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呪いは、呆気なく解けてしまった話

妊娠中の妻を怒らせ、僕は「禁酒」という呪いをかけられた。
その投稿がこちら。

しかしそんな呪いは、呆気なく解けてしまった。
切っ掛けは、会話の中に「送別会」が登場したことだった。


もう(お酒を)飲んでくれていいよ

お互いの予定を確認していた時のことだった。
来週には送別会が実施される。

ここでおさらいする。
我々はお互い、育児休暇を取得するため来年度は勤務しない。
この送別会は、我々夫婦にとって事実上今季最後の飲み会である。
もともと流れはこうだった。

二人ともそれぞれ職場の送別会に参加。
二人ともノンアルコール。
二人とも一次会で帰宅。

僕は呪縛中なので、もちろんお酒は飲めない。
それでも送別会に行けるだけ、まだ有り難かった。
置かれた環境に感謝しなきゃと思っていた。
そんな時だった。突如、耳を疑う言葉を妻が発する。

妻「もう(お酒を)飲んでくれていいよ。」
僕「え!?そんな…。あ0jぉ;hfjんvしjふr’?」

青天の霹靂だった。
アジアンカンフージェネレーションの『君という花』を初めて聞いたときに、この言葉の意味を初めて知った。
そして今、初めて使った。
あまりの仰天に、フリーズして言葉がうまく出ない。

これは罠かもしれない

恐ろしく優しい妻。
あんなに恨んでいてはずなのに、一体どうした?
いや。待てよ。
これは罠かもしれない。

禁酒を守れるかどうかを試しているのかもしれない。
早く帰ってきてくれる優しい夫を見たいのかもしれない。
送迎のドライバーをしてほしいというくだらない理由なのかもしれない。

今すぐに質問の返事を出さなければならない。
考える時間なんて皆無だった。

この日は、戦友を送り出す会。
格別に美味い酒が飲める。
飲み会には死ぬほど行きたいし、浴びるほど飲みたい。
でも禁酒中に、飲んでいいのか。
泣いていた妻をまた苦しめたりしないのか。

頭の中で、天使と悪魔が何度もディベートする。
短時間の攻防戦が、今決着した。
悪魔が勝利した。
もう格好はつけない。
お酒を飲みたい気持ちに素直になろう。
小学校の先生も「素直が一番」と教えてくれた。

僕が出した答え

僕は妻の前で、慎重に考える(フリをする)ことにした。
諸々の事情を抜きにしても、これは回答に時間を要する質問だった。
そして何より、妻に気を使っていることは絶対に見せなければならない。
これが紳士としての一流のマナーだ。

そして僕が出した答えがこれだ。

解答
「ありがとう。じゃあ特別に今回だけ行かせてもらうね!でも(妻の名前)がお酒我慢するのは大変だから、これ以降は引き続き禁酒するわ。」

さぁ。どうだ。

正解は…。

妻「うん。わかった(ニコッ)。」

\ピンポン!ピンポーン!/
よっしゃーッ!大正解だ!
安堵した。
この難問正解には、伊沢拓司もきっと拍手してくれているだろう。

美味い酒が飲める飲み会に行けることも確かにうれしいが、妻が納得してくれていることが一番うれしかった。
僕は正直になり、妻の気持ちを理解できたような気がしたので。

そんな感じで、短い禁酒生活は、あっさり終了した。
禁酒は1か月弱だったが、結構しんどかった。

あとがき

結構しんどかったのは、ただ禁酒したことではない。
妻と子が熟睡するのを確認して、夜中外気温5℃のなかコンビニへ行き、アルコールを購入して自宅へ持ち帰り、摂取後の残骸となった缶をゴミ箱の奥の方へねじ込み隠す、というここまでの一連の流れを深夜に実施すること、そして起きたらドボン!というのが、結構しんどかった。

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