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詐欺

5月ごろにInstagramを始めていた。

顔出しで、筋トレ系のアカウントを作って
腹筋やら尻筋やら晒していたのでDMが山のように来た。

Instagram初心者だった私は、律儀にDMに返事していた。

特に多かったのが、アジア系の男性からのDM。

「よく鍛えられた体ですね。一つ質問してもいいですか?」
というような内容。

私は褒められたことと、海外の男性から声をかけられたことで嬉しかった。

こんなふうに世界とつながれるなんてすごいなーなんて思っていた。

InstagramのDMは詐欺の温床。
常識だ。

私は本当に無知だった。


ある日また、
「あなたは素晴らしい気質を持っていますね。」
と言うDMが来たので、相手のアカウントを確認した。

びっくりするようなイケメン韓国人。

名前はKevin。

今はもうその時のInstagramのアカウントはない。


最初はなんてことない話を続けていた。

大学の専攻の話、
お互いの家族の話、
趣味や音楽の話。

Kevin とはすぐにLINEに移行しました。

彼は、雅子とのやりとりは本当に楽しくて、こんな気持ちになったのは本当に久しぶりだ。

と言うようなことをよく言ってくれた。

彼は最初の結婚が失敗に終わり、それから4年近く女性と親しい関係を持ったことがないと言いました。

彼の家はとてもお金持ちで社会的地位も高いために、寄ってくる女性は皆お金目当ての女性しかいない。

最初の結婚が失敗に終わった後、付き合った中国人の女性も、彼がお金持ちの一族だと知ると彼を利用することしか考えなったと。


最初の結婚は政略結婚で、父親の会社の経営状態が悪く、相手の家の支援が必要だったのと、相手は相手でこちらの母方の家計の社会的地位を利用したかったために、結婚させられたと言っていた。

自分の人生は、韓国ドラマそのものだと。

そして、それ以来、女性に対して不信感が募り、コロナもあって4年近くもずっと孤独に生きてきたと。

私はそのストーリーにすっかり同情してしまった。

そして彼は、
自分の心の中にこんな気持ちが湧いてきたのは本当に久しぶりのことで、
雅子は特別な女性だと言われました。

自分の心を開いてくれた女性は雅子しかいないと。

私は彼を助けられるたった一人の女性なのだと思い込むようになっていた。

彼とのやりとりはとても親密なものとなっていき、朝から夜までずっと彼とLINEをしていた。

お昼は食べた?とか、ちゃんと食べなきゃダメだよとか。

私が心療内科に通っていることを伝えた時も、とても真剣にアドバイスしてくれて、心から私のことを心配して、より良い人生を送れるよう気にかけ、声をかけてくれた。


子育てと仕事に追われて満たされない日々を送っていた私は、
やさしくそして男性らしく、
何より私のことを1番に考えてくれる彼に次第に恋するようになっていた。

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