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新・東北寝台特急構想 青森経由秋田行きで首都圏と北東北・北海道を結ぶ

日本で寝台特急を復活させるには、どうあるべきか。
さまざまなメディアで論じられているが、結局のところ下記の3点に集約されるのではないだろうか。


今回提案するのは、東京から東北本線(一部3セク)を経由して青森、さらに奥羽本線を経由して秋田へ至る列車である。かつての寝台特急あけぼのが日本海側を経由してたのに対して、この列車は太平洋側を経由して、日本海側へアプローチする。この運行ルートには以下のメリットがある。

  1. 福島・郡山・仙台など、日本海側経由では拾えなかった、南東北の都市からの需要を獲得できる。

  2. 八戸・青森など、既に東北新幹線が便利なエリアでは、早朝・深夜帯の発着となることで、新幹線との差別化が図れる。

  3. 新青森にて北海道新幹線の始発・最終と接続することで、速達性の高い北海道への夜行手段を実現する。

  4. 秋田・弘前・大館など、最も需要が見込める、新幹線のアクセスが不便なエリアには、朝早過ぎず、夜遅過ぎない時間に発着できる。

①需要の高さ

首都圏と北東北を結ぶ夜行列車。
かつては寝台特急あけぼの号が秋田、青森へ走っていたが、乗車率は決して悪くなかった。廃止から相当年が経ってしまったが、現在でも多くの夜行バスが運行されており、夜間の移動需要は根強い。またインバウンド拡大による観光ニーズの高まり、バス運転手不足、宿泊価格高騰、個室ニーズの拡大など、あけぼの廃止時よりもむしろ需要は高まっているのではないだろうか。

運行ルート

  • 【首都圏】東京↔上野↔大宮 下り:20時 上り:9時

  • 【北関東・南東北】宇都宮↔福島↔郡山 下り:21時〜23時 上り:6〜8時

  • 【新幹線接続拠点】仙台 下り:24時 上り:5時

  • 【北東北(新幹線エリア)】八戸↔三沢↔野辺地↔青森 下り4〜5時 上り24〜25時

  • 【新幹線接続拠点】新青森 下り:6時 上り:24時

  • 【北東北(非新幹線エリア)】弘前↔大鰐温泉↔大館↔鷹の巣↔東能代↔秋田 下り:7〜9時 上り:21〜23時

最も需要が高いのが、【首都圏】↔【北東北(非新幹線エリア)】間である。新幹線駅からのアクセスが悪く、所要時間もかかることから、便利な交通手段が登場すれば、多くの利用者の移行が見込める。
秋田には秋田新幹線があると思われるかもしれないが、実際には在来線直通のミニ新幹線であり、所要時間は4時間もかかる。これだけ長ければ、夜行列車も選択肢に入るだろう。

次に需要が高いのが、【首都圏】↔【北東北(新幹線エリア)】である。既に東北新幹線で便利にアクセスできるが、早朝・深夜の時間帯の発着により、新たな需要を獲得することができるだろう。

また【新幹線接続拠点】から、はやぶさを乗り継いで北海道を目指す需要もあるが、これについては後述する。

②実現へのハードルの低さ

JR東日本管内(+3セク)で完結したルート。まさにそれこそが、実現へのハードルの低さになっている。

JR各社を跨る運行となると、調整に手間がかかる。それを大きく上回る需要がないと、なかなか実現しないのが現状だ。しかし、この列車はJR東日本の意の向くままに運行することが可能だ。そして、それは次のメリットにも繋がる。

③会社の利益になるか

列車単体の利益ももちろん大事だが、それ以上に必要なのが、会社全体の利益に繋がるかどうかだ。
例えば、JR東日本の観光列車は、観光列車単体では収益性が悪いが、発着地まで新幹線を利用してもらうことで収益に繋げている。JR各社が運行する豪華クルーズトレインは、会社の広告塔や、鉄道による旅の需要喚起といった役割を担っている。

この列車は、JR東日本管内で完結している。つまり、JR東日本の広告塔として全面に打ち出すこともできるし、同社が力を入れる、東北エリアの観光のシンボルとして活用することもできる。サンライズエクスプレスが、首都圏の駅でなかなかプロモーションを広がられていないのとは対象的である。
もちろん、東北エリアの鉄道需要の喚起は、新幹線の利用促進にも繋がっているわけだ。

また、誰もが利用できるこの列車の方が、豪華クルーズトレインよりも、幅広い層(特に若年層)にアプローチできるだろう。実際に、JR西日本ではよりカジュアルな「ウエストエクスプレス銀河」を誕生させている。

新幹線接続 東京21:44発→新函館北斗7:35着

JR各社において新幹線は収益の柱であり、こことの連携や相乗効果が、大きな利益を生むものであり重要視されている。
今やほとんどの在来線特急は、新幹線との接続に重きをおいている。新幹線がカバーしないエリアへのアクセスを担うことで、新幹線の利用率や利便性の向上に貢献している。

この列車は新幹線と接続することで、北海道へ朝早く到着することを可能にする。函館朝市に間に合い、清々しい北海道の朝を満喫することができるのだ。
また北海道への夜行バスが存在しないため、首都圏対北海道の夜行需要を独占できるというのも大きい。鉄道を使って北海道へ行く人が増えれば、JR東日本にとっては大きな利益となるし、JR北海道にとってもチャンスである。また両社が協力関係にあるというのも見逃せない。

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