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「死を考える」読了

様々な死にまつわる専門家に、死への接し方を聞く本。
私は、第3章「死の文化的考察」が面白いと思った。
九相図や幽霊画、ミイラ、死後の世界、ダークツーリズム、能…
そうか、私は死の文化に興味があったのか。

第1章「死を哲学する」では、世界のお墓や人工妊娠中絶、死刑制度についてなど。
第2章「死の科学」では、生物学的な老いや死、感染症、法医解剖についてなど。
第4章「死と儀礼と」では、葬儀、お墓、霊柩車。
第5章「身近な人を葬るー死の考現学」では、看取り、遺品、国際霊柩送還、グリーフケア、自死遺族。
取り上げなかったテーマの執筆もあったが、こうしてみると、みんな何かしら1つでも興味を持つものがあるのでは?

私たちの生活に於いて、死というのは遠ざけておくべきことであるような雰囲気がある。
死について語ろうとすると、心を病んでいるのでは、と心配される。(特にSNSなどでは、すぐに「心の悩み相談」みたいな広告が出てくる)
楽しい毎日!明るい未来!おいしいグルメにわくわくするアクティビティ!みたいなのに、常に心を占領させようとする圧力みたいなものを感じる。
楽しい話題でごまかして、大切なことを知らせてくれないメディアもだし、それを知ろうとしない私たちも。(結局そういう、思考停止してただただ明るく楽しいコンテンツを求める、我々が愚かなのだ)

私はもっと、プリミティブに死と向き合いたい。

生きているのだから、死ぬのだ。
動物の死について執筆されている方があった。動物は、死を怖れないし、死を考えない。
そういうふうにありたいのに、どうして死は怖いのだろう…
死について考えると、不安になる。
そんな不安を救ってくれるのが、文化であり信仰であるということか。

こういう書籍で改めて知ることが多くあり、関心のある分野でも、まだまだ知らないことがたくさんあるということを実感する。
霊柩車の歴史や流行についても面白かったなぁ。
最近はシンプルな霊柩車が多い気がするが、私は昔ながらの豪華絢爛な霊柩車が結構好きだ。豪華なのが好きだから。

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