友達への距離

夜、近所の三毛ちゃんに会った。
ごきげんで、ニャアニャア寄ってきて、スリスリしてくれて、コロコロ舞いも見せてくれる。

そんな三毛ちゃんが、突然起き上がって、真面目な顔になる。前方の一点をじっと見つめて、今にも飛びかかりそう。丸々とした体に、緊張がみなぎっている。

猫は、飛びかかる直前、お尻を左右にキュッキュッと振る。三毛ちゃんも、今にもお尻を振りだしそう。
何か獲物を見つけたのかな、と思って視線の先を見ると、車の影に、猫の鼻とヒゲが、ちらっと見える。
そうっとのぞくと、時々見かける近所のハチワレ。前にも三毛ちゃんの家にやってきて、グルルと唸られて退散していたのだけれど、今日も来たのか。

三毛ちゃんは、じっと動かない。ハチワレも、それ以上は近づいてこない。
友達になればいいのに、そんなに簡単じゃないのかなあ。でも、この間は唸って追い出していたのに、今日はそこまで拒否でもなさそう。友達へ、一歩前進なのだろうか。

三毛ちゃんは、一緒に暮らしていた二匹の猫を今年相次いで亡くして、ひとりぼっちになった。夜にぽつんと座っている姿は、ちょっと寂しそう。
ハチワレと仲良くなってくれたら、嬉しいな。
頑張れ、ハチワレ。