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AIが怖い話を書いた。私は推敲した。

 AIにホラーを書いてもらった記事の続きです。

 公開当初は初動が良くなくて、前後編にしなければよかった…と思ったのですが、昨日見たらそこそこ読まれていたのでウキウキと更新します。


前回のおさらい

 ChatGPTに50字以内で怖い話を書いてもらいました。
 それを私が推敲します。
 いま思えば、AIがリライトする場面が多いなか、AIへのアンチテーゼみたいなことしてるなって気付きました。
 邪な意図はありません。本当に。


6) 森の奥で幼い子供の声が聞こえる。しかし、その森は何百年も前に人が住んでいないはず。

 前半は良いですね。しっとりしたゴシックホラーの気配を感じてとても良い。
 でも私は50字でゴシックホラーを書ける気がしません。
 もはや誤字脱字は指摘するのも野暮な気がしますが、やはりノイズはノイズ。
 「何百年も前から~」とすれば自然でしょうか。
 森に人が住んでいたことについては、そういう地域もあるでしょうからここでは不問とします。

 全体としては、あくまでも導入に留まりそうなのが惜しいです。
 これがショートショートの難しいところ。
 文字数が多ければ描写に厚みが出せるのですが、少ないと贅肉を削ぎ落して完成させないといけないので思った以上に難しいんです。
 これは他の9篇にも言えますが、書いていなかったので今更ではありますが記しておきます。


7) 血まみれの手で「助けて」と書かれた手紙が、廃屋の床下から見つかった。

 手ではなく指だと思いますが、意外と良い精度ですね。
 床下で見つかる血文字の手紙というのも悪くない。
 ベタではありますが、血文字や床下って不安をあおる良い材料なんですよね。

 これだけでも出来が良いですね。
 敢えてケチをつけるならもう少し怖さポイントを凝縮すると嬉しいですかね。
 これも導入止まりではありますがフックとしてはいいかもしれません。


8) 毎晩、ベッドの下から誰かが這い出てくる。その顔を見たとき、私は恐ろしくなった。

 これ、意外と奥が深いのかもしれません。
 日本語訳が少々微妙なところがあるので誤読の可能性もありますが、前段がホラーとしてのエッセンス、後段がオチっぽい作り方をしているように見えます。
 ベッドの下から誰かが這い出てくるのが「毎晩」。
 そして顔を見たときに恐ろしく「なった」とあるので何らかのきっかけで、あるいは気まぐれでその誰かの顔を見てしまったのでしょう。

 贅沢を言うならもう少し明確にしてほしいところですが、映像に落とし込んだときのギャーッってなるポイントをうまく作れば怖さを表現出来るかもしれません。
 繰り返しやループってホラーの常套手段ですから。
 どちらかと言うと文章媒体より映像媒体で映えるタイプですね。


9) 夜、廊下から足音が聞こえる。しかし、私は一人しかいないはず。

 一転して、これは手垢べたべたですね。
 ひねりも特にないのでこれといって指摘するような事項もありません。
 もう1~2センテンスくらいあれば面白くなる要素が生えてくるかもしれません。

10) 古い写真で、自分の後ろに知らない顔が写り込んでいる。その人物は今も見守っている。

 世にも奇妙な物語かな?
 いろいろつっこみどころはあるけど、最後にほっこりさせてくるタイプのホラーかな?
 私の思ったのとは違うけど、なしではない。
 というか今まで王道のホラーらしいホラーを書いてきたのに10個目でテイストを変えてくるとはなかなかやるじゃない。
 狙ってやってるんだとしたら随分としゃらくさいですね。嫌いじゃないよ、そういうの。

総括

 人間でも数十字で整った内容の作品とするのは難しいのですが、ある程度綺麗な形で出力できるAIさんはすごいですね。
 全体的な質は40点くらいですが、ホラーとしてのエッセンスは一定程度押さえられています。
 また、人間には追いつけないポイントとしてはスピードがあります。
 この程度でも私は「短編ホラー10本書いて」って言われたら2時間くらいかかりそうです。
 それをものの数十秒で持って来れるのはさすがAIです。
 長文を書かせるとまた違った形や質で出力されるのかもしれませんが、冒頭だけ書いてもらって肉付けしていく手法は思った以上に便利かもしれません。

 全部をAIにお任せするのは難しいかもしれませんが、上手く利用すればなんとなく形にはできそうな気がします。
 AIについていろいろ言われている昨今ですが、上手に使っていきたいですね。

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