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小説 死んだ息子がいた

 息子が死んで三年ぐらい経った。あんまり突然のことだったので、息子の部屋もぜんぜん片付けられないまま今日まできてしまったのだけれども、そろそろ区切りをつけなければいけないだろう。そうしなければいつまでも成仏できないような気がしたからだ。
 よし、やろう、と意気込んで部屋に入った。けれども、埃っぽい、少しかび臭い部屋の中に、誰かが座っているのが見えた。窓からの逆光でよく見えなくて、まるでその背格好は

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