織姫妖怪【毎週ショートショートnote】
『彦星誘拐』のつづき
「映画の公開が中止になりお気の毒です」
「彦根さんの命に関わることですから」
「お伺いしたいことがあるのですが宜しいでしょうか?」
「はい」
織田は警察からの質問に答えていた。
「この方をご存じですか?」
「姫野さんです」
警察から差し出された写真を見つめながら答えた。
「姫野さんとは織姫役を争っていたみたいですね」
「はい」
「ここ見てください。額にコテの火傷の痕があります」
「…」
「何者かに無理矢理コテをあてられたそうです。火傷の痕を見て妖怪みたいだと笑っていたそうです」
「…」
「彦根さんは姫野さんとお付き合いされていたようです。あなたもですね?」
「…」
「それから、あなたのお父様が脅迫状の差出人の団体と関りがあることはご存知でしたか?」
「いえ。両親が離婚してから一度も会っていません」
「おかしいですね。通話記録が残っています」
「…」
「恋愛がもつれた彦根さんへの恨みを、問題の団体を利用しようとお父様をそそのかしたのではないですか?」
(410文字)
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