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「世にも奇妙な人体実験の歴史」読了

岡田斗司夫さんがYouTubeで紹介されていて、面白そうだなあと思って読んでみた。
凄まじいの一言。
科学、特に医学の発展に、人体実験は欠かせないわけだけれど、それを自ら行ってきた尊敬すべき科学者たちの偉業を紹介する本。
以下、カバー折り返しに書いてある紹介を引用。

本書に登場する「勇敢」な実験のほんの一例
○「コレラ菌などない!」と断言(注:大間違い)、コレラ菌入りの水を飲み干す
○黄熱病患者の「黒いゲロ」を自分の血管に注射
○(のちに狭心症治療薬となった)ニトログリセリンを舐めて昏倒
○カテーテルを自分で自分の心臓に通す
○自分の呼吸を麻酔で停止させて人工呼吸法を開発

引用ここまで。
これだけでもすごい内容だということがわかるが、こんなエピソードが目白押し。
読んでいるうちにだんだん麻痺してくる感じさえある……いや嘘です。ずっと震えながら読みました。

医療もだけど、科学実験もすごい。
潜水と浮上の実験や、漂流実験、音速飛行実験……
人間の肉体って結構丈夫なのね、と思う……
思うけども……
読んでいるだけで、自分の呼吸が止まりそうになるし、目玉が飛び出そうになる。

なるほどと思うのは、被験者になるのは、実験者が最も相応しいという視点。
どういう症状が出るかという予測をしているわけだし、危険な兆候もすぐにわかる。
主観的な主訴と、客観的な症状を記録できる。
理論上は上手くいくはず、というラインを実証するのだから、大丈夫だと一番信じられる被験者たり得る……はず。
一か八かの実験も多かっただろうけれど。

読む前は、どんなトンデモ実験をした人たちがいたんだろう!と思って読み始めたのだけれど、読後感はそれとはかなり違っていた。
真剣に未知と向き合った科学者たちのひたむきさが溢れていた。
ナチスや731部隊が行ったような、闇雲な人体実験とは違う。
自らの犠牲を厭わない、崇高な魂があった。
富や名声だけのために、ここまでできるとは思えないんだよなぁ……

大阪大学大学院教授の解説も面白かった!
本当にこんな講義があったらぜひ受講したい。

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