見出し画像

時折最高:050 Philip Glass - Are Years What? (1977)

この曲を聴いたのは多分1979年のことで、NHK-FM。深夜23:00からの「クロスオーヴァー・イレブン」だったはずです。この頃今泉洋(いまいずみひろし)さんという方が毎週水曜日の選曲を担当されていて、プログレ曲がよく選曲されていました。なので無条件に水曜日は知らないものでも聴く、という習慣を課していました。それである日掛かったのがこの曲で、当時の知識からしたら実に素っ頓狂に聞こえるこの音に一時期夢中になりました。

これが実は現代音楽ジャンルの作曲家によるものだとかのことを知るにはその後数年掛かりました。1982年には、この曲を収録したアルバム「ノース・スター」の日本盤がリリースされ、ずっとFM録音のテープしかなかった音源を手に入れることが出来ました。Virginレーベルからのリリースでしたから、風変わりなロックの一種とも見えました。

同じ時期にスティーブ・ライヒも同じ番組で聴いています。その話はまたいつか別の機会に・・・。

さて、この「Are Years What?」のように、決まったパターンの繰り返しを中心に組み立てられた音楽をミニマル・ミュージックというそうです。その後代表的なミニマル・ミュージックとしてスティーブ・ライヒ、フィリップ・グラス、テリー・ライリーなどを少しずつ聴いていきました。ラ・モンテ・ヤングは音源が入手困難だったこともあって、聴けたのは大分後になってからでしたが。

プログレッシブ・ロックやシンセミュージックなどを聴いていると、ミニマル音楽にはあまり抵抗を感じないのではないでしょうか? それはプログレやシンセ音楽は、ミニマルが見つけ出した「執拗な反復」がもたらす酩酊効果を理解しており、トリップミュージックの一種として利用しているからです。

音楽を自主的に聴き始めてから日が浅い内に、短いけれどミニマル音楽のエッセンスが詰まったようなこの曲に出会えていたことは幸運だったのでしょう。もちろん、「だからその後泥沼に足を突っ込んだ」きっかけになり、不幸の始まりだったという見方も出来ますね(笑)。

傑作ではあっても、もし最初に代表作「浜辺のアインシュタイン」を聴いていたら・・・、多分当時の私ではキャパオーバーになっていた可能性が高いです。4分の曲と3時間の曲では差が大きすぎますもの(笑)。

ほんの4分あまりの曲で私を魅了し、ミニマル音楽をはじめとした現代音楽への扉を開くきっかけになったのですから、この曲はなかなかに偉大な存在なのではあるまいか、なとど今になって想うのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?