ルックバックと現金な話【映画】【エッセイ】
先日、劇場アニメ『ルックバック』を観てきました。
最初に『ルックバック』を知ったのは『佐久間宜行のオールナイトニッポン0』でした。そうです、エンタメ情報はいつもラジオから仕入れているのです。
話題作『チェンソーマン』の原作者である藤本タツキさんが読み切りで描いた『ルックバック』が非常に素晴らしいと佐久間さんが絶賛していました。しかも、期間限定でネット上にて無料で読めたのでした。
『ルックバック』は小学生の女の子『藤野』と同学年で不登校生の『京本』が漫画を描き続ける青春物語です。
印象的だったのは『背中』でした。一心不乱に机で漫画を描き続ける、主人の藤野の背中です。鬼気迫るものがありました。
そして、京本の四コマ漫画を初めて見たときの嫉妬に駆られて悪魔でも見たような藤野の表情が忘れられません。それと、京本から褒められたあとの隠しきれない嬉しさを爆発させたような藤野の表情もよかったです。
なにか心に刺さった印象を持っているのですが、なぜか結末が思い出せませんでした。それが映画を観るきっかけのひとつでした。
感想ですが、たしかに心に刺さりました。しかし、刺さり具合が浅かったような気がします。それは、自分の創作者に対するリスペクトが足りないことが背景にあるのではないかと思いました。
映画を観た日は水曜日でお得な価格が設定されていました。通常料金2,000円のところ1,300円で鑑賞できるのです。やったぜ!得したと思いネットで購入しようとしたら1,700円でした。そして『特別料金』と記載されていました。
『ルックバック』は58分の映画です。一般的な映画の上演時間は2~3時間ですので通常料金だと割高だなあと思っていました。ですので、特別料金の1,700円の設定は納得のいくものでした。しかし、水曜日のお得なサービス料金は対象外なのです。他の割引も一切適用されない、いつでも均一価格1,700円の設定のようでした。
なんとなくモヤモヤしながらも、現金な自分の性格が改めて嫌だなと思ったのでした。そう思いながら、映画を見終わったあとの帰り道、寄ったのはいつものあそこでした。
真っ先に『220円以下コーナー』に向かいました。つい、数年前までは『100円以下コーナー』だったのに…。そして、驚くべきことが起きていました。『330円以下コーナー』になっていたのです。物価高の影響をもろに感じました。
このままでは、また値上げされてしまう。気になった本を片っ端からカゴに入れていったら、12冊買ってました。また、積読の山が高くなってしまう…
さて、合計金額ですが2,550円(税込)でした。新品で購入すると10,480円(税込)です。約1/4の値段です。
ここで、いつもの葛藤が始まります。古本屋で本を買っても作者の印税収入にはならないんだよな…
先ほど観た『ルックバック』の二人が脳裏にチラチラと現れます。
漫画や小説に限らず、創作者はそれこそ命を削るような創作活動を続けていると思います。そして、その対価を受け取る権利があります。
頭ではわかっているつもりなのです。
創作者が対価を得られなければ創作者はいなくなってしまいます。そうなれば古本屋もなくなってしまいます。自分も創作物を受け取ることができなくなります。
でも…
実際に古本屋で1/4の価格を目にすると、本を定価で買う理想はきれいごとになってしまうのです…
読者など創作物を受け取る側は創作者が『なんで描いているのか?』をもっと真剣に考えないといけませんね。
できれば創作者を守る方々に創作者が儲かる世の中の仕組みを作って欲しいと切に願っています。
藤野ちゃんの背中を思い出しながら、そう思いました。
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