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漢字テストの隅に

中学生の頃『ちはやふる』にはまり、そこから百人一首の方に興味が移り、『うた恋い。』『うた変。』『恋いの唄』を全て揃え、和歌にはまり、高校生では古今集にはまった。小学生以来イギリス一筋で来たが、高校1年生の冬、一瞬だけ国文学もありかもしれないと思ったほどだ。

高校一年生の現代文の先生は、大学でそのあたりのことを専攻していたらしい。
きっかけは忘れたが、私は先生と短歌のやりとりをするようになった。漢字テストのたびに、余白に短歌を書いた。テストが採点されて返されてくると、短歌の添削もされていた。たまに先生からの返歌もあった。

そのうち、単語テストの前は毎回、漢字を覚えるよりも、短歌を考える方に必死になっていった。枕詞を入れたい、掛詞にできないか、歌枕を詠み込もうか、序詞は難しいな、などなど、頭を捻った。

どんな短歌を書いていたかはもうすっかり忘れてしまったけど、一首だけ覚えている。

ちはやふる 神帰り来ぬ 出雲より
         もみじ土産と 秋待つ我ら

神無月の終わり、このくらいの時期に書いたはずだ。先生からは、発想のおもしろさを評価された一方、「待つ」のであれば、完了の「来ぬ」ではなくて推量の「来む」の方が適切との指摘があった。あわせて、「八雲立つ」で始まる返歌をもらった。

その先生が担当ではなくなってからはパッタリ詠まなくなってしまった。でも、和歌や、平安中期〜鎌倉初期の世界観はやはり好きで、昨年の大河ドラマは毎週号泣しながら見たし、鎌倉にも行った。来年の紫式部は私の趣味ど真ん中なので、渡英先でも、大学のVPNを入れて、NHKオンデマンドで何としても見る。

せっかく文章表現の場を得たので、短歌を思いついたらここに書いてもいいかもしれない。

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