韓国語の発音変化をまとめてみた
発音変化は、本来、文法の中でやっていくことですが、より歌を完璧に歌うために発音変化を先にマスターしておきましょう。
ハングルは完全な表音文字なので、この記号ならこの発音をすると決まっています。
だから、ハングルの記号:子音字19種、母音字21種、パッチム27種(発音は7種のみ)を覚えさえすれば、意味が分からなくても一通りハングルの発音はできるようになります。
しかし、必ずしも字面の通りに発音されない場合があります。
この字面と違う発音になってしまう変化のことを発音変化と呼びます。
韓国語の発音変化は、ほぼ機械的に起きます。
この字とこの字が並ぶと、必ずこの発音になるというやつです。
だから、意味がわからなくても発音は正しくできるんですね。
発音変化の種類は10通りしかありません。
いっぺんに暗記するのは無理なので、必要に応じて紹介しますから、今回は「こんな種類があるんだ」というのがなんとなく理解できれば十分です。
英語だと発音とスペルの間のルールに一貫性が無いので、単語ごとにスペルと発音を覚えなければなりませんからね。
それに比べれば同じパターンで発音が変わる韓国語は、まだ覚えるのが楽です。
韓国語の発音変化のほとんどが「文字通り発音するのが発音しにくいから」という理由で変化しているので、そういう感覚で覚えるといいです。
自分でもよくわかってない
他人に「マスターしましょう」とか言っておいて、無責任な話ですが、自分でもハッキリわかっていません。
そりゃ今では、ハングルを入力すれば、発音してくれるやつもあるので、聞いて覚えればいいんですが、耳ができあがっていないので
「다←これって『ダ』じゃなかった?『タ』に聞こえるんだけど/『ッタ』みたいに言ってなかった?」
という疑問が出たりします。
白状すると、自分は韓国語勉強ノートをデータベースで作っているので、ハングルの並びを見て、発音変化が起きる部分を自動的に検出させています。
관리(管理)はクヮンリではなく、流音化が起きてクヮルリ(kwalli)という発音になることが示されていますね。
現状[괄리]というハングルでの表記にできていないので、そこも直さないといけませんが…。
ひとまず、どんな発音変化があるか、並べてみます。
1.有声音化(ゆうせいおんか)
平音の子音ㄱㄷㅂㅈが濁って発音される変化です。
韓国人としては発音が変わっているという意識がないものなので、正確には発音変化という扱いではないのですが、日本人の耳には発音が違って聞こえるので、発音変化に含めました。
なぜ日本人が聞き分けるかと言えば、日本人は清音と濁音を聞き分けるからです。
平音がどんなとき濁って、どんなとき濁らないかというルールを覚えるよりも、平音の発声の仕組みを理解した方が早いです。
平音は、有声音(あ~、ん~という喉から出る音)を妨害しない、弱い子音です。
「あ~」と言いながら、声が途切れないように「か」を言ったときに「が」になるぐらいの弱さです。
前の文字の母音(「あー」「うー」という声)や鼻音(「んー」という声)が継続しているところに、平音ㄱㄷㅂㅈを発音すれば自動的に濁ります。
前の文字にパッチムがあったり、歌の場合だとブレス(息継ぎ)が入った場合などで、母音や鼻音の発声がされないところに発音すれば濁りません。
会話文では、母音で終わった字の後ろの平音はだいたい濁りますが、楽曲の場合では前の音が母音で終わったとしても、スタッカートのようなアクセントのある歌い方、息継ぎなどで母音が伸びていない場合、平音は濁りません。
発音が濁る濁らないに意味はないので、平音として発音されていればOKです。
歌詞に仮名のルビが付いているやつもありますが、歌詞を読んでカナのルビを付けたか、歌いながらルビを付けたかで、濁る/濁らないの差が出たりもします。
2.連音化(れんおんか)
パッチムで終わる文字と、その次の文字が母音で始まる場合(子音字がㅇの場合)、パッチムがㅇの位置に移動して発音される変化です。
[아나]と発音されるなら、最初から아나と書けばいいのに、と思ってしまいますが、안と書かなければならない理由、아と書かなければならない理由があるから、文字は안아と書かれます。
※안も아も適当に拾った文字なので意味はありません。
たとえば「한국어」韓国語という意味ですが、発音は「ハングゴ」になります。
それぞれのハングルは漢字に対応していて、バラバラで発音すると
