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アッティラ王の「軍神マルスの剣」について(調査中)

『ローゼンガーテン・サーガ』9巻にてアッティラ王が手にした「畑から出てきた剣」。

『ローゼンガーテン・サーガ』9巻より。

おそらく史実上で逸話のある「軍神マルスの剣」と思われますが、僕があまり詳しく知らないので、原典を追ってみました。


↓ Wikipedia 英語では剣そのものの記事があります。

↓ Wikipedia 日本語ではアッティラ王の記事中に剣について記述があります。

wikipedia記事より、「軍神マルスの剣」の項目を抜粋

記事文の出典を辿ると、ヨルダネス著『ゲティカ』という書物からの引用のようです。

『ゲティカ』とは?


著者のヨルダネスはwikipediaによると6世紀のローマ人。

「ゲティカ」は通称で、正式な書名は「De origine actibusque Getarum 」。英語訳して「The Origin and Deeds of the Getae」。「ゴート人の起源と歴史」みたいな意味のようです。

原文はラテン語。書かれたのは 551年ごろ。
現在では英語訳文がインターネット上で公開されています。

↓全文 (Wikipediaから跳べました)

https://www.romansonline.com/Indx_src.asp?Doccode=Gth_01

その中のチャプター35(ⅩⅩⅩⅤ)、Attila the Hun. が該当箇所です。

https://www.romansonline.com/Src_Frame.asp?DocID=Gth_Goth_35

では、剣について書かれている箇所を抜粋してみましょう。

(183) And though his temper was such that he always had great self-confidence, yet his assurance was increased by finding the sword of Mars, always esteemed sacred among the kings of the Scythians. The historian Priscus says it was discovered under the following circumstances:

"When a certain shepherd beheld one heifer of his flock limping and could find no cause for this wound, he anxiously followed the trail of blood and at length came to a sword it had unwittingly trampled while nibbling the grass. He dug it up and took it straight to Attila. He rejoiced at this gift and, being ambitious, thought he had been appointed ruler of the whole world, and that through the sword of Mars supremacy in all wars was assured to him."

Google機械翻訳で日本語にすると ↓

(183) そして、彼の気性は常に強い自信を持っていたが、スキタイの間で常に神聖視されていたマルスを見つけたことによって彼の確信はさらに高まった。歴史家プリスクスは、それは次のような状況で発見されたと述べています。
群れのうちの1頭の未経産牛が足を引きずっているのを見て、このの原因が見つからなかったので、心配そうにの跡をたどり、ついに草を かじっている間に無意識に踏みつけていた剣にたどり着きました。彼はそれを掘り出し、そのままアッティラに持って行きました。彼はこの贈り物を喜び、野心家だったので、自分が全世界の支配者に任命され、火星の剣によって あらゆる戦争における覇権が保証されたと考えた。」

どうも『ゲティカ』本文に「歴史家プリスクスによると~」と書かれていますね。この文自体がどこかからの引用のようです。
プリスクスとはアッティラ王と同時代人で、直接会ったこともあるとか。

ただでさえ1,500年近く前の書物の、さらに前の書物(口述かも)を探すのは難しそうです。
…これもう、『ゲティカ』が原典でいいんじゃないかなぁ。

『ゲティカ』日本語翻訳


『ゲティカ』は英訳がインターネット公開されていますが、残念ながら日本語訳は出版されていないようです。

しかし、どうやら2022年から日本語訳に挑戦している先生方がいらっしゃるみたいです ↓

PDFファイルで読むことができます!
ですが、(1)はチャプター10(Ⅹ)まで、(2)はチャプター24(ⅩⅩⅣ)までなので、該当のチャプター35までは至っていませんが、いずれ和訳される時が来ると思います。


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