくはないという熱い想いが伝わった。

9.伊達さゆり(澁谷かのん役)※感想のみ

 驚異の14分17秒(有志計測)。内容を整理すれば時間を半分以下に抑えられたのかもしれないが、そういう問題ではない。熱い想いをそのままぶつけたのが良かった。喋り方がAqoursのリーダー伊波を彷彿とさせたから、同じリーダーとして好感を持てたのもある。ただ内容がどうにでも出来ないシビアな問題なのが救われない。3期マジでどうするよ?

 ***

 MC55分で大幅に時間が押しているにもかかわらず、その後にバナナダンスをしたり、まさかのダブルアンコールとなったり、最後の最後に発表があったりと、あと新曲初披露もだが、現地に行っておけば良かったと後悔するレベルで至れり尽くせりだった。彼女たちの悩みがいつか解消され、笑顔になってくれることを切に願う。

 あ、MCが気になる方は今すぐ配信アーカイブを購入しましょう。まだ間に合いますよ。

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