水2リットル神話

　バイクの頭金を振り込んだ。その額、先日手にした賞与の6分の5に相当する。大きい出費である。既にこの段階で、人生で1番高い買い物だったゲーミングPCの総額を超えている。ここから更に2倍ほどかかるのだから恐ろしい。元々貯蓄用の口座から払うつもりだったのだが、暗証番号を間違えたせいで別個手続きをしなければATMから引き出せなくなってしまって、仕方なく給与用の口座から支払った。こちらのロックされた口座もどうにかしなければならない。

　整骨院に通っていると、時折担当者から言われるのが、水を飲んでいるかどうか、ということである。この場合の水とは、本当に水、ミネラルウォーターのことで、水ではないものは含まない。水分補給はしてますと答えたところ、コーヒーとかお茶じゃないですよと言われて撃沈したので、そういうことである。

　曰く、人は一日に2リットルの水を飲むのが望ましいという。この時、水を飲めば量に計上できるが、お茶を飲んだのなら量にはカウントされない。更にコーヒーを飲んだのなら、その分だけマイナスされるのだという。この、
水:+計上
お茶:プラマイ0
コーヒー:-計上
の数式で換算して、一日に2リットルの水を飲むべし、とのことである。

　中々大変な話である。ジムに行く際、どこかで貰ったボトルに水を入れているのだが、このボトルに入る量を計って見たところ、350ccだった。ccは概ねデシリットルと同義とのことなので、

2リットル=2000デシリットル=2000cc
2000cc÷350cc=5,7≒6

　日に6回ボトルの水を飲み干せば、ちょうど良いということになる。このように言えば簡単だが、中々に難しい。ジムにいる際は水を飲むが、それ以外の場ではジュースだのコーヒーだのを飲んでいる私には、中々キツイところがある。特にコーヒーは好きなので、コーヒー断ちとまではいかないにせよ、さながらチェイサーのように水を飲む必要がある訳で、お腹がタプタプになってしまう。

　そう思っていたのだが、そう言われてから数週間、存外なんとかなるもので、6回とはいかずとも、4回、5回くらいまでは飲むようになった。残念ながら、ミネラルウォーターを買うような性分ではないので、水道水をそのまま冷やしているだけであるが、そこは水道の水をそのまま飲める日本の衛生設備に感謝である。かつて家にあったウォーターサーバーも、あればまた話は変わったかもしれないが、後の祭りであるし、現在の水道水に不満がない以上、新規にどうこうしようとも思わない。

　しばらく続けてみてはいるものの、何か体調に変化があったかというと、別にそんなことはなく、何ならこれを買いている現在は数日続く体調不良の影響で咳が出ている為、むしろ悪化している。ネットで調べると、水は2リットル飲むといいという意見もあれば、そんなに飲む必要はないという意見もあり、水中毒になるとか、効果はあるとかないとか言われたい放題である。このあたりは個人差が顕著に出るところであるからそこは仕方ないのだろう。ただ、水中毒は2リットルでは済まない量を飲まないとならなかったはずである。現に私は水中毒という方向では何ともなっていないので、そこについてはデマだろう。よく取り上げられる水中毒であるが、明らかに異常というレベルの水を摂取しなければならなかったはずだ。

　賛否両論ある一日水2リットル必要論であるが、私は続けてみようと思う。良い方向に転がるか、悪いことになるかはわからないが、人間は60%が水だというし、その水を2リットル摂取したところでおかしなことにはなるまい。少なくとも、カフェインやエネドリをガブガブ飲んでいるよりかは健康的に見える。

　ただ、懸念点はやはり、水道水ということである。別に問題はないだろうが、気になりはする。かといって水を買う気にもならないし、しばらくは水道水を飲むことになるだろう。自販機で買うなら、水より味付きの飲み物がいい。そういう昔から変わらない子供じみた性分を引っ提げて、今日も私は紙パックのアイスコーヒーを買っている。一本98円也。