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巴里マカロンの謎

 また読みました、小市民シリーズ。

 夏期、秋期は連作短編・長編だったのですが巴里マカロンは番外編らしくそれぞれが独立した短編が4つ収録されています。

 私に小市民シリーズをおすすめしてくれた人のお気に入りも巴里マカロンだそうで、やや期待値高めで読みました。

 収録されているのは以下の4編。

・巴里マカロンの謎
・紐育チーズケーキの謎
・伯林あげぱんの謎
・花府シュークリームの謎

 パリ、ニューヨーク、ベルリンは読めたのですが花府は知らんなあと思っていたら花府=フィレンツェは造語だそうです。
 そりゃ読めんわ。

 なかでも面白かったのは伯林あげぱんです。

 これは他の短編、というかこれまでの小市民シリーズの物語で群を抜いて平和です。

 夏期の激辛大盛も平和ですが、謎以前に何も起きない溜めの回なので一旦避けておいて。

 「伯林あげぱんの謎」はベルリーナー・プファンクーヘンというドイツのパンをめぐるお話。

 4つのうち1つにマスタードが入ったベルリーナーを新聞部の4人が一斉に食べたところ、だれもマスタード入りを食べなかった。なぜ?というのがメイン謎です。

 ロシアンルーレットたこ焼きみたいなそれです。

 これ、謎が小さすぎて正直どうでもいいんですよね。

 そのわりに結構なページ数を割いていて、思ったより遠くまで飛んでいくのでそれもまた面白い。

 小佐内さんがほとんど登場しないのに、読んでいるとちらちら頭をよぎるのも個人的には好きなポイントです。

 マカロンとシュークリームは新キャラクターの古城こぎ秋桜こすもすさんにまつわる謎。

 名前がいかつい。

 古城と書いてコギと読ませる。小市民シリーズって絶妙にいそうでいない苗字が多いんだよね。

 「小佐内」も一発で変換できないし、どうやらこの字の並びでは存在しないっぽい?エゴサしやすすぎて羨ましいですね。

 あげぱんをめぐる謎は意外と入り組んでいて、倒叙っぽい始まりなので犯人…というか無垢なる被害者でもある人物はなんとなくわかるのですが、その動機や手口が分かりづらいです。

 一つずつ整理して読んでいけば見えてくるのかもしれませんが、スイスイ読んでいたら見落としてしまいそう。


 チーズケーキも謎はシンプルなのですが、意外性!という意味では面白かったです。
 確かに華氏は451℃ですね。


 次の冬期限定ボンボンショコラで小市民シリーズは完結するらしいので、心して読みます。

 他の文庫に比べると少々分厚いので読みごたえがありそうです。

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