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ミナリさんへ。《第一回,自己紹介から始まる未来》


 ミナリさん、お元気ですか。今、何をしていますか。

 平埜生成(ひらの きなり)です。本当に久しぶりですね。全然連絡が出来ず、ごめんなさい。ここまで時間が空いてしまうと、何から書いていいか分からず戸惑ってしまいますが、少しずつ、整理をしながら取り戻していきたいなと思っています。

 では、改めまして、ミナリさんに自己紹介をしようと思います。少し照れくさいですが、僕も少しは大人になったので、変化を楽しんでもらえると思います。

 僕は「俳優」の仕事を「平埜生成」の名で始めて、もう11年が経ちました。あっという間ですね。11年というと、その道のベテランのように感じますが、「俳優」という仕事は不思議なもので、仕事がある時にだけ「俳優」になれるのであって、基本的には何もない、フツーのヒトなんだなと最近気付きました。「なんかやってよ!」の声に反応出来ないというか……、まあ、その辺の話は、また、いつか。
 話が逸れました。何を言いたかったのかというと、11年間続けてきましたが、僕はまだまだ、若手俳優だということ。そして、ベテランになりたいという気持ちも全く芽生えていないということです。年齢的に「若手」とは言えないかもしれませんが、ミナリさんから見れば、まだまだ若者、ひよっこ俳優ですよね。

 この11年の間にどんな紆余曲折があったのか、覚えてらっしゃいますか。結構ありましたよ。まず、この世界に足を踏み入れるところから…、いや、紆余曲折があったと自分で言えている時点で、もう、勇往邁進(ゆうおうまいしん)出来ていますね。この話はやめておきます。でも、何かの際に触れることがあるかもしれませんが、ひよっこの自慢話だと思って適当に流して聞いて下さい。

 えっと………。

 ごめんなさい。僕は、自己紹介というものが苦手なのかもしれません。書いていて気付きました。恥ずかしくて。
 ミナリさんも、僕の変化を全く感じることが出来なかったと思うので、自己紹介は割愛します。

 さて、ミナリさん。
 今日は僕にとって縁もゆかりもない、2020年5月21日(木)です。
 「毎日が未知なる冒険の始まりだ!」という、大好きな“少年ジャンプ”的な情熱があればいいのですが、僕の心は“成人ストップ”くらいなのか、ひたすら凪いでいて、そうは思えません。
 「5月21日」に焦点を当ててみても、知っての通り、僕の誕生日でもなければ、祖父や叔母の命日でもないし、従兄弟の結婚記念日でもない。やっぱり、ただの、いつもの、何の変哲もない、無機質な一日でしかありません。

 そんな一日ですが、僕は何の気なしに、「ミナリさんへ。」を復活させようと思いました。それをどうしても伝えたくて、こうして、筆を執ったわけなのです。逆に言うと、この復活宣言しか、今日は書くことがありません。
 ご無沙汰であるにも関わらず、挨拶もそこそこ、これといった用件もなく、ただの気まぐれ復活宣言。どうか、ご無礼をお許し下さい。
 しかし、こうして書き始めてみると、あの頃に戻ったように心が躍っているのが分かります。文字から音楽が聞こえてきそうです。「失われた小銭への怒り」が流れています。どこまでも未完成で、でも、即興的で自由自在にミナリさんへ文章を書くことが出来ていて、幸せです。

 無機質な一日が、ミナリさんへのおかげで、一気に色づき、脈を打ち始めました。曇り空ですが、とても爽やかな気分です。どうしてもっと早く筆を執らなかったのか、自分でも不思議でなりません。5月21日が大切な一日になりました。ありがとうございました。

 それでは、こんなところで、今日は失礼しますね。また、連絡します。

 おわり

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