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モカ入り卒業式【毎週ショートショートnote】【青ブラ文学部】

息子の一人暮らしが4月から始まった。

社会人として巣立った喜びもあるけど、やっぱり22年間一緒に暮らしてきた息子が家にいないのはとても寂しい。

掃除をしていたら、息子の小学校の卒業アルバムに目が止まった。表紙がセピア色の桜になっていた。

5年生の林間学校で初めて息子のいない夜を過ごした。忘れ物はないかしら、バスに酔わないかしら、風邪をひかないかしら、心配ごとばかりしていた。満面の笑みで帰ってきたときには、ちょっぴり目が潤んでしまった。

そういえば、中学校では命の授業があったことを思い出した。豚を飼育して最後は食べる授業だった。情が湧いてしまうので名前は付けないはずだったけど、茶色味がかった姿から「モカ」と名付けられ、丹精を込めて3年間育てられた。

卒業を前に「モカ」をどうするか議論した話をしていたときに、息子は涙を浮かべながらも命について真剣に考えていた。

「モカ」の結末はどうだったかしら?中学校の卒業アルバムを開いた。

(410文字)



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