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時折最高:026 Mahmoud Ahmed - Sidetegnash Negh / Samiraye (1975)

初めて聴くと、やや異様にも感じる音楽ではないでしょうか?
独特のリズム感、独特のこぶしの利いた歌、明るいのか暗いのかよく分からない和音のアンサンブル。

Mahmoud Ahmedはエチオピアの歌手で、70年代にはとても人気があったそうです。

エチオピアは、日本に次いで世界2番目の、皇帝が長く存在した国です。1934年にイタリアに占領され、大戦中イギリスに占領され、戦後復権したものの、1974年にはソビエトをバックにした軍事政権となり・・・、とここでも共産主義が古来よりの王朝を破壊していました。

1980年代には国内での作品発表が困難になり、Mahmoud Ahmedも海外へ出ます。しかしこのことによって、エチオピアの音楽を欧米に知らしめ、国際的な人気を得ることにもなったようです。

Spotify、YouTube Music共に、Mahmoud Ahmedを始めとする70年代エチオピア音楽は結構カタログがあります。90年代後半に、「Éthiopiques」と題されたシリーズが編まれ、様々な音源が再発されたのでしたが、これが結構配信カタログに含まれています。「Éthiopiques」をアルバム名に含むものを検索すると出てきます。

他の音源も聴いてみると、リズムやメロディなどの音楽的特徴は、Mahmoud Ahmed個人のものではなく、エチオピア音楽に共通する味わいの一つらしいことが窺えます。一度慣れてしまうと、ゆらゆらと揺蕩うようなグルーヴが癖になり、心地良くなってきます。

今回取り上げた曲は、1986年にベルギーのCrammed Discが再発したCDのオープニングに入っていた曲です。私が初めて聴いたのもこの盤で、当時は非常に異様な音楽として衝撃を受けました。今聴くと、レアグルーヴの極地、といった感じで「カッコいいなあ」と思えます。

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