鏡のかけら
アンデルセン童話集2を読んでいたら、雪の女王が載っていた。
このお話もアンデルセンだったのか。
小さいころは、作者が誰だか気にしていないから、グリムもイソップも、アンデルセンも、ごちゃごちゃだ。
子どものころ、雪の女王のお話が怖かった。
なぜ怖いのか不思議だった。
ヘンゼルとグレーテルだって魔女を竈に入れて殺してしまうし、かちかち山のうさぎだって、たぬきを泥舟に乗せて殺してしまうのだから、結構怖いお話だけれど、別に怖いと思ったことはなかった。
でも、雪の女王は、怖かった。
今回読み返してみて、当時の恐怖感はもうなかったけれど、何が怖かったのか、なんとなく分かったような気がした。
悪魔の作った鏡が粉々に割れて、そのかけらが地上に飛び散り、人の心臓や目の中に入ってしまう。
かけらが突き刺さった人たちは、突然別人になる。物事の悪いところばかりに目をつけるようになり、大好きだった人のことをバカにするようになる。
主人公ゲルダの友達カイも、鏡のかけらが突き刺さってしまったせいで、別人になってしまう。
魔法で王子様がカエルになっても怖くないけれど、外見そのまま、理由不明で人格がガラリと変わるのは怖い。
美しく、怖いお話。
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