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通訳案内士の将来は?オワコンと言われるのはなぜ?

よく、通訳案内士はオワコンだと言う人がいます。果たしてこれは本当でしょうか?また、なぜそのような言われ方をするのでしょうか。
 
現場の立場で感じるのは、この資格が2018年に業務独占を失った後も、通訳案内士の仕事の実態はあまり変わっていないということです。旅行会社は資格保有者を優先して採用しています。
 
しかし、10年先の変化を見据えたとき、われわれ通訳案内士が、今から自分自身を守っていく努力が必要だとも思っています。


通訳案内士資格のユーウツ

 
通訳案内士資格について、疑問を感じる人が増えています。2018年の通訳案内士法改正以後、業務独占が失われ、資格を持たずにガイドをして報酬をもらっても、違法にならなくなったからです。
 
改正以降、この資格を受験する人が毎年減っている(注:2023年は下げ止まりました!)ことからも、この資格に対する世の中の関心が、どんどん低下していっているのが分かります。苦労して資格をとっても、とらなくても同じだったら、誰も時間とお金を割いて資格取得の努力をしたいと思わないでしょう。
 
なぜこのような制度変更があったのかと言うと、私は以下の2つの理由からと考えています。

  1. 訪日客の増加でガイドが足りなくなった旅行会社からの要請

  2. 無資格ガイドが横行していた現状の追認

 
前者は、ガイドが不足すると業務に支障があるし、ガイド報酬が上昇してしまうから、無資格者を使用できるようにしよう、という業界側の都合。後者は、従来からあった無資格ガイド問題をルール変更で解決してしまおうという、行政側の都合です。
 
いずれも、肝心の通訳案内士のためという視点はありせん。こうしたことが、この資格の将来性について否定的な意見が出てくるベースにあると考えています。

10年先の未来を考えてみる

 
ただ、これまでのところ、制度変更によって現場に大きな変化は現れていません。多くの旅行会社は、今でも通訳案内士の資格保有を募集の条件にしています。また、資格を持たないガイドが、有資格者の職場を奪っているという話もあまり聞きません。
 
したがって、通訳ガイドの仕事を本格的にしたいと思ったら、現状では案内士の資格を取得することは必須だと思います。資格の有無を問わないという世界にはなっていません。
 
とはいえ、これからの10年で、業界が大きく変化する可能性が高いです。これに通訳ガイドも、備えておく必要があります。例えば、デジタル技術の進歩で、旅行会社の地位が低下するかもしれません。そうなると、旅行会社からの業務は減り、通訳案内士に支払われる報酬も上がらないでしょう。
 
実際、ある通訳案内士団体の調査では、コロナ後のインバウンド急増でガイド不足に陥った昨年春の状況でも、半数以上のガイドが「報酬金額はコロナ前と変わらない」と回答しています。
 
昨今のインフレ状況を考えると、ガイド報酬はインフレ率以上に上がってもらわないと困りますよね。現在、日本政府もインフレに見合った賃金上昇を経済界に求めていますので、旅行業界の前向きな対応を期待しましょう。徐々にその傾向はあらわれています。
 
一方、私たち通訳案内士も、みずから変化に備える必要があるでしょう。フリーランスという独立した事業体なのですから、新たな顧客を求めて業務スタイルを見直しましょう。仕入先を多様化して、リスク分散と同時に、自らの競争力を強化すべきです。

顧客と直接つながる通訳案内士の強み


将来への備えの一つの方法として私が推すのは、自分のウェブサイトを構築して、エンドユーザーから直接集客する方法です。旅行会社からの仕事をメインにしつつ、並行して自分のサイトでも受注する、ということで良いのです。
 
現在、欧米先進国からの訪日客は、大半が団体ではなく個人旅行として日本を訪れています。航空券やホテルの予約も、ネット上で完結しています。そうしたお客さんがガイドを探すとき、ネットで探そうとするのはごく自然なことです。
 
顧客とネットで直接つながることによって、お客さんの要望がダイレクトにガイドに伝わり、ガイドも自分のアイディアを顧客に直接提案することができます。直接対話をすることで、迅速かつ正確に話ができますから、双方の満足度が上がります。
 
ホテルやレストランの予約がネット予約に変わったように、ガイドを探す場合もネットを利用することが主流になっていくと思います。その時に自分を選んでもらえるよう、今から準備しておきましょう。

まとめ

 
「通訳案内士にとって不利な制度改正もあり、将来を楽観はできない。今後の変化を見越して、旅行会社に依存しない仕事の仕方を、準備しておくべきである。」 でした。
 
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