韓=한ハン
国=국グッ
語=어オ
という発音です。ただし「ハングッオ」とは発音されません。
「한국어」として連続発音するとき、어の子音部分に국のパッチムが移動して、発音そのものが[한구거](ハングゴ)となります。
連音化は救世主にもなる
パッチムを紹介したとき、안암앙を「『あん』にしか聞こえないやつ」とひとくくりにしました。
実際、「안암앙が全部『あん』にしか聞こえねぇよ!」と言う人も少なからず居るはず。
ところが、後ろに母音だけの文字が来ると、안아だとアナ、암아だとアマ、앙아ではアンア(アンガ)となって、パッチムが明瞭に聞き分けられるようになります。
これから先、文法をやっていくのですが、パッチムのある語にくっつく助詞のほとんどがㅇ子音で始まる(=母音発音で始まる)やつになります。パッチムで終わる語は、そこで必ず連音化が起きます。
악압앋も「あっ」にしか聞こえませんが、
악아だとアガ、압아だとアバ、앋아ではアダとなります。
テンポの遅い曲だと連音化しない場合もあります。
3.鼻音化(びおんか)
ㄱ,ㄷ,ㅂパッチム(「っ」系パッチム)に続いてㅁ,ㄴが来る場合、ㅇ,ㄴ,ㅁパッチム(「ん」系パッチム)の発音になる発音変化です。
ちょっと複雑ですが、変化の仕組みは割と簡単。
「っ」系パッチムは、息を口で一瞬止める発音ですが、「ん」系パッチムは、口の中で息を止めているのに鼻から声が出ています。
この影響で、ㄱ,ㄷ,ㅂパッチムが、息を口で一瞬止める発音なのに、それに続くㅁ,ㄴ子音によって鼻から出る発音に変化してしまうので、結果的にㅇ,ㄴ,ㅁパッチム(「ん」系パッチム)の発音に変わります。
日本語で書くと、「あっんこ」が言いにくいので「っ」が消えて「あんこ」になる感じです。
4.流音化(りゅうおんか)
ㄴパッチムの後にㄹ子音がある場合、逆にㄹパッチムの後にㄴ子音がある場合、ㄹ-ㄹという発音になる発音変化です。
(※一部で鼻音化してしまう例外があります。)
日本語では「はんりゅう」と発音されますが、韓国語ではハルリュという発音です。
(せっかく韓国語の発音に合わせて韓=한=ハン、流=류=リュと訳したのに、このざまか。)
5.ㅎの弱音化(ヒウッのじゃくおんか)
ㅎ子音と、ㅇ,ㄴ,ㅁ,ㄹの子音が連続すると、ㅎ子音の発音が消えてしまう発音変化です。
ㅎの息を吐く発音が、鼻音で発音しそこねて消えてしまう感じです。
6.ㄴ挿入(ニウンそうにゅう)
2つの語が連結したとき、後ろに来る語が이、야、여、요、유で始まる場合、ㄴが足されて니、냐、녀、뇨、뉴となる発音変化です。
--ここから先は、聞き分けるのが難しい発音変化です。--
7.激音化(げきおんか)
ㅎ子音と、ㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅈの子音が連続すると、子音が合体して連音化することで、後ろの子音がそれぞれ激音のㅋ,ㅌ,ㅍ,ㅊになる発音変化です。
ㅎの息を吐く発音が、平音をブーストさせる発音変化みたいな?
8.濃音化(のうおんか)
ㄱ,ㄷ,ㅂの音のパッチムのあとにㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅅ,ㅈの子音が続くと、子音が合体して連音化することで後ろの子音がそれぞれ濃音のㄲ,ㄸ,ㅃ,ㅆ,ㅉになる発音変化です。
同じ平音子音が連続すると、盛大につまづく発音変化ですかね。
濃音化は、上記の組み合わせのときに必ず起きるわけでもなく、濃音化せずに子音が連続して発音される場合もあるので、注意が必要です。
9.口蓋音化(こうがいおんか)
ㄷ, ㅌ, ㄾのパッチムのあとに이が続くとㅈ,ㅊ,ㄹㅊで発音される発音変化です。
日本語のタ行イ段の音がティではなくチになる理屈と同じ?
10.外来語の語頭の濃音化
これは初級の韓国語の教科書に載っていない発音変化です。
外来語(主に英語)の語頭が濃音で発音される場合がある発音変化です。
濃音自体がストレスアクセントを持つので、外来語のアクセントを付けようとして濃音で発音されることがあります。
バスはbusなので、英語も日本語も先頭が濁りますし、基本的に濁音は平音で書くルールなので表記は버스なのですが、韓国語では発音するときだけは濃音発音されるので「ッポス」という発音になります。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?